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【読書感想】雑草はなぜそこに生えているのか

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雑草はなぜそこに生えているのか (ちくまプリマー新書)
作者:栄洋, 稲垣
発売日: 2018/01/10
メディア: 新書





Kindle版もあります。

雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略 (ちくまプリマー新書)
作者:稲垣栄洋
発売日: 2018/02/16
メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
「抜いても抜いても生えてくる、粘り強くてしぶとい」というイメージのある雑草だが、実はとても弱い植物だ。それゆえに生き残りをかけた驚くべき戦略をもっている。厳しい自然界を生きていくそのたくましさの秘密を紹介する。

「雑草」というのは、実際に生えているのを「草取り」するときにはきわめて鬱陶しい存在なのです。でも、「雑草」という言葉には、しぶとくて、負けずにがんばる存在を象徴する言葉として、けっこうプラスのイメージもあるのです。

「雑草という名の草はない」と植物学に親しんでいた昭和天皇が側近に語った(もとは植物学者の牧野富太郎の言葉だった、という説もあるそうです)、というのは有名なエピソードですし、元プロ野球選手の上原浩治投手は「雑草魂」を座右の銘にしていました。アンチ巨人・カープファンの僕は「金満巨人に逆指名で入っておいて、『雑草』とか片腹痛いわ」と思っていましたけど(ファンの人すみません)。

 そもそも、雑草とはどのように定義されるものなのだろうか。

 アメリカ雑草学会という、雑草学の研究者の集まりでは、雑草は次のように定義されている。

「人類の活動と幸福・繁栄に対して、これに逆らったりこれを妨害したりするすべての植物」

 何だか、科学的な定義というよりは、人類の幸福とか繁栄とか、ずいぶんと哲学的に感じられる。もう少しわかりやすい言い方では、「望まれないところに生える植物」という言い方もある。これも、わかったような、わからないようなあいまいな言い方だが、つまりは、「邪魔になる草」ということなのである。

 ただし、雑草が「邪魔になる悪い草だ」というのは、西洋の考え方である。

 日本の辞書には、雑草とは「自然に生えるいろいろな草。また、名も知らない雑多な草」「農耕地や庭などで、栽培目的の植物以外の草」「生命力・生活力が強いことのたとえ」などと書かれていて、必ずしも邪魔な悪い草という意味はない。それどころか、「雑草のようにたくましい」と生命力や生活力が強いことのたとえとして、良い意味にも使われているのが、面白いところだ。

「アメリカ雑草学会」というのがあるんですね。

そして、この「雑草」についての定義や考え方も、アメリカと日本では、大きく異なるようです。日本人だって雑草には苦労しているのですが。

特定の種ではなく、「人類にとっての幸福・繁栄に有害かどうか」で判断するのであれば、同じ種の草でも「雑草」になったり、ならなかったりする可能性もあります。

著者は、「アスファルトの割れ目から芽を出した『根性ダイコン』は雑草なのか?」と問いかけてもいるのです。

 植物は、太陽の光と水と土さえあれば生きられると言われるが、その光と水を土を奪い合って、激しい争いが繰り広げられているのである。

 雑草と呼ばれる植物は、この競争に弱いのである。

 どこにでも生えるように見える雑草だが、じつは多くの植物が生える森の中には生えることができない。豊かな森の環境は、植物が生存するのには適した場所である。しかし同時に、そこは激しい競争の場でもある。そのため、競争に弱い雑草は深い森の中に生えることができないのである。

 雑草は弱い植物である。競争を挑んだところで、強い植物に勝つことはできない。そこで、雑草は強い植物が力を発揮することができないような場所を選んで生えているのである。

 それが、道ばたや畑のような人間がいる特殊な場所なのだ。

 生き抜く上で、競争に弱いということは、致命的である。雑草は、どのようにして、この弱点を克服したのだろうか。

 弱い植物である雑草の基本戦略は「戦わないこと」にある。
 強い植物がある場所には生えずに、強い植物が生えない場所に生えるのである。
 言ってしまえば、競争社会から逃げてきた脱落者だ。
 しかし、私たちの周りにはびこる雑草は、明らかに繁栄している成功者である。

 雑草は勝負を逃げているわけではない。土の少ない道ばたに生えることは、雑草にとっては戦いだし、耕されたり、草取りされる畑に生えることも雑草にとっては戦いだ。確かに、強い植物との競争は避けているけれども、生きるためにちゃんと勝負に挑んでいるのである。どこかでは勝負をしなければならない。ただ、勝負の場所を心得ているのだ。

 「雑草」は、他の植物より「強い」のではなくて、むしろ「弱くて、競争力がない」のです。
 だからこそ、「他の植物が生えない厳しい環境で生き延び、代を重ねるための戦略を駆使している」のだと著者は述べています。

 負ける競争をするのではなく、競争をしなくてもいい場所を選んで、雑草は生えている。
 人間からすれば、「なんでこんなに身近なあちこちに生えてくるんだ!」と思うのですが、植物にとっては、人間の生活圏に近い場所は、踏まれたり、耕されたり、土が少なかったりといった「僻地」にあたるのです。

 ちなみに、「雑草を完全になくす唯一の方法は、雑草をとらないこと」なのだそうです。草取りをしないと、次第に競争に強い大型の植物や木々が生い茂るようになり、弱い植物である雑草は光や栄養を得ることができず、生きられなくなるから。

 草取りも含めて、人間の手が入っているからこそ、雑草には繁栄の余地ができやすい。
 雑草は「人間にとって邪魔な植物」という定義がありましたが、人間がいなかったら、「雑草」は絶滅してしまうかもしれません。

 この本では、雑草のさまざまな「生存戦略」が紹介されていて、雑草のしたたかさと懸命に生き延び、子孫を残そうとする戦略に惹きつけられるのです。

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