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安倍前首相「説明」に残る“重大な疑問”、限りなく「意図的虚偽答弁」に近い

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 コロナに明け、コロナに暮れたように思える昨年は、一方で、首相の国会での「虚偽答弁」に始まり、その「虚偽答弁」についての「国会説明」で終わった年でもあった。

 新型コロナ感染対策や東京五輪開催をめぐって、多くの失敗を繰り返してきた安倍政権が終焉、それを受けての自民党総裁選では、安倍政権に一貫して批判的だった石破茂元幹事長「排除」が至上命題とされ、菅氏の圧勝に終わった。菅政権に移行した後も、安倍政権時代の説明責任軽視の姿勢は基本的に変わるところはなく、菅首相も、就任直後から、「説明責任」を果たしていない(果たす「言語能力」もない)ことに国民は失望し、内閣支持率も急落している。

 安倍内閣から菅内閣に引き継がれた「説明責任無視」の姿勢は、一極集中の政治権力に擦り寄る政治家の集りの自民党の「宿痾」であり、その根本にあるのが、「桜を見る会問題」をめぐる安倍前首相の「虚偽答弁問題」だと言える。

 一昨年末から昨年の年初にかけて、マスコミや野党から「桜を見る会問題」での追及を受け、安倍首相が行った説明について、私は、公選法違反・政治資金規正法違反の疑惑との関連で「完全に詰んでいる」と指摘してきた(【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】)。

 議院内閣制は、総理大臣を中心とする内閣が、国会で真摯に誠実に答弁することが前提とされている。その総理大臣の答弁が、重要な事項について「説明不能」の状況に陥ったのであれば、職を辞することになるのが当然だ。ところが、安倍氏は、「説明にならない説明」を繰り返したため、「全国の法律家による告発」という形で公選法違反等の犯罪の嫌疑が現実化した。

 しかし、安倍首相在任中に、検察捜査の動きが表面化することはなく、当時、「官邸の守護神」とも言われた黒川弘務東京高検検事長の存在との関係も取り沙汰された。そして、安倍首相が国会で「桜を見る会問題」で追及を受けている最中の1月末、検察庁法に違反する閣議決定によって黒川検事長の定年が延長され、さらに、それを正当化するためとしか思えない検察庁法改正法案が国会に提出されたことに対して、ネット世論を中心とする国民の猛烈な批判が沸き起こり、法改正は断念に追い込まれた。

 もともと安倍氏の説明は、検察捜査によらずとも、国会の国政調査権でホテルニューオータニから明細書や領収書を提出させれば容易に判明していたはずの明白な「虚偽」だった。ところが、上記の経過で、検察は安倍首相辞任後になってようやく捜査に動き出し、「虚偽答弁」が明らかになるのに1年近くを要した。

 その「虚偽答弁」について、昨年末、安倍氏は「国会での説明」を行ったが、全く説明にはなっておらず、多くの疑問が残ったままだ。

 安倍氏の「説明」について、それが意味するものと、なお残る疑問点、問題点を、改めて整理しておこう。

 第一に、「虚偽答弁」について、そのように答弁した理由について、安倍氏が説明未了の重要な点がある。それは、繰り返し指摘してきた「ホテルとの契約主体」の問題だ。

安倍氏は、国会答弁で、「安倍晋三後援会は夕食会を主催したが、契約主体は個々の参加者だった」と説明していた。それについて、私は、当時から、「『桜を見る会』前夜祭に関して、安倍首相が『説明不能』の状態に陥ったということである。」と指摘していた【前記記事】。

 今回、総理主催「桜を見る会問題」追及本部の今年1月5日付けの質問状に対して、安倍事務所は、上記の契約主体に関する答弁を「事実と異なる答弁」の一つとして回答した。

 そこで問題になるのは「契約主体が個々の参加者だなどという荒唐無稽な説明を、誰が考えたのか」という点である。

 その点については、安倍氏は、「秘書から事実に反する説明を受けた」とは言っていない。「契約主体は個々の参加者」という説明は、安倍氏自身が、公選法違反・政治資金規正法違反を免れる「言い訳」として苦し紛れに作り出したものなのかもしれない。

 ホテルとの契約主体についての虚偽答弁について、安倍氏に十分な説明を求めれば、意図的な虚偽答弁が否定できなくなるはずだ。

 第二に、安倍氏の説明には致命的な弱点(もう一歩追及されると意図的なウソだったことがばれる点)があるということだ。

 前夜祭の費用の補填は、秘書が、自分が預けていた個人の金から無断で拠出していたと説明し、その費用補填が公選法による「寄附の禁止」(199条の2第1項)に該当しないのかという点について、安倍氏は、補填分は「会場費」の実費を負担したもので、同項が「寄附」から除外する「政治教育集会に関する必要やむを得ない実費の補償」に該当するので、違法ではないと説明している。

 しかし、この説明には重大な疑問がある。

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