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ワクチン詐欺横行のなかで実際に接種を経験 変異種拡大によるロックダウン下のイギリスで

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世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。日本でも、東京を始めとした11都府県で再び緊急事態宣言が発出、河野太郎氏をワクチン担当相に起用する方針を発表するなど、政府が感染拡大防止策を進めている。

筆者が住むイギリス・イングランド地方では、変異種の急拡大などを理由に6日前後から3度目のロックダウン体制が敷かれた。スコットランド、ウェールズ、北アイルランド地方もそれぞれの自治政府がほぼ同時にロックダウンを決定し、イギリス全体が日本の緊急事態宣言下の規制よりもはるかに厳しい「家に留まる、他者と会わない、例外を除き外出してはいけない」状態となっている。

筆者の家人はその中で1回目のワクチン接種を経験。不自由な生活を続けながらも、ワクチンの効果に大きな期待と望みをかけるロックダウン下のイギリスでの経験を伝えてみたい。

自宅にかかってきたワクチン接種の電話 詐欺行為の可能性も…

写真はイメージ(Getty Images)

14日、筆者の自宅の固定電話が鳴った。家人(77歳)が出ると、「明日、クリニックに来てワクチンを接種してください」という連絡だった。

ロックダウン下のイギリスで今、急ピッチで進んでいるのが、新型コロナのワクチン接種だ。3種類のワクチンが使用認可を受け、12月から米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチン、今月上旬からは英アストラゼネカとオックスフォード大学開発のワクチンの接種が行われている。

接種は国営の「国民医療サービス(NHS)」が一括して行う方式をとっており、誰が先に接種を受けるかは医療専門家組織の助言を受けて、政府がリストを決めた。

現在は、医療関係者、高齢者ケア施設の入所者及び職員に加えて、70歳以上の希望者を対象に全国各地で接種が行われている。

医療関係者や70歳以上の高齢者などを対象にワクチン接種が行われている。写真=A P

17日時点で約400万人が1回目の接種を終えている。ファイザーやアストラゼネカのワクチンはいずれも2回接種がセットとなっており、3-4週間の間隔を置いて2回目の接種を行うはずだった。しかし、一刻も早く最初の接種を行うことを主眼とした政府の方針で、2回目の接種は後回しになっている。

NHSから連絡を受けて、接種場所に赴いて無料で接種を受ける形を取る。しかし、このところ、「ワクチンを打ちます」と称して高齢者の家庭を訪れ、何やら液体を注射した後、日本円で2万円相当を要求するという詐欺が多数報告されている。

ワクチン接種を経験 施設前に長蛇の列

自宅にかかってきた電話も詐欺である可能性がある。筆者は半信半疑だった。そこで、翌15日、指定されたクリニックに向かう家人に同行することにした。

クリニックは車で5分ほどの場所にあった。設置された白い大きなテントの脇には列ができていた。

並んで待っていると、感染防止のためのマスク、バイザー、ケープを着た女性スタッフたちが予約の電話を受けたかどうかを一人ひとりに確認している。家人の番が来たので、予約があることを伝え、クリニックの建物の中に入った。

入るよう指示された小部屋の中には2人の女性看護師がいた。名前を伝えると、1人がコンピューターで情報を確認。もう一人がワクチンの入った注射器の針を家人の左上腕部に刺す。

「10分間、次の部屋で休んでください」と注射を担当した看護師に言われ、ワクチン接種のパンフレットとカードを渡された。カードには家人の名前と10分後の時間、ワクチン名(ファイザーのワクチンだった)が書かれている。「2回目もありますからね。忘れないでくださいよ」。

アレルギー反応を見極める10分間の待機 接種後の副作用は?

ワクチン接種のパンフレットと接種した人がもらうカード(右)。カードの裏には名前と接種日(1回目)、識別番号が付いている(筆者撮影)

次に入った部屋には間隔を置いて並べられた椅子に、数人の接種済みの人たちが座っていた。筆者と家人もあいている椅子に座った。10分間休むのは、その間にアレルギー反応が出る可能性があるからだ。国内で接種が開始された昨年12月初旬、ファイザーのワクチンを受けた看護師2人に急性アレルギー反応が出ていたが、現在、深刻な副作用の報告はされていない。

「注射した部分がジンジンする」と家人。痛みはないという。

10分後、防護姿の男性スタッフに外に出ていいかを確認し、テントを出た。

ファイザーのワクチンは最大95%の予防効果があるとされる。パンフレットによると、ワクチンを接種しても新型コロナ感染症にかかる可能性があるが、「重症には至らない」という。

政府は来月中旬までに70歳以上の希望者全員に1回目のワクチン接種を行うことを目標としている。該当者は1400万人にも上る。壮大な目標だ。果たして本当に実現できるのかどうかは分からない。

ワクチン接種を終えて、車に向かって歩いた。振り返ると、先ほどよりも長い列がテント脇にできていた。

ワクチンのパンフレットによると、接種後1-2日は疲労感、頭痛、体の痛みなどの症状が出ることがあるという。家人も翌日は寝たり起きたりしていたが、その後は通常の生活に戻っている。

ロックダウンの規則を守らぬ市民には最大90万円の罰金も

駅前の生花店が青果店に変身していた。ロックダウン下では不要不急以外の小売店は閉鎖となるが、食料を販売する店舗は営業できることを利用したものと思われる(撮影筆者)

イギリス政府が今年になってロックダウンを行った背景には、変異種の感染急拡大がある。特に12月以降は感染者数が急増しており、政府の調べでは、12月16日時点の感染者数が30日までの2週間で70%増加した。NHSイングランドによると、「30秒毎にコロナ患者が一人入院している」状態だ。

行動規制がかかるロックダウンを大部分の国民が「仕方ない」「困るが、必要」と受け入れているのも、変異種による急拡大が原因だった。

イギリスの人口の約90%が住むイングランド地方のロックダウン規則では、「家に留まること」が第一とされている。例外は医療サービスを受ける、金融機関の利用、食料などの生活必需品の買い物、1日に1回の近場での運動、自宅勤務ができない場合の通勤などだ。

学校は原則閉鎖。医療サービス、スーパーマーケット、建設業で働く親の子供のみ、通学が許される。 室内及び戸外での他者との交流は禁止。一人暮らしの人や育児支援を受ける人は他者と「サポート・グループ」を作る。

公共交通機関やスーパーマーケット、医療施設を利用する場合はマスクやスカーフなどで口元部分を覆うこと。

遵守しない市民には、日本円で約3万円の罰金を科される。何度も逸脱するようだと、罰金は最大90万円まで増大する。

ジョンソン首相や閣僚、医療関係者は「家にいてください(Stay at home)」のメッセージを繰り返している。

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