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風営法:クラバー達はもっとクレバーにならんと駄目というお話

前回の投稿は、非常に沢山のクラバー(クラブファン)の皆様に読んで頂けたようで嬉しくはあるのですが、そのコメント欄などを見るとあいも変わらず風適法(or風営法)を正しく理解していない方々が沢山いるようで、自分達が何と戦っているかを正確に理解せず、ただ感情的に憤慨をして声を挙げている人間が多すぎるのも困ったものだと思うのです。

1. 風適法が守っているもの


風適法が「ダンスを規制している」などと、未だに間違ったメッセージで煽っている集団が居るので仕方がない部分もありますが、風適法が規制しているのはダンスではなく「クラブ事業者の営業行為」です。また、営業そのものに関しても「禁止している」のではなく、そこに「一定の制限」を与えているだけ。風適法は、クラブの他にゲームセンターやパチンコ屋、キャバクラ、ショーパブなど「自分のウチの近くであまりムチャクチャな経営をされると嫌だな」と地域住民が考えるような業種に一定の営業制限を与えることで、地域住民の「生活環境と子供の育成環境」を守ることを目的としている法律であって、そのスタート地点を履き違えると完全に論議が明後日の方向に進んでしまいます。

2.事業者に与えられる制限


とはいえ、風適法はその中で規定されている各業種のことを単純に害悪視しているワケではなくて、それが適正に営業される限りは「国民に社交の場・娯楽&憩いの機会を提供する社会的に有意義な営業」であるとし、あくまで事業者が守るべき「最低限のルール」を示しています。そのルールを守っている限りは事業者が摘発を受けることはありませんし、良識のあるファンとしてまず行うべきは、適法営業の事業者を全員で支えてあげることにあるはずで、その上での「改正論」であるはずなのです。

で、そのルールの内容ですが、大きく「立地要件」、「人的資質」、「構造要件」、「営業手法」と4つに分かれていまして、以下に主なものをザックリとまとめます。(あくまでザックリなので詳細が必要な人は別にあたってください。)

立地要件
実は我々が暮らしている日本の国土には、都市計画法と呼ばれる法律によって「その使い方」に関する制限が掛かっていて、主に住宅用、商業用、工業用、それ以外の4つに分けられています。風適法で規制を受けている営業主は、この中で「住宅用」と定められた地域では営業ができない事になっています。すなわち、地域住民の生活環境は守らなければならんということです。

また、風適法では上記の用途制限の他に「保護されるべき施設」というのを定めていて、これら施設の近隣で事業者が営業を行なうことは出来ません。保護されるべきと定められているのは、学校、図書館 、児童福祉施設、病院、診療所など。主に、子供や老人、病人など、社会的に保護すべき対象と考えられている方々が集まる施設が対象です。

人的資質
風適法は、各事業を営む責任者に対して一定の人的資質を求めています。例えば、営業者、もしくは管理者として相応しくない者として考えられているのが、

-自己破産者
-過去5年以内に風適法違反、公然わいせつ、賭博、児童買春などに関する罪を犯した者
-組織暴力団関係者

などなど。こういう人達が経営する営業は好ましくないということ。自己破産者に関しては論議の余地はありますが、そりゃ私達だって例えば暴力団関係者が経営するような場所で遊びたくはありません。

構造要件
施設の構造要件は各営業種によって微妙に異なるので一定ではないのだけれど、その多くの規定は施設の中に見通しの悪い区域や、影になる区域を作らないための制限となっています。例えば、

-客室面積は、1室あたり66m²以上が必要(1、3、4号営業)
-客室の見通しをさえぎるような、高さ1m²以上のものを置いてはならない
-客室の明るさ一定基準に保たなければならない(あまり暗くてはならない)

など。その他、ちょっと観点は違うけど地域住民に迷惑をかけないための、騒音、振動を防止する設備を設けることだとか、顧客保護の為に施設の利用料金を判りやすい所に明示することなどが必要とされています。

営業手法
そして、最後に決められているのが、上記のような施設の中で行なわれる営業手法の制限。これも営業種によって大きく異なるのだけれど、多くの営業種に共通しているのが

-深夜営業の禁止(基本的には24時まで、別途条例がある場合は25時まで)
-18歳未満の少年の立入り制限
-18歳未満の少年を働かせることの禁止

などなど。それ以外の部分は、営業種によって大きく異なるのでこの場では割愛します。

3. 有るべき論議の形


上記を見れば判るとおり、個別論に関して言えば「これって必要なの?」と思われるものはあれど、風適法が定めるルールってのはそれぞれが一応の必然性があって生まれているワケで、そこには「地域住民の生活&教育環境を守る」という大儀があることは一方で頭の何処かに入れておかなければいけません。すなわち、クラバー側(含む事業者)が「営業者には経済活動の自由がある」とか、「我々には踊る権利がある」という主張をするのならば、一方で存在する地域生活者達の「生活環境に対する権利」はどのように守りましょうか?というバランスの取れた論議をすることが必要。

その辺をちゃんと理解した上で「ルールなんて何も要らない」ということならば「規制撤廃」を叫べば良いのだけれど、法が「何を守っているのか」すら理解せず、最近クラブが多数摘発され始めたという事象面だけを見て、ただただ脊髄反射的に怒号を挙げているようじゃぁ、世の中の賛同は得られない。先の投稿でも述べた通り、今の風適法の大きな体系は1984年に整備されたものであり、そろそろ各所に制度疲労が起きていて、その辺りの大幅改修が必要であるのは事実なのだけれど、一方でその前提として配慮すべき事柄もあることは理解して欲しい。

ま、いつまでもアウトロー的に「警察権力から自由を守るための戦い」などという何やらマンガ的な構図で戦線を維持したいのであれば、勝手に実のならない活動を続けて頂ければ良いのだが、法改正を本気で「実現させたい」のであれば、一部の変なメッセージに扇動されるのではなくて、クラバー達一人ひとりがもう少しクレバーかつ良識を持って物事を考えなけりゃならない。初期のカラ騒ぎの時期を経て、「いよいよ、そういう分岐点に至りましたね」と個人的には考えております。

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