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ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか

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ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか (PHPビジネス新書)

内容紹介

元DeNA社員の著者が、ソーシャルゲーム・ビジネスの実態をエキサイティングに解説!

日本中が不況に泣いていた時期から右肩上がりを続けるソーシャルゲーム市場。

それはいま、日本の産業のなかで唯一世界を牽引しているといってもいいほどに進化した市場なのである。

毎日目にするソーシャルゲームのテレビCMを見ていても、ユーザーでない人にとっては、一体なぜここまで儲かっているのか不思議でならないだろう。

本書では、その秘密について、ゲームをしない人にもわかりやく解説、他産業へのヒントとなるノウハウを可能なかぎり抽出した。

無課金ユーザーの重要性や、高学歴ゲームクリエイターの存在、そしてリアルタイムマーケティングの実態など、これからのビジネスのヒントがつまった一冊。



ああ、これは本当に「容赦のない本」だなあ、と読みながら考えていました。

ファミコン時代からの「ゲーマー」である僕は、「ソーシャルゲーム」に対して、「単純な内容の手抜きゲームに、ガチャなどの中毒性を加えて、ハマった人からお金を巻き上げまくる悪のシステム」みたいなイメージをずっと持っていました。

(とはいえ、「少しは遊んでいる」のですけどね実際は)


この新書、ありがちなタイトルではありますが、内容は、東大卒で実際にDeNAで働いていた著者が「ソーシャルゲームがお金を生む仕組み」を書いたものです。

「ソーシャルゲーム」というと、ネット上などでも叩かれがちで、これまで、さまざまなメディアで言及される際にも「依存症患者に対する取り組みが求められる」という「合法ドラッグ」的な扱いばかりでした。

しかしながら、著者は、そういう「社会的な問題」にあえて踏み込まずに「産業としてのソーシャルゲームのすごさ」を淡々と語っています。

「盗人猛々しい!」なんて怒る人もいるかもしれませんが、これを読むと、「ソーシャルゲームがあれだけの収益をあげている秘密のは、優秀な人間が、いかにユーザーにお金を使わせるかを、シビアに追究しつづけているから」だということがわかります。


この本の最初の部分を読んでいて驚かされたのは、「ソーシャルゲーム産業」の規模の巨大さでした。

 実態として、この10年の間、日本中他のどこを探してもこの業界ほど急成長したものは他にはない。2008年に突然現れ、降って湧いたようなお祭り騒ぎが始まった。

 DeNAは7期連続の売上・営業利益の最高記録更新中で2011年度決算は売上1452億円(対前年129%)、営業利益634億円(対前年113%)、GREEは売上1582億円(対前年246%)、営業利益827億円(対前年166%)。

 2000年12月末から2011年12月末、このおよそ10年の間で上場企業5000社弱の売上高成長率をランキングにしてみる。そこで1位に輝くのは、ほかでもないDeNAの4977%である。2位の楽天3739%や5位のカカクコム1499%を大きく引き離す数字である。

 まだ社歴10年にも満たない2004年設立のGREEはこのランキングには当てはまらないが、2011年9月に時価総額5000億円を突破し、ゲーム業界では任天堂、ソニーに次ぐ規模にまで躍り出た。

 ゲームは日本を代表する産業、そう考えると海外で大きく成長しているのでは? という声もあるだろう。だが二社ともその売上の大半が日本でのものなのだ(海外では2007年に設立したシリコンバレーのZyngaが最大手のソーシャルゲーム企業であり、DeNAやGREEと近い軌跡で成長を遂げている)。


 「ゲームが売れなくなった」「開発費が高騰するばかり」と、不景気な話ばかりのゲーム業界のなかで、「ソーシャルゲーム」の大手二社、DeNAとGREEは「ふたり勝ち」なのです。

 しかし、いままで長年日本のゲーム業界を引っ張ってきた任天堂、ソニーの次にGREEというのは、マイコン時代からのゲーマーである僕にとっては、衝撃的な話ではあります。

 あんなすぐに作れそうなカードゲームみたいなのばっかりの会社に、カプコンやコナミやセガが負けているのか……って。


「ソーシャルゲーム嫌い」の人こそ、この本を読んでみるべきなんじゃないかと、僕は思うんですよ。

「ソーシャルゲーム」=「社会問題」という切り口にばかりなりがちで、「嫌悪派」は、ハマる人たちは愚かなのだと、半ばバカにしてきたところがあります(すみません、僕もちょっとそう思っていました)。

でも、この本を読むと、「ハマる理由」もわかるし、どこまでがセーフなのか、と考え込んでしまうのです。

いまの「見えないものに値段がつく社会」で、「ソーシャルゲームのヒーローになって、承認欲求を満たすこと」は、そんなに愚かなことなのだろうか?

著者が述べているように、「ソーシャルゲーム」というのは、これからの日本にとって、大きな「産業」となりうるのではないか?


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