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経済はコロナ前に戻らない

表題のコロナ前に戻らない経済とは、その水準のことではない。水準的に元に戻らないものもあれば、飛躍的に伸びるものもある。経営者はもちろん、政治家もそのことを理解していなければ判断を誤る。全体として、いずれ経済の水準は増大するのだから。

こんなことを書く理由がある。スーツ小売会社の店舗縮小のニュースに接し、「やはりね」と思ったからだ。サラリーマンなら誰もが実感しているだろう。背広を着る機会が減った。ネクタイも同様である。リアルに職場に出向くとしても(僕の場合は会議に出席するとしても)、背広は「堪忍や」である。

緊急事態宣言が出されている状況は当然として、コロナを発端に、いつ何時、何があるかわからない事態だから、僕は動きやすい服装を好んでいる。「昨年のコロナ以降、背広姿はあったかな、ネクタイは」と、思い出そうとしても確たる記憶がない。靴はというと、街でも履けるトレッキング用のものを愛用している。今の状況においては、誰も「アホみたい」と非難しない。むしろ「そうやね」と同感される。

サラリーマンも多くは同じだろう。とすれば、背広、ネクタイ、ワイシャツ、ビジネスシューズなど売れるわけがない。居酒屋もそうだろう。そんな所でたむろしていたら、カミさんから「コロナを持って家に入らないで」と、シャットアウトされるが落ちだ。

こんなコロナによって強いられた生活も悪くはない。それに、コロナの収束はまだまだ先だろう。

こう考えると、経済をコロナ前に戻そうという努力は無駄である。コロナ後の社会がどのようになるのかをイメージし、そちらの方に傾けるのが筋である。言い換えれば、「コロナに負けた」ことを現実としてとらえ、負けを悔やまず、逆に明るい将来を見据え、どのように対応すればいいのかを考え行動するのが望ましい。

思うに、日本の社会は以上のような柔軟性に優しくない。

最大のネットはいくつかあるが、1つが既得権益者である。現時点まで「うまい汁」を吸ってきたわけだから、それを逃したくないと思っている。だから、コロナがあってもコロナ前に戻りたいと当然のように思う。

もう1つは労働市場である。終身雇用なんていう「夢物語」に基づき、雇用制度や社会保障制度が築かれている。でも、高度成長期を経験した世代にあっても、終身雇用が実現した割合はどの程度だっただろうか。また定年まで務めたとして、定年間近になって「幸せだった」と感じた割合はどの程度だっただろうか。多分少数だろう。「持っている能力を十分に活用できなかった」、「でもいいや」と思っているに違いない。

コロナは社会の大転換を強いている。自由な社会、自由な職業選択と従事、活発な起業が要請されるし、それによってむしろ経済が発展し、個々人の幸せが増進される。コロナは、この新しいステージへの入口を示してくれた。この意味で「感謝」である。

日本での象徴を示しておこう。東京圏での往復3時間前後の通勤とは何なのか。それが解消されれば生活が良くなるのか、悪くなるのか。多くの仕事をオンラインで処理できる結果、地方に住居を構えることも可能になるわけだが、それによってどのような生活が展望できるのか。その他、いろいろとある。

以上、各人は自分自身の問題としてよく考え、要望すべきものは社会(政府)に要望し、行動すべきである。

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