記事

中国の新しいスポークスマンと日本(尖閣諸島)に対する対応

中国で習近平体制がスタートしたのに伴い、ある意味中国の顔とも言える外交部のスポークスマンも交代となりました。新たに着任したのは華春莹という女性の方で、中国としてはソフトなイメージを出そうとして今回の人選になった様です。

 で、実際どのように変わったのかという話になるわけですが、記者会見の様子を『環球網』が伝えていたので(中方驳斥中国国防开支增长致中日关系紧张说法)、これについて少し。


1 記事の紹介


 最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 2012年11月22日 定例の記者会見

 華春瑩の発表事項。メキシコ政府の招待により、全国人民代表大会常務委員会の路甬祥副委員長が特使としてメキシコを訪問し、12月1日のメキシコの大統領就任式に出席する。外務大臣の招きにより、スリナム共和国の外務大臣が11月26日~29日の予定で中国を公式訪問する。

 質問:パレスチナ大統領の特使との会談状況を教えてもらいたい。

 回答:今日午前、楊潔篪外務大臣は、パレスチナ特使と会談を行い、ガザの情勢や、国連のオブザーバーとしての申請などについて話し合った。楊大臣は、イスラエルとパレスチナの間で停戦が成立したことを歓迎し、双方が停戦合意を履行し再度衝突が起きないことを希望した。

 中国人民のパレスチナ人民に対する友好的関係を表すため、中国政府はパレスチナ側に緊急の人道主義的援助を提供することを決定した。楊大臣は、国際社会はパレスチナ問題の重要性を十分に認識し、パレスチナとイスラエル双方が会談を行い、実質的な進展がなされるべきと強調した。

 楊大臣は、中国側はパレスチナ人民が民族の合法的な権利と正義を回復する努力及び、パレスチナが国連のオブザーバー加盟など国際組織に参加することに対する支持を表明した。

 質問:コロンビアで誘拐された4名の中国人労働者が21日に釈放されたが、これについて具体的な情況を説明してもらいたい。

 回答:コロンビア現地時間の11月21日夜、昨年6月にカケタ県で誘拐された4人の中国人労働者が釈放され、チャーター機で首都に到着した。中国駐コロンビア大使や会社の関係者がこれを出迎え、できるだけ早い時期に帰国する予定だ。

 中国側は救助作業に参加した人々に感謝の意を表わす。誘拐事件が発生した後、中国側はこれを非常に重視し事にあたった。外交部、コロンビア公使館、会社はコロンビア政府と連携をとりながら、誘拐された人員の安全な釈放について努力してきた。

 コロンビア政府はこの問題を重視し、中国側に協力してくれたこと、赤十字国際委員会も協力をしてくれたことについて、中国側は感謝の意を表わす。

 質問:自民党の安倍晋三総裁は、中国の国防出費の増加、中国の釣魚島に対する態度が中日関係の緊張をもたらした原因としているが、中国側はこれについてどう思うか。

 回答:日本の不法な「島の購入」は中国領土の主権を侵害して、現在の中日関係に困難な局面をもたらした。中国側の行動は領土を守るために必要なものだ。

 中国側は終始一貫して平和的な道を歩いてきており、アジア地区の平和と安定にとって重要な力である。中国側は常に抑制的に行動し、交渉・協議を通じて問題を解決することに力を尽くしている。中国の国防政策は自国の安全、主権と領土を守るためのものであり、いかなる国家にも対応していない。

 反対に日本は、ここ数年様々な口実を設け、軍備を拡充して、軍事同盟を強化し、地区の安全問題を起こしている。日本側がすべきなのは、真剣に自分の行為を考え、地区の平和と安定に有利かどうか考えることだ。

 質問:欧州債務問題はヨーロッパを悩ませており、現在EUは予算協議で苦しんでいるが、これについてどう思うか。

 回答:中国側は一貫して欧州債務危機に対するEUの努力を支持しており、欧州とは引き続き共通認識を持ち、債務問題を解決し、経済が回復することを希望している。


2 個人的感想

 実際は他にもいろいろやりとりがあったのでしょうが、ここに掲載されているものを見る限り回答は綺麗にまとまっていて、回答自身もこれまでの中国政府の立場を繰り返しているだけで全然おもしろみがありません。

 上から見ていくとパレスチナ問題はイスラエルを支援しているアメリカに対する対抗から支援していることが見え見えです。

 「イスラエル人民の民族の権利」と簡単に述べておりますが、本当はやっかいな問題で、チベット族やウイグル族にしれみれば何故イスラエルだけを認めて、我々の権利を認めないのかということになるわけですが、如何にこうした「民族」という概念が恣意的に使われているかがわかります。

 コロンビアの人質問題は記事にあるように昨年6月に誘拐されてやっと解放されたわけですが、アフリカや南米など治安の悪いところで、仕事しなくてはならない中国人労働者には本当に同情します。

 ここで「感謝」の意を散々表していることを見るとどうしても万里の長城を観光中に遭難した日本人を中国政府が救助したことに対してこれ見よがしに宣伝をしていたことが忘れられません(ダライ・ラマを「売国奴」と批判する中国)。

 日本(尖閣諸島)に対する対応はこれまで通りでなんの変化もなく、相変わらずの反応ですので、確かにスポークスマンは変わったかもしれませんが、とても日中の関係改善を期待することはできません。

 以前書きましたが中国のスポークスマンというのは、あくまで様々な世論をうまく誘導するのが仕事であり、中国に都合の良い情報を伝えるのが仕事なので(中国のスポークスマンのあるべき姿)、こうした日中関係はスポークスマンが誰に代わっても代わらないのかもしれません。

 なお、いつか機会があったらまとめたいと思っておりますが、中国は本当に安倍総裁の発言に対し神経質になっている様で、私から見ると、とても実現しそうにないものまで気にしている様が何ともいえません。

あわせて読みたい

「中国」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    架空情報を使いワクチン接種予約した朝日新聞出版&毎日新聞 岸防衛大臣の抗議は筋違い

    諌山裕

    05月18日 14:25

  2. 2

    早くもウーブン・シティ開発に着手 にわかに信じがたい豊田章男氏の経営スピード

    片山 修

    05月18日 08:11

  3. 3

    マリエさんの枕営業告発が一瞬で話題から消えた2つの理由

    PRESIDENT Online

    05月18日 16:25

  4. 4

    コロナ禍で取り残される「好きなこと」が無い人 誰かを責める前に行動せよ

    かさこ

    05月18日 09:02

  5. 5

    「ワクチン大混乱」を招いたのは誰? 河野太郎の“突破力とスタンドプレー”に現場は困惑 - 辰濃 哲郎

    文春オンライン

    05月18日 10:23

  6. 6

    『週刊さんまとマツコ』はなぜそっちへ行った?残念な理由

    メディアゴン

    05月18日 08:21

  7. 7

    アドバイザリーボード・分科会と感染研は信頼に足るのか?

    青山まさゆき

    05月18日 08:20

  8. 8

    負傷者数半減は嘘?交通事故を物損事故として扱う警察の怠慢

    紙屋高雪

    05月18日 08:42

  9. 9

    「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない〜統計はウソをつく

    新井克弥

    05月17日 14:16

  10. 10

    野村、米顧客取引関連で今期650億円の損失計上 ポジション処理完了

    ロイター

    05月18日 18:10

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。