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バイデンの米国②親中的グローバル化に回帰【2021年を占う!】米国

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バイデン氏 出典:GOOD FREEPHOTOS

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

【まとめ】

・バイデン政権の通商政策は「自由貿易を名乗らない自由貿易協定」。

・バイデン氏は「対中強硬」を装いつつ、グローバル化を復活を狙う。

・「対中関税緩和」等、バイデン氏は中国に親中姿勢である。

首都ワシントンで1月6日に発生したドナルド・トランプ大統領支持者による米連邦議事堂への乱入事件は死傷者が出る惨事となり、1月20日に就任予定のジョー・バイデン次期大統領の当面の注意は、コロナ禍や減速が著しい米経済、さらにトランプ大統領の罷免・訴追など内政問題に張り付くこととなった。

そのため、バイデン次期政権の通商政策に関する方針の表明は、先送りになる可能性が高まった。しかし、そもそも4年前のトランプ政権誕生の大きな要因となったのは、ボーダーレス化による雇用の流出や仕事の質の劣化による、国内情勢の不安定化だ。米議会への乱入事件も、大元をたどればグローバル化による白人中間層の没落が大きな役割を果たしている。

その意味で、米国が自由貿易を推進するのか、あるいは後退させるのかは、この先4年のバイデン時代、さらにはその先の米内政の安定を占う重要な要素となる。具体的には、世界で拡大する脱グローバル化の動きに次期政権がどのように対応するのか、それに関連してトランプ政権が開始した米中貿易戦争をどのように扱うのか、などが注目点となろう。

米労働者「保護」の方針

バイデン次期政権の当面の通商政策は、「自由貿易を名乗らない自由貿易協定」である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、前身である北米自由貿易協定【NAFTA】の後継)をひな形とする多国間通商を拡大する可能性が高いと筆者は見る。早い話が、トランプ政権の方針を継承する「トランプ2.0」だ。

たとえば、バイデン次期大統領が米通商代表(USTR)に指名した台湾系米国人のキャサリン・タイ下院歳入委員会通商担当首席法務官(中華名: 戴琪)は、そのUSMCA交渉において重要な役割を演じた人物だ。メキシコに、高い労働者保護基準を飲ませて同国の労働コストを吊り上げ、メキシコに流れていた米国の雇用の一部を再び米国に戻すという「自由度をいくらか弱めた自由貿易協定」の推進者であり、その手法をバイデン政権下の通商交渉にも使う可能性が高い。

これに、バイデン次期大統領の公約である「米国から海外に業務を移す企業に懲罰税を課し、米国内で雇用を創出する企業を優遇する」という税制改革を組み合わせ、ポピュリズムや極右台頭の大きな原因となった白人中間層の没落に対処する考えと見られる。

ただし、歴代米政権の通商政策の基本は自由貿易だ。クリントン・オバマ政権時代に金融のさらなる自由化、メジャーな自由貿易協定の相次ぐ締結など新自由主義的な経済政策を積極的に採用した「財界の味方」である民主党が、脱グローバル化に舵を取るとは考えにくい。事実、バイデン政権の組閣において、労働者側に立つ民主党左派はことごとく排除されている。

そのためバイデン新大統領は、リップサービス程度で効果の薄い「労働者の権利保護」を行いながらも、自由貿易という基本政策は変更しないだろう。グローバル化をストップすることは、富裕層や大企業とズブズブの民主党の権力基盤を壊すことだ。それを見越した米市場はイケイケの「バイデン相場」で応じており、米財界も安定をもたらすと期待されるバイデン氏への強い支持を表明している。

つまり、バイデン次期政権の「労働者保護」は、内実においてグローバル化で肥え太る富裕層や大企業の保護なのであり、他国労働者との競争にさらされる米労働者の立場は弱いままとなる。没落した白人中間層が、民主党首長によるロックダウン政策推進がもたらす失業や収入減でさらに困窮し、その結果として一部が過激化し、国内テロなどに走る可能性は低くないものと思われる。

バイデン次期政権は、米議会乱入事件の大元となったグローバル化による経済格差拡大を解決するどころか、逆に悪化させることにより、さらなる分裂と社会不安を引き起こすことになろう。米国の内乱による自壊が加速して高笑いするのは、中国の習近平やロシアのプーチンである。

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