- 2012年11月28日 09:46
ビジネスSNSに期待される6つの役割――日本で普及する可能性はあるか?
1/2「ビジネスSNS」と聞くと、読者の皆さんは何を思い浮かべますか?
海外では、キャリアアップや人脈形成を目的に定着している感があります。代表格の「LinkedIn」には、1億7500万人ものビジネスプロフェッショナルが集まっているとか。特に米国の多くの大企業では採用に活用するなど、存在感が高まっています。
では、日本ではどうでしょうか? LinkedInは2011年10月に日本語対応し、登録者数は増えているものの、日本企業で活発に活用されているという声はあまり聞こえてきません。「本命のビジネスSNSは?」と聞かれると答えに窮する感じがします。
ビジネスSNSという言葉が現れて数年が経つ中、サイボウズ式では、改めて「仕事で使えるソーシャルネットワーク」について考えてみることにしました。今回は、企業内でのソーシャルウェアについて研究・開発を進めてきたサイボウズの丹野瑞紀に話を聞きます。
無料コラボレーションツール「サイボウズLive」の責任者(プロダクトマネージャー) 丹野瑞紀。日本発のコラボレーションツールが広く世の中に受け入れられるよう奮闘中
”勝手R&D”で社内SNSを研究・開発し続けてきた男
まず、丹野さんと「仕事で使えるソーシャルネットワーク」のこれまでのかかわりについて教えてください。
2005年ごろ、コールセンターなどCRM(顧客関係管理)を専門とするベンチャー企業でソフトウェアの企画・開発を担当していました。そこで、SNSとブログを企業内で使うとどうなるかを研究したのがきっかけでしたね。
その後、サイボウズに?
社内SNSの研究成果をグループウェアに生かしてみたいと思って、転職しました。サイボウズでは最初、“勝手R&D”として、Twitter風の社内ブログや社内ソーシャルブックマークを開発したりしていました。
日本でビジネスSNSがブレークしない最大の理由
そんな丹野さんに聞いてみたいのが、「仕事で使えるソーシャルネットワーク」についてです。海外ではビジネスSNSが浸透しているイメージですが、国内はどうでしょうか?
日本では過去に何度もさまざまなビジネスSNSが登場していますが、大きく成功した例はまだないですね。これからもチャレンジが続く領域だと思います。最近だとサイバーエージェントさんが、ビジネスパーソン向けSNS「intely」をローンチしています。
Facebookが日本でも定着した感がありますけど、最近では中高年層による活用が進んでいて、”おじさんSNS化”しているんじゃないかな。仕事関係者とFacebookで積極的につながる人も多くて、ある意味FacebookがビジネスSNSのように使われている状況だと思います。
おじさんSNSですか(笑)。ビジネスに特化したソーシャルネットワークって、国内では受け入れられにくいんでしょうか。
LinkedInも日本でサービス展開していますが、まだブームと呼べる段階ではないですね。その背景にあるのは、日本とアメリカの間にある雇用の流動性の極端な差だと思います。
日本とアメリカだと勤続年数に3倍以上の差があります。日本と比べて雇用が安定していないアメリカでは、ビジネスパーソン個人がLinkedInのようなサービスを使って自己防衛する必要があります。
ただ、日本でもキャリアアップに意欲的な意識の高い層を中心に、徐々に普及していくかもしれませんね。
そうすると、やはり日本でビジネスSNSは成功しないんでしょうか。
提供者側がビジネスSNSに期待するのは、「ソーシャル」というものの爆発力です。
Facebookやmixiは、ユーザーが中毒的に利用して友達を招待してつながり合い、どんどん盛り上がっていきます。サービス提供者としては、そういう展開を期待したいのだと思います。
でもSNSに限らずどんなネットサービスも、提供者側の思惑だけではうまくいかないんですよね。
いかにユーザー登録をしてもらうか、継続的にアクセスしてもらうかなど。いかに「使う必然性」をユーザーに持たせられるかが重要です。
ビジネスSNSだったら、ビジネスパーソンが使う必然性をどう持たせるのかが問題です。転職やキャリアを軸にしたサービスの場合、日本ではなかなか差し迫った必然性を持たせられないのです。
ビジネスSNSに期待される6つの役割
ビジネスSNSについて語る丹野
では、どうやって継続的な利用の必然性を持たせればいいのでしょう。
難しい質問ですね。僕も知りたいです(笑)。
コミュニティ系サービスは人が集まっていないと、「場」に対する魅力が薄れます。サービスのコンセプトに共感して登録しても、継続的にアクセスする動機を持てないことが多いですね。
ユーザーが増えないから場の魅力も増えない。まさに「鶏が先か卵が先か」の問題になります。「Facebookやmixiのビジネス版を作りました」というかけ声だけでは、ビジネスパーソンは集まってくれません。
ビジネスパーソンにとって、何が「使う必然性」になるでしょうか?
それを考える上では、「そもそもビジネスSNSとは何か」をもう少しブレークダウンして考えた方が良いと思います。
ビジネスSNSって定期的に話題になるんですけど、結局のところ定義があいまいで、皆さん色々なものをビジネスSNSに期待してるんですよね。
「ビジネスSNS」と聞いたときに、多くの人が期待する機能は、次の6つじゃないでしょうか。
- 採用・転職の支援
- プロフェッショナル同士のディスカッションやQ&A
- ネットワーキング(新しいビジネスパートナーの発見)
- 情報収集・スキルアップの支援
- 名刺の代替
- メールの代替(ビジネス上の連絡・コラボレーション)
この6つはどれも、ビジネスパーソンが解決したい課題だと思います。この中からユーザーの母数に依存せずに便利と思わせられるものを選んで、ビジネスSNSの軸にすれば良いんじゃないでしょうか。



