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焦点:アリババの馬雲氏、公の場に登場も投資家の不安拭えず


[ニューヨーク/ボストン 20日 ロイター] - 中国アリババ・グループの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が20日、昨年10月以来初めて公の場に姿を現したことを受けて、同日のアリババ株は急騰したが、投資家の間では、同社と規制当局の対立は解けていないとの見方が根強く、アリババ株への投資に慎重な姿勢を示す向きも少なくない。

20日の香港株式市場では、馬氏が約50秒間にわたってビデオ会議に参加したことが伝わると、アリババ株が8.5%急伸。同日の米株式市場でもアリババのADR(米預託証券)が5%以上値上がりした。

馬氏が公の場から姿を消したのは昨年10月24日。中国の規制システムを批判した直後だった。同氏の批判を受け、アリババと規制当局の溝は深まり、アリババ傘下の金融会社アント・グループの大型新規株式公開(IPO)が差し止めらる事態に発展した。

関係筋によると、馬氏は目立った行動を避けるため、昨年終盤は予定を入れなかった。アリババ社内では、馬氏がいつどのような形で復帰すれば、投資家の不安を払拭できるかを議論。目立つことをすれば政府の怒りを買う恐れがあるため、馬氏の「通常の活動の一環」という形で公の場に姿を見せることが望ましいとの結論に至った。

馬氏は、アリババの役職を辞任しており、決算会見にも登場しないが、今もなおアリババとアントに大きな影響力を持っている。

20日のアリババ株は急騰したが、問題がすべて解決したわけではないという声は多い。

米コンサルタント会社チャイナ・ベージュブックのリランド・ミラー最高経営責任者(CEO)は「馬氏がどのような状態にあるのか、明らかにできるのは中国政府だけだ」と指摘。「われわれに分かるのは、馬氏が走り回っているのか、身を潜めているのか、といったことだけだ。アリババは危機から脱していない。今後さらに事態が大きくが進展するだろう」との見方を示した。

アリババ株を売却した2人の投資家は、アリババと規制の状況について追加情報がなければ再投資を検討できないと指摘する。

投資顧問会社ベイ・ストリート・キャピタル・ホールディングス(カリフォルニア州)の創業者ウィリアム・ヒューストン氏は「投資判断の最も重要な基準の1つがリーダーシップだ。私はリーダーとしての馬氏を心から尊敬しているので、アリババに投資していた」と発言。「馬氏が再び姿を見せたからといって、今(アリババに)何が起きているのかは、当然分からない」と述べた。

同氏は昨年、アリババ株をポートフォリオの8%から1%未満に引き下げた。アントのIPO延期で不透明感が極度に高まり、アリババは賢明な投資先にならないと判断したという。

カンバーランド・アドバイザーズ(フロリダ州)のデービッド・コトク会長も昨年、アリババ株を保有していたが、アントのIPO延期を受けて、保有株を売却した。「今回のように事態が展開している場合、通常の証券分析で投資先を決めるわけにはいかない。様子見に回っている」という。

アリババを取り巻く不透明感は強く、アリババの株価はアントのIPO延期前の水準を依然として下回っている。

ブライト・トレーディングの自己売買部門トレーダー、デニス・ディック氏はアリババ株を保有しているが、馬氏の行方を巡って憶測が広がった際に、プットオプションを購入して下落リスクをヘッジした。その後、馬氏が無事だという報道を受けて、オプション取引を解消し、アリババ株を継続保有している。

一部では、アリババの繁栄を許すほうが中国にとってプラスになるとの声も出ている。

コンサルティング会社バークレー・リサーチ・グループのパートナー、ハリー・ブロードマン氏は「アリババの株価に対する投資家の反応を見る限り、もし中国政府が理性的であるなら、金の卵を産む中国のガチョウに横やりを入れるのは賢明ではないことがわかるはずだ」と述べた。

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