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独身男女の高くて厚い壁…「港区女子と足立区男子」は永遠に出会えない

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都内在住の独身者はどこに住んでいるのか。統計調査を分析した独身研究家の荒川和久氏は、「女性独身者はセキュリティーのしっかりした賃貸物件の多い港・中央・渋谷区に住む傾向がある一方、男性独身者は家賃が安い江戸川・葛飾・足立に住み、その分、飲食費にお金をかけている」という――。

※本稿は、荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

「港区女子vs.足立区男子」独身男女を隔てる壁

【荒川】日本は昔からずっと東京一極集中なのかと勘違いしがちですが、この65年間の人口移動を表したのが次の図表1です。1960年代から90年代前半にかけて、ぐっと人口が増加している②の線は埼玉・千葉・神奈川です。つまり、東京以外の3県が増えるドーナツ化現象。

主要都市65年間の人口移動(日本人のみ)

荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より

【中野】いわゆるベッドタウンですね。

【荒川】そうです。通勤ラッシュをつくったのもベッドタウンの人たちです。グラフを見ると、今は全然増えていないですが。逆に、当時の東京は人口が減っていたんですよ。

【中野】都心に住めないからでしょうか?

【荒川】そうです。東京の人口が減り3県は増加という現象が、今は逆転しています。東京が増えて、周りが減りました。東京に人が移ってくるようになったのは最近なんです。

【中野】利便性とか老後の足とかを考えたら、都内は便利ですからね。

【荒川】ちなみに若い女性でも、恵比寿のような家賃の高いエリアに住んでいる人が多いです。特殊な例かもしれませんが、新入社員なのに家賃15万円のワンルームとか。

【中野】それは、シェアハウスや「パパ活女子」というケースではないんですか?

【荒川】違います、普通の若い人です。給料の構成比50%を家賃にあてると聞いて驚きました。ただ、彼女たちからすれば、家賃が高くてもセキュリティー(安全面)がしっかりしたところに住みたいという理由もあるんです。

以前、僕がこの件で記事を書いたら、『月曜から夜ふかし』というテレビ番組に取り上げられましたけど、独身女性と独身男性では住む区が違うんですよ。区が違うというよりも、住んでいる男女比が全然違います。

比率でいうと、港区・中央区・渋谷区とかは女性が圧倒的に多い。逆に男性が多く住んでいる区は、20代から60代までで1位、2位、3位がほぼ同じです(※2015年国勢調査より単身世帯の男女比で男性のほうが多いランキング)。つまり、江戸川・葛飾・足立の3区は独身男性の一人暮らしが非常に多い。

何でも安いダウンタウンvs.安全安心なアップタウンという分断

【中野】家賃が安いからですか?

【荒川】そうです。もはや完全に男はダウンタウンに住み、女はアップタウンに住むという状況。この状況なら、未婚男女はもう永遠に出会わないよね、と思うんです。

【中野】「港区女子と足立区男子」、面白いですね。住むエリアを色分けできてしまう、と。

【荒川】男町、女町というわけです。治安やセキュリティーにお金をかける女性と、安全面はさておき、ごはんや遊びにお金をかける男性とに分かれます。

【中野】なるほど。家賃という固定費をどれだけ払えるかというマインドの差がそうやって表れるんですね。

【荒川】そう思います。葛飾区とかはずいぶん安いですから。

【中野】可処分所得が固定費に取られない分を、男性はどういうところに使うんですか?

【荒川】飲んだり食ったり、要するに飲食です。家計調査で見ると、一番お金をかけているのは食費だとわかりました。

一人でいたい人は4割、他者と一緒にいたい人は6割

【荒川】話を戻しましょう。独身人口が増加する理由として、離婚の増加も挙げられます。次の図表2のように、特殊離婚率と人口千対(1000人の人口集団の中での発生比率)の普通離婚率で見ると、人口千対の離婚率が下がっているように見えますが、そもそも人口が減っているので、こうなっています。特殊離婚率は、離婚数を婚姻数で割るのですが、ここ15年は35%くらいで推移しています。

マスコミがよく使う「3組に1組は離婚する」というフレーズはこの特殊離婚率をもとにしています。これも離婚が増えたのではなくて、日本人が元に戻ったように思えてなりません。というのも、江戸時代などは離婚が多かったですから。

離婚率の推移

荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より

【中野】そうですね。離婚が少ない明治時代は、実は特異的ですね。

【荒川】明治から昭和の高度経済成長期までが、むしろ離婚が少なすぎるんですよ。本書のテーマと異なるので、この話は掘り下げませんが。「増える一人暮らし」ということで、独身人口についてお話ししましょう。先ほども述べたように、2040年には一人暮らしの世帯が4〜5割になります。昔は夫婦と子どもの標準世帯といわれていたのが、今後は23%にまで下がります。

【中野】『サザエさん』家庭が標準なわけではないですね。

【荒川】『サザエさん』のような大家族どころか、「パパとママと子ども」という家族構成が、23%しかいなくなってしまうんです。

【中野】4分の1を切っているんですね。

「パパとママと子ども」という「家族」の形態も終わるかもしれない

【荒川】つまり、このような家族という形態も終わるかもしれません。次のページの図表3のように4象限にしてみました。ソロだけじゃなく結婚している人も入れて、縦軸が独身か既婚(有配偶)かという基軸で、横軸がソロ度が高いか低いかです。つまり、一人でいたいか、みんなでいたいか、です。このソロ度が高い人は、日本ではざっくり言うと4割くらいいます。逆に、みんなと一緒にいたいという人は6割いる。

ソロ属性4象限

荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より

縦軸の独身と既婚の比率も今は4対6です。それをさらに分けると、まず「ガチソロ」というグループがいます。ガチソロは結婚意欲も低いし、むしろ一人の時間のほうがくつろげるという人たちです。この生涯未婚かもしれないガチソロたちが20%。

「エセソロ」とは、今は独身(ソロ)なんですけれども、ゆくゆくは結婚して「ノンソロ」(既婚)になる人たち。家族が大事で、よき父、よき母みたいな人たちが「ノンソロ」。一番多くて4割を占めます。

「カゲソロ」とは、結婚はしたけれど本当は一人が好きというような人たち。この人たちが実はガチソロとカゲソロを行ったり来たりして、離婚と再婚を繰り返す。全体のうち有配偶は6割、カゲソロは2割なので、有配偶の3分の1がカゲソロになります。先ほどの3分の1は離婚するというのはまさにこういうことで、ここを行ったり来たりする。こうやって分けると、あとから理屈づけしたわけじゃなくて、数字のつじつまは合っているなと思います。

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