毎年1月の米CESはテクノロジーのワンダーランドですが、今回はオンライン開催。悪いことばかりでもないそうです。
スマートカーをめぐる提携のニュースやトランプ大統領に振り回されるビッグ・テックの動きなど、年明けからテック関連の動向から目が離せません。
WSJはCES 2021: The World’s Largest Tech Sow Trades Las Vegas for Cyberspace(世界最大のテックの祭典、会場をラスベガスからサイバーへ)の中で、「テック業界のディズニーランド(Disneyland for tech)」とも云えるテクノロジー見本市のCESがコロナの影響でことしはオンライン開催となり、毎年会場となっていたラスベガス経済には大打撃だし、広大な会場を歩き回ってばったり何かに出会うことはないものの、悪いことばかりでないと伝えています。
例年は17万人が会場を訪れ、世界から4500の企業などが出展していいますが、今回の出展は1900社。これは主催者の予測の2倍近くではあるものの、例年に比べればグッと減少。
それでも出展費用は1200ドルに過ぎず、この時期に高騰するホテル料金や航空運賃が発生しないとしています。主催者によると、オンラインになった結果、移動が発生しない分、ビッグネームが呼びやすくなり、GMのマリー・バラCEO、ウォルマートのダグ・マクミロンCEOらが基調講演するほか、アーティストのデュア・リパやビリー・アイリッシュも出演するそうです。
「デジタルCES」実現のためにCESの主催者がタイアップしたのはマイクロソフト。マイクロソフトは去年から自社のオンラインイベントを多く企画し、さまざまな間違いをしたのでその教訓を踏まえて展開したいとしています。
動画やプレゼンテーションは短く、実際の展示を再現することはやめ、力強い映像、リアルタイムのやりとり、関心のある者どうしを集めたネットワーキングが効果的だとしています。
BBCはChina's Baidu and Geely partner up for smart cars(中国のバイドゥ、ジーリーとスマートカーづくりで提携)の中で中国の検索大手のバイドゥ(百度)と大手自動車メーカーでボルボを傘下に置くジーリー(吉利汽車)が電動のスマートカーをつくるために提携したと発表したと報じています。
バイドゥが自動車の頭脳の部分を担当し、ジーリーがデザインと生産を担当するとしています。ジーリーは「メルセデス・ベンツ」で知られるダイムラーの株主でもあります。
両社は、イーロン・マスク氏が率いるテスラや中国の他の企業との競争にさらされるとしています。さらに中国のテンセント、アメリカのグーグルやアマゾンが自動運転技術を開発したり関連企業に出資したりしているということです。
アメリカのアップルと韓国のヒョンデ自動車が電気自動車で提携して2024年にも生産を開始するという韓国メディアの報道を受けて、ヒョンデ自動車の株価が8日、20%以上急騰しましたが、その後、いくつかの企業と提携の可能性を探っていると後退したコメントを発表。アップルの名前は挙げなかったということです。
New York TimesはHow Parler, a Chosen App of Trump Fans, Becase a Test of Free Speech(トランプ支持者に支持されたアプリ「パーラー」は表現の自由の資金石)の中で、トランプ大統領の支持者ら保守層がツイッターやフェイスブックに代わるSNSとして支持するパーラーで暴力を呼びかける投稿が相次いだことでアップルとグーグルがアップストアから排除したと伝えています。
2018年にラスベガスのプログラマーらによって作られたパーラーは、1500万人のユーザーを守るために必死に大量のサーバーを保有するほかの企業に次から次に当たったものの見つからず、保守層は「共和党支持者が使えるSNSがない」と不満を募らせているということです。
フェイスブック、グーグル、アップル、アマゾン(日本で言うところのGAFA)が力を持ち過ぎ表現の自由を脅かしているとして、国家的な新たな議論がわき起きているとしています。