- 2021年01月13日 08:31
「禁断の音楽」聴きまくった北朝鮮男性を公開処刑
1/2北朝鮮の金正恩党委員長は5日から行われている朝鮮労働党第8回大会での報告で、「社会生活のあらゆる側面で北朝鮮独自の革命的生活様式を確立し、非社会主義的な要素を完全に排除する」よう呼び掛けた。
非社会主義とは、北朝鮮が「社会主義に似つかわしくない」と考えるすべての要素を指す。金正恩氏の呼びかけで、そうした要素に対する取り締まりはいっそう激しくなるだろう。
また、12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会では、「反動的思想・文化排撃法」が採択されている。主に韓流と海外のラジオ放送にターゲットを絞って取り締まりを強化するためのものだ。
施行当初は人々に法を広く知らしめ、恐怖を植え付ける目的で、違反者を公開処刑するのが北朝鮮の常套手段だが、実は同法の成立前に犠牲者が出ている。
(参考記事:『愛の不時着』見たら公開処刑も…北朝鮮「韓流新法」の中身)米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の司法機関の幹部の話として、RFAを愛聴していた船長が公開処刑されたと報じた。船長は「耳に心地よい音楽」――つまり、北朝鮮では「禁断」とされている韓国や欧米の音楽の虜になっていたということだ。
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(参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー)
金正恩政権の外貨稼ぎを担っている中央党(朝鮮労働党中央委員会)39号室は、傘下に数多くの貿易会社、銀行、企業を抱えているが、咸鏡北道の清津(チョンジン)には水産事業所がある。水産物は主に中国に輸出される、外貨の源泉だ。
50代の男性、チェさんは、この水産事業所に所属する船長で、50隻もの漁船を所有する「船主」と呼ばれるトンジュ(金主、新興富裕層)だった。日本式に言い換えれば「網元」と言ったところだろう。30代から船長を務めていた彼は、漁に出るたびに、若い乗組員と共にRFAの番組を愛聴していた。
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現地の別の住民によると、チェさんは兵役で軍にいるときからRFAを愛聴していた。軍で働いている間にRFAにハマる人は多いようで、今年6月には平壌の人民武力省庁舎で勤務する通信中隊の女性分隊長が、RFAを聞いていたことが発覚し、逮捕されている。
(参考記事:バレたら一巻の終わり…北朝鮮の女性兵士が葬られた「禁断のラジオ」)チェさんは、絶大な権力を誇る39号室所属ということもあってか、安心しきっていたようだ。ことが表沙汰になりそうになったとしても、もみ消すだけのカネとコネを持っていたであろうことも想像に難くない。
しかし普段の行いの悪さが、チェさんを破滅に追い込んでしまった。現地住民によると、他の漁師をバカにするなど傲慢な態度で評判が悪く、恨みを抱いた何者かに密告され、咸鏡北道保衛局に逮捕されてしまった。