1450人
「令和2年司法試験の合格発表について」(法務省)
合格率は39.2%でほぼ4割です。合格率は上昇の一途です。
2017(H29)年 25.9%(合格者1543/受験者5967)
2018(H30)年 29.1%(合格者1525/受験者5238)
2019(R01)年 33.6%(合格者1502/受験者4466)
受験者数の大幅な減少(3703人)により1500人を合格させるとなると40.5%となり、4割を超えることになっていました。
それでも4割弱ですが、得点では、まだまだ1500人に近づけようとすれば、まだ若干の「余裕」がありました。

私は当初、合格点を1点を下げることによって1500人を結構、超過するのかなとも想像していましたが、そうではありませんでした。
その意味では「大幅」に減少させたことになります。
これは政府目標としていた1500人を割り込んだということになります。
もともと政府は、2015年6月30日、法曹養成制度改革推進会議において次のように取りまとめていました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hoso_kaikaku/pdf/honbun.pdf
新たに養成し、輩出される法曹の規模は、司法試験合格者数でいえば、質・量とも に豊かな法曹を養成するために導入された現行の法曹養成制度の下でこれまで直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきである。 |
この取りまとめがなされた2015年ですが、司法試験合格者数は2014年2,102人、2015年2,049人であり、目標である数字を既に上回っていたという、普通にみればよくわからない状態でした。
その後、その「目標」に向かって徐々に合格者数が減少していくという奇っ怪な状況で、今年、いよいよその「目標」を下回ったということになります。
受験者数からみれば、現状の減少割合には問題はあります。
「2020年(令和2年)度司法試験合格判定にあたり、法曹の質確保のため適正かつ厳正な判定を行うよう求める会長声明」(札幌弁護士会)
今年度の減少自体は受験者数の大幅な減少が要因の1つですから、合格者数が減員されて当然とも言えるのですが、それでも1500人を「達成」できなかったことは司法試験合格者数の政策としては転換期とも言えます。
司法試験合格者数の大幅増は法科大学院制度維持のためのもでしかなく(建前は司法試験合格者数を増加させるために質の担保のために法科大学院制度を創設した)、法科大学院制度を今なお、絶賛する方々からは司法試験合格者数の大幅増が主張されています。
ロースクールと法曹の未来を創る会意見書
http://www.lawyer-mirai.com/file/seimei_10.pdf
恣意的な合格者抑制をやめるべきと主張していますが、それは逆で、恣意的というと語弊があるので政策的に増加させてきたのですが、それこそが法曹に混乱を与え、法曹志望者の激減を招いたのです。
政府は、これまので「改革」の誤りを認め、正常化に向けて舵を切るべきです。