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医療提供体制の逼迫を回避するために

 年が明けてからも新型コロナウイルス感染症の猛威は止まらず、第三波が日本全体を脅かしている。こうした中、大都市部をはじめ医療提供体制の逼迫が顕著になっている。東京では入院調整中の陽性者が数千人規模となり、昨年12月半ばの10倍にもなってしまった。地元栃木でも感染急拡大により、緊急事態宣言の対象地域に指定された。

 一方こういう数字もある。我が国の人口1000人当たり病床数は13.1人で、これはOECD諸国の中で断然トップである。さらに欧米に比べて感染者数が比較的少ないのに、現在のような医療現場の逼迫状況は理解に苦しむところだ。

 その原因を探ると次のようなことが浮き彫りになる。我が国の1ベッド当たりの専門医は、アメリカの4分の1とも言われる。看護師についても同様である。病院の8割を占める民間病院では、専門医が一人というところも多く、せっかくベッドがあってもコロナ患者を受け入れられない現状がある。医療資源が極端に分散化されてしまっているということが浮き彫りになった。

 したがって民間病院の内、中程度症以上のコロナ患者を受け入れているのは2割ほどしかない。さらに民間病院はコロナ患者を受け入れることによる風評被害を恐れる傾向が強く、また既に慢性疾患患者を入院させているケースが多い。

 どうしたらこの状況を改善出来るだろうか。これまでは「病診連携」すなわち重い病気は大きい病院で、軽い病気は診療所などで診るという、役割分担を目指してきた。また「地域医療計画」により面的な需給調整を進めて来たが、なかなか実効が上がらず今日を迎えてしまった。 今回のコロナ対策をきっかけとして、連携を強化することを求めたい。

 具体的には重症患者は大病院や中核病院が担い、軽症や快復期にある患者は中小の民間病院が担うという役割分担を明確にすることだ。快復期やリハビリの患者は極力民間病院に移し、重症患者が常に高度な医療を受けられるようなサイクルを作ることが大切である。もちろん軽度や無症状であっても急変があり得るので、注意観察を怠ってはならないが。

 今国会に提出される感染症法改正案では、緊急事態宣言自治体が医療機関に、コロナ患者の受け入れを「要請」から「勧告」に格上げし、それにしたがわない病院名を公表という強制手段を盛り込んだ。

 しかし民間病院には前述のような様々な事情があり、強制手段はなるべく避けるべきである。この手段を多用すれば自治体と病院の信頼関係が崩れる恐れがある。日本医師会や地域の医師会、さらに日本病院会などに自発的な連携の機運が出て来ており、当面はその動きを尊重すべきではないか。

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