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中国に「格差」が存在することに対する中国紙の言い訳

『中国青年報』が「媒体要传递正确的“贫富差距观」という記事を配信しており、いろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 最初にいつものとおり記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 中国の社会問題というと、メディアでは「貧富の差」が「腐敗」と同じレベルで重要視されるが、人々はどう思っているのだろうか。

 先週、『中国青年報』の社会調査センターが調査を行ったところ(参加者8776人)、所得格差は「とても大きい」が65.0%が、「比較的大きい」が29.4%という結果だった。他に意義深かったが、63.1%がメディアは格差問題を派手に騒ぎ立てており、それが人々を焦られていると答えたことだ。

 こうした「焦り」を与えていることを受け、メディアはどの様に報道していけば良いのであろうか。多くのメディアはこの問題を報道するにあたって、間違った価値観で報道してきており、これは問題解決に全く寄与しない。以下でこれらについて見ていきたい。

 まず、格差は全てが悪いというわけではなく、多くの場合良いことである。一定程度格差があるのが、正常な社会である。しかしメディアは富の格差は全てが悪で、全面的に否定しなければならないとしている。これは誤った考えで、民衆に現実的でない期待を持たせている。

 中国社会の進歩は、「独断的平均主義」を打ち破り、市場競争を取り入れたことで、市場競争を通じて、資源の合理的配分を目指すものだ。市場競争では、必ず一定程度の貧富の差が生じる。平等なルールでの競争では必ず不平等が生まれる。

 計画経済と平等主義により、「均等の豊かさ」を追求するのは、人間性、社会の活力を扼殺することだ。中国の30年余りの改革の活力、中国の発展は、すべて「差を認めた」ことによるものだ。

  当然、市場に高い価値を与えるべきでなく、格差は一定の限度で抑えるべきだ。しかし、メディアは格差を議ずる時、「均等の豊かさ」といった思想に迎合し、あらゆる格差が許せない様だ。結果、「富」を敵のように、思う者も出てきている。

 次に、格差の問題を論ずる時、その原因を考えなくてはならない。まじめに頑張っても豊かになることができず、家を買うことができない、一方、無学無能な人が両親の資産のおかげで、豊かな暮らしを送る。これらは社会の恥で、批判されるべきだ。

 勉強もろくにせず、努力して働かないが故に、生活できない者の貧困は批判されるべきだ。権力の独占により豊かになった者は批判されるべきだが、同時に努力せずに貧しいものは「敵視」されるべきだ。

 こうしたことを考えずに、一概に貧富の差を論ずべきではない。こうした場合分けもしない大雑把な議論が、努力して豊かになった者を傷つけ、怠け者に口実を与えることとなっている。

 最後に、格差に感情的になっている者がいるが、問題は社会の流動性だ。つまり格差が固定化するかどうかで、上に来られる可能性があれば、問題は大きくない。中国社会が警戒すべきは、階層の固定化だ。

 大学入試は上へ行く道だが、多くの者がこれが狭くなっていると感じている。メディアは、貧しい者が上に来るにあたって公平化どうかをきちんと監督すべきであり、ただ単に、格差について恨み辛みを報道すべきではない。

 底辺の者であればあるほど、民衆の意見であり、これこそが不公平に挑戦する道だと思っている者がいるようだが、それは幻想でしかなく、時として、社会の対立を煽るだけだ。

 メディアは統計に基づいて仕事をすべきだ。格差というがどの位深刻なのか。きちんとした統計に基づく客観的で公平な分析がが必要で、いい加減なネット上の統計などを用いるべきではない。


2 個人的感想

 これまで何度か言及しておりますが、中国は貧富の差が激しく、それが社会問題となっております(中国で忘れ去られた人々(写真)中国のいかにも成金といった人たちの写真)。このままではまずいということは誰もが思っていることですが、なかなか改善できないのが現状です(これを変えるということは既得権益を失うことになるため)。

 確かに市場主義を導入した以上、格差が生じるのは当たり前だという意見は正論で、これに反論するつもりはありません。ただ、この記事ではワザとぼかしておりますが、多くの人が不公平だと思っているのは、共産党幹部と関係のあるものだけが富を独占できる今の中国の体制です。

 政府関係者とグルになった不動産業者が地上げをし、再開発をして「濡れ手に粟」で金を儲ける仕組み。その一方で地上げをされた土地に住んでいた農民が安い保証金で追い出される現実。皆不公平に思っているのはこうしたところであって、自分の能力による格差なら、多分皆これほど問題視しないと思います。

 以前フェミニズムについて論じた時に、リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムという話をしたことがあります(フェミニズム)。

 簡単に言ってしまえば、リベラルが就業など女性にも男性と同じ権利を要求する考え方です。それに対し、ラディカルは、女性(人)が人らしく生きられないのは、今の男性社会がおかしいからなので、今の社会の価値観を変えなくてはならないという主張です。

 何が言いたいかというと、今回の記事も基本的にリベラルに近い考え方で、中国社会はおかしいわけではなく、問題はこうした社会に適応できない人だと言いたいのかと考えてしまったわけです。

 つまり悔しければ努力してはい上がってこい、それができない者が批判をするのはおかしいという発想がどことなく、かいま見える記事となっております。

 『中国青年報』は胡錦濤等の出身母体である中国共産主義青年団の機関紙なので(悪化した日中関係の改善を求める中国側のシグナルか?)、これが今の中国共産党の発想であり、どう見ても私が理解する「共産主義」とは異なるわけで、今の現状を見ればヤケクソ気味に人々が「悪平等」を求める気持ちもわからないではありません。

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