新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に始まっていますが、どのワクチンをどのように接種するのが有効なのかをめぐる報道が相次いでいます。
中国企業が開発したワクチンの有効性が、臨床試験を行った国によって大きく異なるとして透明性に対する懸念が広がっているそうです。
FTはPharma lobby warns against extending COVID jabs times(医薬業界、ワクチン接種の間隔を広げることに警戒感)の中でアメリカとヨーロッパの医薬業界の主要な業界団体が13日、新型コロナウイルスのワクチンの接種の間隔を広げることに警戒感を示したと伝えています。
イギリス政府は▼ビオンテックとファイザーが開発したワクチン、▼オックスフォード大学とアストラゼネカが開発したワクチンの2回目の接種時期を遅らせて、より多くの人が1回は摂取できるように決めたとしています。ファイザーの場合で21日の間隔を12週間とするそうです。
ドイツやデンマークなどほかの国も同様の措置を決めた、あるいは検討しているとしています。
これに対してアメリカのアザー厚生長官は「逆効果」だとして反対しているということです。
イギリスは異なるワクチンを混ぜるという緊急計画も打ち出しているとしています。
BBCはSinovac: Brazil results show Chinese vaccine 50.4% effective(中国シノバックのワクチン、ブラジルでの結果は50.4%の有効性)の中で、中国のシノバックが開発した新型コロナウイルスのワクチンについてブラジルで臨床試験を行った結果、有効性は50.4%だったと伝えています。
インドネシア、トルコ、シンガポールなどがこれまでにこのワクチンを注文しているものの、ブラジルのデータは中国が公表していた数字より低いということです。
ただ、トルコは有効性が91.25%だとしているほか、このワクチンの接種を12日に始めたインドネシアは65.3%だとしていて、国によってデータがばらつきがあるということです。
WSJもChinese Covid-19 Vaccine Far Less Effective Than Initially Touted in Brazil(中国のコロナワクチンの有効性、当初言われていたよりはるかに低かった)の中で、ブラジルによると中国のシノバックが開発したワクチンが当初の発表よりも有効性が30%低く「中国の研究の透明性に対する懸念が増した」と報じています。
WHO=世界保健機関はワクチンを広く接種するためには50%の有効性を求めていて、中国シノバックのワクチンはこの水準には達しているものの、中国当局の透明性の欠如によりワクチンに対する世界的な信頼性が落ちかねないと懸念を示しています。
先進国が欧米のワクチンを次々に買い上げるなか、南米、アフリカ、アジアなどの発展途上国は、運送がより簡単なシノバックなど中国企業が開発したワクチンに望みをかけているということです。
中国では新型コロナウイルスの患者が減ったことで、中国のワクチン開発企業はブラジル、インドネシア、トルコで臨床試験を進めたそうです。国によって有効率が大きく異なるからワクチンの有効性に疑義が広がっているということです。