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ウェブで政治を動かす!(津田大介)を読むと、日本の既存政治家になぜウェブやソーシャルメディアと距離を取る人が多いのか、何となく見えてくると思います

「ウェブで政治を動かす!」は、「Twitter社会論」や「動員の革命」などの著書でもおなじみの津田大介さんが書かれた書籍です。

 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。

 津田さんは、前著の「Twitter社会論」や「動員の革命」においても、ツイッターなどのソーシャルメディアが政治に与える影響について考察されていましたが、この書籍ではまさにその政治をウェブで動かすこと自体を真正面から捉え、様々な視点や出来事から考察を展開されています。

 メディアでも話題になった事業仕分けや改正薬事法、首相官邸のデモなど、実際に参加された方々や政治家の方にインタビューもされており、現時点での日本のウェブと政治を考察した書籍としてはベストと言える本になっていると思います。
 個人的にも先日「政治家のソーシャルメディア活用度ランキングにみる、日本は政権の中枢にいる人ほどソーシャルメディアを使ってないという現実。」という記事を書いているぐらい、この辺の話はウォッチし続けているつもりですが、そんな私でも知らない話や新しい発見が多々ありました。

 当然、この本に登場する政治家は、ウェブやソーシャルメディア活用に積極的な政治家なわけですが、そんな方々の発言の集合体を見るにつけ、逆に、なるほど既存の政治家がウェブやソーシャルメディアと距離を取る人が多いわけだ、となんとなく諦めにも似た感覚を感じてしまったりします。
 
 「津田大介、都知事選に出馬!?「都知事選までに新刊が300万部超えたら出ます」」なんていう話題もありましたが、個人的には、津田さんには是非このタイミングで衆議院議員選挙に立候補して、自らウェブで政治を動かす実践をしてもらいたいなぁと思ったりします。 

 ちなみに、One Voiceキャンペーンが、ネット選挙解禁運動についての署名募集をChange.orgで開始してますので、現状の選挙や公職選挙法に疑問を持っている方はこちらで署名を是非どうぞ



【読書メモ】

■国会議員を決める選挙には70歳を超える人々の80%近くが投票に行っているにもかかわらず、20代で選挙に参加しているのはここ10年近く40%を切っている

■第45回選挙における有権者の平均年齢は51歳。実際の投票者数ベースの中央値は53歳前後だ。

■われわれは「政治的無関心になっている」のではなく、メディアによって「無関心にさせられてきた」のだ。

■これまで、政策に関する議論がオープンにされてこなかった理由について、岸本議員は「結論ありきで、官僚がそこに政策を落とし込むためのプロセスに過ぎなかったため、できればオープンにしたくなかったのだろう」と分析する。

■2012年6月22日、首相官邸で関西電力大飯原発の再稼働撤回を求める抗議運動が起こった。主催者によると約4万5000人(警視庁によると1万1000人)が参加し、歩道を埋め尽くした。
↓当日の様子を撮影した動画
http://www.youtube.com/watch?v=w26klgPfBio

■6月29日、7月6日、どちらの結果も、マスメディアによる情報がデモを訪れるきっかけとなった割合は1~2割程度。それに対し、ネットやクチコミによってデモに参加した割合は7~8割にも及んだ。

■政治に大きな影響をおよぼすドイツやフランスの市民デモに「異議申し立てのため、ただ、参加するだけでいい」「デモは楽しいもの」という共通点があることをわれわれは知っておくべきだ。

■「インターネットで現代の奇兵隊になれる」(藤末議員)
 "世襲の侍"ではなく、インターネットやソーシャルメディアを通じて"普通の人"が政治に乗り込み、動かしていく

■多メディア時代におけるソーシャルメディアの3つの役割(アサンジ)
・プロが作った記事について、多様な視点を提供する役割
・埋もれているものを拡散して社会的問題にできる
・情報源としての役割

■アルジャジーラのアラビア語版は情報が出てくるスピードが速く、その分"飛ばし"の可能性も否めないのですが、未確認ながら価値が高かったり、衝撃的だったり、事実とすれば問題が進展するようなニュースがあれば、迷いなく報じられています。

