- 2021年01月16日 13:16
ペーパードライバー講習受講者がコロナ禍で増加 運転復帰者や周囲の事故リスク軽減につながる注意点とは
1/2運転復帰の動きで車販売市場は活況

新型コロナウィルス感染防御のため、さまざまな行動の変容を強いられた2020年。そのひとつに、クルマの運転への復帰がある。
近年、クルマ離れは若年層のみならず、全世代で進んでいたが、新型コロナ感染症の蔓延がすぐに収束しそうにないことが明らかになるにつれ、教習所が行っているペーパードライバー講習の受講者が増加しているという。
パーソナルモビリティの代表格であるクルマは、さまざまな移動手段の中でも圧倒的に感染リスクが低い。意識の変化がとくに顕著なのは、その気になればマイカーを持ちやすい地方部。
東北地方の有力ディーラーの社長は今秋、「コロナ禍で引き合いが大いに活発になったのが中古車。新車販売も悪くありません。かわりに一気に後退したのがカーシェアリング。感染症に対する防衛意識の表れとみています」と語っていた。
大都市でも駐車場代が高く、経済的にクルマを保有しにくい人口過密エリアは依然として公共交通機関だのみだが、クルマは保有可能だが保有しなくても生活は成立するという郊外エリアでは、中古車の取り引きが増えたという実感を持つ販売業者が多い。
ペーパードライバー講習の受講者が増加しているのは、そういった一時的な“クルマへの回帰”現象の余波と考えられる。
コロナの脅威が低下したあかつきにもパーソナルモビリティへの分散傾向が続くのか、元の公共交通機関至上主義に戻るのかは予測がつかないが、長年運転しなかった人が運転に復帰するというムーブメントがしばらく続く可能性は高いだろう。
注意したいカムバックドライバーの「注意力が飛ぶ瞬間」
一方、運転にカムバックするペーパードライバーが路上に増えることは、道路交通におけるアクシデント、トラブルのリスクを増大させる懸念も孕んでいる。
これはある意味、致し方のないことだ。自動車メーカーが保険会社と共同で行った研究によれば、事故件数でなく事故率を世代別にみると、若年層がダントツで多い。
これはもちろん若年層が運動神経が悪く、注意力も散漫というわけではなく、免許取得後の平均経過年数が少ない、すなわち平均的な運転経験が浅いことに起因しているものと考えられる。その問題はペーパードライバーにもそのまま当てはまるとみていい。
が、路上とはもともと運転技量、性格ともバラバラなドライバーが多種多様なタイプのクルマを走らせる場所。普段から運転している人は、そういうドライバーが増えているという世情を十分に理解しておく必要がある。
ペーパーからのカムバックドライバーも、基本的にはちゃんと運転免許を取得していることに変わりはない。クルマを走らせる技量は持ち合わせているし、普段は周囲に対しても注意を払っているものだ。そんなカムバックドライバーがリスキーな状況に陥るのは、注意力が飛ぶ瞬間である。

その典型は道迷いである。たとえば交差点の構造が複雑でカーナビの案内がよくわからないときなど、いったん右折車線に入ってから間違いに気づいて慌たりするケース。
ここまでなら運転し慣れたドライバーでもちょくちょくあることなのだが、カムバックドライバーがこのような状況に陥ると、周囲に目を配る余裕を失って後方を確認しないまま直進車線に復帰しようとする。こういうときに事故が起こるのだ。
普段からドライブしている側としては、相手側のドライバーがそういう状態に陥っているという気配を察知する必要がある。道の分岐などで妙に速度が落ちたり、交差点に差しかかっても方向指示器を出すタイミングが遅かったりといった“何か普通と違う気がする”という違和感を大事にしたい。
また、そういうクルマを煽ったりといったことは論外として、ちゃんとキリキリ走れよと微妙にプレッシャーをかけたりするのもご法度。ここは初心者時代のことを思い出そう。
運転に不慣れな人にとって後ろが気になることは前方不注意の元。右折のときに早く行けとばかりに車間を詰めたりすると、対向車の切れ目が来たときにあわてて加速しながら右折し、その先の横断歩道で歩行者との事故が起こったりする。後方の自車も交差点で立ち往生し、別のクルマとぶつかることだってある。
信号のない地方道など、スムーズに走れる道でカムバックドライバーを見分けることは難しいが、たとえばカーブの走行ラインを後ろから見て糸を引くようにスムーズか、カクカクと微妙にハンドルを切り足したり切り戻したりしているかである程度相手の技量を推し量ることができる。
追い越すときは車間を取って方向指示器を数回点滅させてから加速に入るなど、いつも以上に自分の意思を伝えることに気を配りたい。そうすれば相手がパニックに陥らずにすむ。相手を慌てさせないことが、自分が事故に遭わないための基本中の基本であるということをあらためて肝に銘じたいところである。
運転復帰時に注意したい事故リスクの高い状況

一方、カムバックドライバーのほうは路上でどのように振る舞えばいいか。終始無理をしないことは言うまでもないことだが、それと並んで大事なのは他のクルマの動きをよく見ることだ。
たとえば普通に走っているクルマが交差点でもないのに急にスピードを落とした場合、自分からは見えていなくてもそこに何かがあるということがよくある。
他車がなぜそういう行動をしているのかはわからくとも、そういう行動をする理由が何かしらあることは間違いないのだ。他車が動きを変えたときには注意力を普段の2倍に高めよう。
半面、他車の動きに気を取られすぎるのもアクシデントの元だ。先に述べた右折のケースなど、さっさと行かないと後ろに迷惑がかかるかもといった気遣いは一切無用と考えていい。そして、右折はワンアクション先ではなくツーアクション先のことを想像しながら走るのが肝要ということの好例でもある。
交差点を曲がること自体の安全性は大事だが、それは対向車の死角に何かいないかといったことに注意を向ければすむ話で、状況を把握するのは容易。ところがひとつの目的の先についてもクリアかどうかを考えるのは、実は運転に慣れた人でも難しく、運転における永遠のテーマとすら言える。
「良かった、対向車の切れ目をとらえて上手く曲がれた」と安心したところで目の前に歩行者がいたり、自転車が速いスピードで走ってきたりといったところで事故が起きがちなのだ。しかも、歩行者や自転車は横断歩道の信号が赤に変わっていても構わず横断してくるケースがあるから要注意である。
道路上は何があるかわからない。事故が起こるポイントも無数にあるが、そのリスクが極度に集中するのはこれまで記してきたようなクルマ対クルマ、クルマ対歩行者が交わるところで、かつ目の前のこと以外にも注意を払わなければならないシチュエーション。
針路を変えるリスクと道路環境、他車の行動の変化に気をつけさえしていれば、そうそう危ない目には遭わないですむ。



