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自衛隊の国防軍化は必要か?

自民党が政権公約に改憲と国防軍創設を明記し、民主や維新の会などが反発することで、防衛問題が選挙の争点となろうとしています。

防衛問題が、かつてこれほど選挙の争点になったことはないのではないでしょうか。社会党が政権奪取した際も、選挙という国民の審判は受けていませんでした。

ただし、60年安保が選挙になっていれば、この時以来ということになるでしょう。いずれにしても、改憲、国防軍創設、国防費のGDP1%枠等、国民が真剣に考えることは、今後の国防にとって非常に重要ですし、これらが争点となって戦われた結果として発足する内閣は、国防問題において国民の意思を反映しているという点で、中国など他国との折衝・紛争においても、確固たる判断が下せるはずです。

さて、以上は前置きです。

ここからは、自衛隊の国防軍化の是非について、書きたいと思います。維新の会の橋下氏は、「国防軍と名称を変えることが重要なんてナンセンス」だと言っています。公明党の山口氏も「長年定着した自衛隊の名称をことさら変える必要性は今はない」と言っています。

双方とも、必ずしも反対ではないようですが、労力を注ぐべき点でもないと見ているようです。

論点は、2つあると思います。

名前だけなら必要ないのか?そして、名前だけなのか?という点です。

まず、名前だけでも変える意義があるかという点ですが、私は、国内的には必要ないが、対外的には必要だと思っています。

国内的には、自衛隊という名称と現在の有り様は、既に国民に受け入れられていると思います。名は体を表すという言葉がありますが、名称が自衛隊だろうが国防軍だろうが、国民は支持をしてくれるでしょう。

橋下氏も、名称は自衛隊のままでも集団的自衛権行使を閣議決定か国会で認めれば良いと主張しており、それができるなら必ずしも必要ではないと思われます。

変わるとなれば、それはそれで感慨深いモノがありますし。ですが、対外的には変えた方が適切です。英語での話しになりますが、Self-Defense Forcesは誤解を招きやすい名称だからです。日本語の「自衛」は、自衛隊の存在が、その意味を変えてしまったかもしれませんが、英語のSelf-Defenseは、暴漢に襲われた際に、護身術や軽易な武器で身を守るようなニュアンスになります。

それに軍事用語のSelf-Defenseは、部隊が損害を被ったり残りの弾薬が乏しくなり、他の部隊の援護などの積極的な戦闘を行わず、自分の部隊が攻撃を受けそうになった際にのみ反撃する状態を言います。

ですので、訓練でアメリカに行った際も、俺はAir Self-Defense Forceだなどと米兵に言った所で、ポカンとした顔をされるだけでした。

最初は、説明しようとしたこともありましたが、直ぐに面倒になりAir Forceだと名乗っておりました。自衛戦闘しかしない軍隊なんて考えられないからです。

対アメリカは、ある意味笑い話ですから、自衛隊のままでもいいかもしれません。ですが、中国や韓国といった漢語圏では、笑い話では済まないでしょう。

政府見解では、改憲や解釈の変更を行わなくても、策源地攻撃が可能となっています。ですが、中国や韓国からすれば、自衛しか行わないはずの自衛隊が策源地攻撃を行えば、それはウソ、看板に偽りありと映るはずです。

自衛隊という名称は、それだけで誤解を与えかねない名前なのです。ですから、名前だけでも変える必要があります。次に、名前だけなのか?という疑問について考えてみます。自民党は、4月に発表済みの憲法改正草案で「平和主義を継承するとともに、自衛権を明記し、国防軍の保持を規定」と盛り込んでいます。

安倍氏も、改憲を明言している訳ですが、現憲法には、「自衛隊」の語は出てきません。(制定時には自衛隊は無かったのですから当然です)

つまり、改憲しなくても、名称変更は可能な訳です。個別自衛権行使のための組織名称は、自衛隊だろうが国防軍だろうが構わないはずだからです。

当然、自民党の考えは、単なる名称の変更だけに止まらないということです。アメリカは、アフガン紛争ですら自衛権の発動として実行しました。自民党は、そこまでのことを意図してはいないでしょうが、策源地攻撃だけでなく、先制を含め、より積極的な戦闘行動を可能とするよう考えているのでしょう。

先進諸国では、法で規定などしなくても、軍隊が政府の意志に反して行動することなどありえません。(日本の場合、すぐに軍隊が暴走するという話になるので……)安倍氏が、「交戦規定にのっとって行動する」と発言しているのも、交戦規定を設けることで自由に戦闘させるという意味ではなく、交戦規定で縛ることにより、政治の意志を軍事行動に反映さえるという意味でしょう。

戦闘行動については、法で規定するのではなく、政府の意志として規制すればいいだけですから、国防軍への名称変更に伴って行われる憲法を始めとした法制の改正は必要な事だと思います。

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