■日本人は「信頼する情報のみを流すべきだ」という、旧来のマスメディアに求められていた価値観を、インターネットにもそのまま持ち込んでいるようだ。

■「ネットに世論がある、世論が表出されていると想定すること自体、バカげている。「ネット世論」という言葉も不適切で、「ネット小言」あたりに言い換えた方が良い」(菅原准教授「世論の曲解」)

■2009年、改正薬事法の施行
「IT・インターネット=金儲け主義というイメージは根強い」(世耕議員)
「自民党の多くは薬剤師会に気を遣い、民主党の多くの議員は薬害被害者団体にびびってしまって、全く動かなかった。」

■現状のネット世論にできることは、人々の投票行動を変え、政権を変えるという「大きなこと」ではなく、現在進行形である特定の政策問題に対し、政治家たちの尻をたたくことで強引に「議論のテーブル」をつくることではないか。
 いままでの高級な政治参加とは別の、激安の機能制限版普及型政治参加パッケージがソーシャルメディア上に生まれつつある。

■世耕議員は、インターネット選挙解禁の前に立ちはだかっているのは公職選挙法そのものではなく、インターネットに対する国会議員の無知、無関心であると指摘する

■2009年8月の第45回衆議院議員総選挙で、民主・自民両党とも、旧来の法解釈を背景に自粛してきた、告示後のウェブサイトの更新を行った。
 ところが、ウェブサイトの更新と共に、前述の公職選挙法第142条第一項「規定された文書図画意外の頒布」にあたると解釈されてきたブログの更新を行ったとして、愛知3区から出馬した自民党の馬渡前衆議院議員に批判が集まった。
 また、同178条では、自筆の手紙などを除き、選挙後にあいさつ文書を配布・掲示することが禁じられている。民主党の筒井信隆衆議院議員や小室久明衆議院議員は、選挙後、当選報告のお礼を自身のウェブサイトに掲載したが、該当記述を削除するに至っている。

■「テレビは"加工するメディア"であるから、それ(蓮舫議員の発言に対する担当者の返答を流しているテレビがほとんどなかったこと)は仕方がない。同じように、新聞も独自の視点を加味するので、事実の全体像を報道するメディアとしては不適当です。そんなときに現れたのが、情報を加工せずに広く伝えられるツイッター。まさに新しい政治メディアを手にした思いでした」(蓮舫議員)

■デジタルどぶ板選挙
 「自分から「和歌山県に住んでいます」とツイートしてくれた人には、必ず返事をしています。また「東京にいるんですけど、実家は和歌山の・・・」と言われたら、すぐさま和歌山県の事務所にいる秘書に、その建具屋に行くよう指示を出し、秘書から「ツイッターでお目にかかったので来ました」と挨拶をさせています。」(世耕議員)

■ソーシャルメデイアを政治家が利用する6つの理由
・自らの政治活動、国会状況の報告・告知を行うこと
・政治信条のアピール
・有権者とのコミュニケーション
・内部の人間でしか得られない情報を元にした、報道に類する行為
・政治的な発言や行動に対する市民の反応を調査、マーケティングする
・日常的な報告や雑感

■「特に自民党は、現在野党です。これまでは既存のメディアが大きく取り上げてくれましたが、今はありとあらゆるツールを使って、積極的に発信していかなければいけない。だから、ユーストリームやニコニコ動画の生放送を使い、インターネットユーザーに直接働きかける試みもしています。」(山本一太議員)

■「政治家というのは必ずしも議員バッジを着けた人に限りません。「政治家はメディアだ」と定義づけた瞬間に、こうやって市民として活動する福田依里子さんはもう政治家になっていたんです。」(橋本前議員)

■被災地の"バッジなき政治家"たち
 
■ガバメント2.0
「政府はユーザーの要求に応じてサービスを提供するプラットフォームであり、IT技術を利用して政府の持つデータをオープンにし、ソーシャルメディアが持つインタラクティブ性を政策決定に生かせる仕組みを作るべきだ」

■オンラインコミュニティの7つの原則(キャミー・クロフト)
・ユーザーにパワーを与えること
・連続したストーリー性を持たせること
・内容に信頼性を持たせること
・透明性を確保すること
・瞬間的な対応をすること
・計測可能で戦略的なゴールを設定すること
・試行錯誤で能力を拡張すること

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