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頑張れや京都市と市長はん

京都市が財政難に陥っている。観光客の増大によって潤い始めていた市内の景気が、コロナによって一気に冷え込んだから。だからか、和服の市長はん、最近目立つ言動は財政緊縮とその訴えである。一方、コロナ対策には依然として消極的である。

京都市として観光客を呼び戻したい気持ちはよく理解できる。でも、一番重要なのは市民の命である。今回の緊急事態宣言の直前だったか直後だったか忘れたが(調べると直後)、市長として「京都を愛しているのなら今は京都に来ないで」との趣旨のことを喋ったとか。この発言、正しいのだが、タイミングとして遅い。また、京都市としての医療体制は実質的に崩壊していることを棚上げにしている。

それはともかく、市長はんは財政難の解消策として、いろんな策を打ち出している。その中の1つに、「老人に対する交通機関利用補助金」の削減がある。

市の中心部の老人としては仕方ない部分があると思う。とはいえ、地下鉄などの無料バスを配ったところで、老人の乗客が1人増えたことに対する限界費用の増加(例えば地下鉄の電気代の増加、バスの燃料費の増加)は大したことがない。それに配して、市民の便益が減るだけである。

もっと深刻なのは周辺部分に住んでいる老人だろう。死活問題に近い。足がないと買い物はもちろん、病院に出かけることに制約が生じる。地方都市ではコミュニティタクシーの制度を充実している。京都市ではそういう制度を聞いたことがないし、調べたところ出てこない。万が一あったとしたら「ごめんね」だが。いずれにせよ、老人への福祉に関して京都は遅れているのではないか。

図書館1つにしても、京都市は貧弱である。前に住んでいた市と比べ、また知り合いから聞かされる他の状況からして、京都市には図書館がないに等しい。京都市が「文化都市」を標榜しているわけだから、実態は大問題である。いずれにせよ、東京から移り住んだ20年近く前、家の近くで利用できる図書館がないのには失望した。

どうして京都の財政がこんなに貧しいのか。基本的には、一大産業と表現すれば叱られるだろうが、膨大な収入のある寺院や神社が無税だからである。かつての京都市、寺社に税金的なものを負担してもらおうとチャレンジした。1985年から3年間徴収した古都保存協力税である。しかし主要な寺社の強烈なストライキに遭遇し、潰えた。

でも、京都への観光客は寺社を目当てにやってくる。観光客のためのインフラ整備は京都市として必要である。その「観光振興のための(税金ではない)協力金」を寺社が観光客から集め、それを京都市に贈るは当然ではないのか。市民としても、日頃大いに迷惑を受けている観光客なのだが、その来訪によってインフラが整うのであれば、「仕方ないやん」と思えてくる。

そのインフラ整備に協力する寺社は、仏や神の精神にも大いに叶う。市民として積極的にお参りする気にもなろう。

という具合いに、そのくらいの知恵を出し、寺社と協議するのが市長としての当然の責務だと思う。和服を着て、日本酒を乾杯用に使い、文化の伝道師ぶるのは、関係業界からちやほやされ、時には(多分)献金ももらえて気持ちがいいのはわかる。一方で、京都の寺社とハードネゴし、時には嫌がられることを避けたいのも人情だろう。

しかし、嫌なことにも知恵を出して率先してやるのが、市民から選ばれた者の大切な役割である。「やるべきことは断固としてやる」となれば、次の選挙では是非一票を投じたいと思えてくる。

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