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メタボ腹の原因は本当に朝食にあるの?

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ダイヤモンドオンライン掲載のなぜ食べ過ぎていないのにお腹に肉がつくのか メタボ腹の原因は「朝ごはん」にあった!と謂う記事を読みました。

著者は笠井奈津子さんという方で、記事にもあるプロフィールを読むと、聖心女子大学文学部哲学科を卒業後、栄養士免許取得。現在、栄養士、食事カウンセラー、フードアナリストとして活躍中。との事です。活躍していないどらねこ*1とは大違いですが、それはおいといて本題にうつります。

何が気になったのか?

大きく分けて二つの点で気になった事があります。一つ目は記事全体のテーマに関わるもので、二つ目は本文中の栄養学的な説明にいくつか不正確なものがある事です。全体のテーマに対する疑問点を本文を適宜引用しながら、個別の説明に対する問題点も指摘してみたいと思います。

朝食に原因があるって本当?

どらねこが読み取った記事全体としての主張は「食べ過ぎていないのにお腹がぽっこりしてしまうのは、食品の選び方や食べ方に問題があるからだ、それを解消すればぽっこりお腹解消になるかも」というものです。記事のどこに疑問などを感じたのか、見ていきたいと思います。

痩せ型の人もメタボ腹になる理由

たとえば、「大好物は揚げものです。ビールも飲むし、白米も食べます。ごはんを残したらいけないと言われていたので、ラーメンの汁も残さず完食しますし、マヨネーズをかけて食べるとなんでもおいしく感じます」…そんな人のお腹がぼてっとしていても、誰も不思議には思わないだろう。

でも、朝ごはんに食べるのはシリアルと牛乳、コーヒーもしくはパンに野菜ジュース。昼は会社の近くでランチ、夜はそのときの予定次第だが、そんなにお酒を飲む方ではない…という、どちらかというと痩せ型の人が、お腹だけはぽっこり出ていただら、どう思うだろう。

この部分については、そういった人もいるだろうな、という感想は持ちます。

ところで、引用元に「メタボ腹」という言葉が出てきましたが、これってどんな意味で用いられているのでしょうか? メタボリック症候群の事を意味するのであれば、様々な代謝性疾患のリスクを高くすると考えられている内臓脂肪型肥満の事を示すはずですが、日常語用いられる言葉であれば、単にお腹周りが大きくなっている状態を意味するかも知れません。しかし、筆者は専門家としての肩書きで記事を書いているわけですから、前者の意味で用いていると仮定して記事を読み進めます。

もしも、「やっぱり年をとったから仕方ないな~」と思っていたら、そのもったいない考えは捨ててしまおう。これもまた、食べ方に原因がある。それはなにかというと、パターン化している朝食の内容だ。このように、朝に食べるのが火を使わないでも食べられる料理ばかりだったら要注意だ。体を温めないまま1日をスタートさせると、代謝はガクンと落ちてしまう。

朝食の内容が問題であり、それは火を使わず冷たいモノばかり食べる事で代謝を落としてしまうから、脂肪がたまってしまうと謂うのが筆者の主張のようです。

でも、コーヒーは熱いじゃないか!と思うかもしれないが、コーヒーやバナナのような南国の食べものは体を冷やす性質があるともいわれている。一方、冬になると旬を迎える根菜は、身体を温める性質があるといわれているが、朝かられんこんのきんぴらや大根の煮物を食べたりするのは難しいだろう。そうしたら、せめて、いつも食べているパンに、ちょっと合わないと思っても、昨夜の味噌汁を足すくらいのフォローはしてほしい。

南国の食べ物は身体を冷やす性質があり、冬が旬の根菜は身体を温める、という話が正しい事を前提にしていますが、なぜか伝聞調です。栄養学ではそのようなカテゴリーとしての特徴は確認されておりません。少し詳しく言及した過去記事がありますので、興味のある方は参照して下さい

温める食べ物と冷やす食べ物

とはいえ、味噌汁を足すという考え自体は朝食の充実という観点からは良いと思います。

さらに、朝食にパンやシリアルしか摂っていないということは、タンパク質が1食分足りない可能性が高い。お腹をひきしめるためには筋肉が欠かせないが、その筋肉を作るのはタンパク質だ。そして、若かりし頃に身に付けた筋肉は、ただ減っただけではなく、毎日少しずつ作りかえられている。さらに、筋肉細胞は体内でもっとも脂肪を燃やしてくれる役割を負っている。つまり、毎日朝食のタンパク質が欠けていたら、引き締める素が足りていないばかりか、脂肪の燃焼効率も下がって、余計にでぷっとしたお腹になってしまう。

さて、この部分はどうでしょうか。朝食のタンパク質が不足していませんか?という指摘として考えればとても妥当なアドバイスではあると思います。しかし、その説明が妥当なものではないのが残念です。実はこの部分、話がかなりこんがらがってしまっているように思います。代謝低下の問題と、内臓や脂肪の下垂によるぽっこりの話がまぜこぜになっているんです。次の項で少し整理してみます。

ここで解説

筆者の笠井さんは、ひきしめるタンパク質が朝食に欠乏しているのが問題と謂いますが、朝食にタンパク質を十分とれば解決するというものではありません。そもそもの前提に誤りがあるのです。

平均的日本人が食べているタンパク質量は、必要と考えられるタンパク質量に比べかなり多い事が知られております。つまり、タンパク質不足で筋肉量が維持できなくなるような人は健康な成人ではあまりいないと考えられるんですね。筋肉量が低下するのは運動量の低下によるものだと考えた方が妥当なのです。

次に代謝の問題ですが、筋肉量が多い方が基礎代謝は高くなりますが、朝食のタンパク質で筋肉低下するわけではありませんので別問題です。そこで登場するのが、食事誘導性産熱という考え方です。

【食事誘導性産熱】

食べた物を消化吸収するのにも実はエネルギーが消費されるのですが、「炭水化物」、「脂質」、「タンパク質」

でその大きさがずいぶん違うんですね。中でもタンパク質はその割合が大きくて、摂取エネルギー量(いわゆるカロリー)の30%ほどにもなります。炭水化物の約6%、脂質の約4%に比べると格段に高い事がわかりますね。つまり、同じエネルギー量を食べるのならば、タンパク質の割合を多くした方が太りにくいという事なんですね。

そして、消化に大きなエネルギーをつかうということは余計に熱を発散することを意味します。朝にタンパク質の多い食事をすれば、身体がぽかぽかするのだとすれば、この理屈であると思います。

実は朝食について、もう一つ重要に感じている事があります。それは起床する時間です。熱を加えないで朝食で済ますのは、朝の時間が足りないという事と関係があるでしょう。起きてすぐは体温が低く、活動とともに徐々に上がっていくものなのですね。そんな状態で適度なエネルギー補給をするというのが朝食の役割だと謂えるでしょう。

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