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「日本未来の党」結成 ~ 絶妙手!? 批判し難い体制と、孤立する「日本維新の会」

囲碁の腕前はアマ六段で、政界最強とも評されている「国民の生活が第一」の小沢代表が放った「絶妙手」になるのかもしれない。

嘉田滋賀県知事は27日大津市で記者会見し、脱原発を旗印にした新党「日本未来の党」の結成と、今後の政治活動の理念となる「びわこ宣言」、6項目からなる基本政策「未来をつくる政治の結集軸」を発表した。新党の主要政策6項目は、「卒原発(脱原発)」のほか、「活女性、こども」「守暮らし」「脱増税」「脱官僚」「誇外交」。

「日本未来の党」の結成を受け、「国民の生活が第一」は、27日夕、「日本未来の党」に合流するため、解党を決めた他、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」や「みどりの風」も合流を検討するなど、民主でも、自民でも、維新でもない「第四極」が結集する方向に動き出した。

公示寸前に想定していなかった「第四極」が突然表れたことに、「既存三極」はやや戸惑い気味のようだ。

自民党安部総裁は「(衆院選の)寸前になって果たして政策の調整ができるのか。選挙に勝つためだけの政党だ。政治の信頼を失わせていくことにつながるので大変、懸念がある」と「日本未来の党」結成を批判した。しかし、こうした批判は、「既存三極」が、「日本未来の党」が「選挙に勝つ」可能性を感じている証左でもある。

自民党安部総裁に続いて、第三極の中心的存在である「日本維新の会」の橋本代表代行も、「脱原発のグループが新しくできたが、彼らはいくら言っても実行できない。それは実行した経験がないからだ。嘉田氏に国会議員や政治グループを束ねた経験はない」と、「日本未来の党」を批判した。

「市長や知事の経験もないような議員が日本国家を運営することなんかできるわけがない。石原(前)東京都知事と、大阪府知事の経験があり、大阪市も引っ張っている橋下徹に、日本国家の運営を一度任せてほしい」

「日本維新の会」が、これまで他の第三極の政党との大きな違いとして訴えて来たのは、「市長や知事の経験」である。確かに、橋下市長は2008年に大阪府知事に選出されてから現在の大阪市長まで、ほぼ丸4年、府知事と市長として行政経験を積んで来ている。しかし、嘉田滋賀県知事は、2006年7月に滋賀県知事に選出されてから、6年以上県知事として行政経験を積んで来ており、橋下代表代行が批判する「市長や知事の経験もない議員」には該当しない。

それもあってか、橋下代表代行は批判のハードルを「市長や知事の経験もないような議員」から、「国会議員や政治グループを束ねた経験」へと一段引き上げた。しかし、橋下代表代行の「国会議員や政治グループを束ねた経験」が、他の政治家を批判できるほどのものであるかは疑わしいものである。何しろ、「日本維新の会」を立上げで国会議員団を束ねたのは今年の9月28日、今から僅か2か月前のことでしかないのだから。

また、嘉田滋賀県知事は、福井県大飯原発の地元知事として、原子力発電所の再稼働に慎重な姿勢をとってきたことに加え、関西電力と原子力安全協定の締結を図るなど、原発政策に関するその評価は分かれるものの、「実行した経験」を持ち合わせた政治家ではある。

つまり、嘉田知事は、「市長や知事の経験もないような議員」「実行した経験がない」という批判の対象にはなり難い政治家といえる。

「日本維新の会」の最大の弱点は、「太陽の党」との合流について、「政権を取るための野合」「政策一致なき合流」だという批判を受けているところ。

「日本維新の会と太陽の党の合流などを軸とした第三極勢力結集の動きをどうみるか。電子版読者のほぼ3分の2が『政策の違いを無視した野合』と回答。こうした動きを経て第三極に『失望した』との答えも77.7%に達しました」

日経電子版は、「日本未来の党」が結成された27日で、「第三極に『失望』77%、逆襲あるか」というタイトルで、電子版読者の77.7%が「日本維新の会」を中心とした第三極に「失望した」ことを伝えている。

結成後僅か4日で解党し、政策的な一致よりも「中央官僚制度の打破」という大同のもとに、ドタバタと「日本維新の会」への合流をした「太陽の党」。そのやり方は有権者の目に「乱暴」に映ったようだ。

一方、結成後4か月を経て、「太陽の党」と同じ解党、合流の道を進んだ「国民の生活が第一」。既存の第一極、第二極、第三極にとって厄介なのは、「日本未来の党」に合流しようとしている勢力が、原発政策や消費増税、TPPという主要政策において、ほぼ政策的に一致しており、「野合」という批判を受け難い形で勢力結集が図られているところ。こうしたことは、今回の「日本未来の党」の結成が、かなり用意周到に計画されたものであることを感じさせるもの。

「同じ政策だと言われても、原発ゼロについては明らかに考え方に大きな相違がある。溝を隠しながら、考え方が同じだというのは正しくない」

「みんなの党」の渡辺喜美代表は、「日本維新の会」との合流について、このように述べ、「日本維新の会」との合流は困難であるとの認識を示した。「中央官僚制度の打破」という大同のもとに、「溝を隠しながら考え方が同じだ」として第三極の結集を図る「日本維新の会」のやり方は、思ったほどには広がりを見せていない。

「小沢流政治手法」に対する世間の拒絶感自体を消し去ることは難しいことかもしれないが、「日本未来の党」が、既存の第三極に向けられて来た批判を上手くかわすことの出来る体制を整えて結成されたところに、政界最強とも評されている囲碁アマチュア六段の「国会議員や政治グループを束ねた経験」を感じずにはいられない。

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