- 2021年01月12日 11:54 (配信日時 01月11日 22:23)
「恋がしたい!」緊急事態宣言初日でも男女は“出会い”を求めて夜の街に…
世間がコロナに振り回された2020年。閉店に追い込まれた飲食店が相次ぐなか、立て続けに新店舗をオープンさせた意外なジャンルの店舗がある。男女の出会いスポットとして “業界初1対1限定の相席ラウンジ” を謳う「T」(店名はイニシャル)だ。
初めて出会う男女をマッチングさせる居酒屋として、全国展開中のチェーン店「A」がプロデュースする新業態としてスタートした「T」は、コロナ禍の中、2020年6月に東京・恵比寿に店をオープン。続いて9月に新宿、11月に池袋と、“コロナどこ吹く風” とばかりに、イケイケな連続出店をしてみせた。
年が明けて2021年1月7日。政府は東京都を筆頭に1都3県へ、2度めの「緊急事態宣言」を発令。しかし、その初日となった1月8日の金夜も、「T」は3店舗ともに通常営業していた。
こんな日に、わざわざ出会いスポットに来るのはどんな女性なのか? そもそも、女性は来るのか? この日、「T」を訪れたという、40代男性の体験談をお届けしよう。
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「T」の平日の営業時間は、3店舗とも17時~24時。公式サイトでは、リアルタイムの店内状況(男女比率)を確認できるので、17時以降こまめにサイトをチェック。ところが、開店から1時間が過ぎた18時を回った段階で、池袋店・新宿店はともに女性0%/男性0%。恵比寿店のみ女性10%/男性0%という状況。
さすがに、緊急事態宣言の初日にわざわざ来る物好きはそうそういないか……と思ったのも束の間。19時半にあらためてサイトをチェックしてみると、池袋店が女性30%/男性40%になっている。恵比寿店が女性20%/男性20%。新宿店も女性50%/男性40%と一気に動きが! 短時間でここまでの変化があることに驚きつつ、慌てて池袋店へと向かう。
時刻は20時5分。池袋東口の繁華街にある雑居ビルの5階までエレベーターで昇り、入口でアルコール消毒と検温を済ませた。身分証明書を提示し、アプリへの登録をして会員登録が完了。待つことなく、店員に女性のいる席に案内される。
「こんばんは~」
「どうも、初めまして~」
透明の衝立を挟んだテーブルで対面した1人めの女性は、「仕事帰りにふらっと寄ってみた」という24歳の事務系OL。ひとり暮らしの自宅も池袋界隈にあるという彼女は、「A」には何度か行ったことがあり、「『T』も前から気になっていて一度来てみたかった」とのこと。現在彼氏はおらず、普通に出会いを求めて来たそうだ。
マスクをしているので顔の雰囲気がわかりにくいが、派手さもなく、ごく一般的な24歳といった感じの彼女と、噛み合っているかもわからないまま会話を続けていると、店員が時間の終了を告げにくる。そう、ここではひとりの女性と話せる時間は「20分まで」と決まっているためだ。
店員に促されるまま席を移動。次に待っていたのは、元女子アナウンサー脊山麻理子似の、ややぽっちゃりなOL。彼女も「仕事帰りに少し飲んでから来た」そうで、「テレワークじゃないの?」と聞くと、変わらずに出社しているという。それとなく年齢を聞くと、はぐらかされてしまったが、30代中盤か後半といったところか。
実家暮らしだという彼女は、「恵比寿店には行ったことがあるけど、池袋店は初めて」とのこと。結婚願望が強く、前の彼氏とは結婚相談所で知り合ったが、半年で別れてしまったのだという。こちらの話をニコニコしながら聞いていて、すぐに次の彼氏ができそうな雰囲気の女性だが、「なかなか、いい出会いがない」と嘆いていた。
そんな彼女と20分間話し終えた段階で店員に聞くと、「現状、女性は0人」と告げられたので、いったん退店することに。しかも、「明日(9日)からは全店舗休業になる可能性もあります」というので、この時点での店内状況で、女性比率が上回っていた新宿店へ向かうことにーー。
●緊急事態宣言発令の初夜、相席ラウンジに来た女性たちの「共通点」は?
少しほろ酔いのまま、21時20分ごろ新宿店に到着。入店時の店内状況は「女性60%/男性60%」。ほぼ待たずに案内された1人めは、どことなくギャル曽根似の28歳OL。来店理由を聞くと、「土日休みだし、ワンチャン週末一緒に遊べる人が見つかればいいなと思って」と、男勝りの告白(笑)。
「パパ活とかはしないの?」と聞くと、「周りはやってるコもいるけど、私はオジサンに興味ないから」とのこと。しっかりしているのか、していないのかよくわからないが、とりあえず私じゃダメなことだけはわかった(苦笑)。
続いて2人め。目元が松雪泰子似の派遣会社に勤務する20代のOL。今日出会ったなかでは、いちばんの美人で、こちらのテンションも上がる。
「普通にモテそうだけどね。実際、モテるでしょ?」
「モテてたら、こんなとこ来ないですよ~。言い寄ってくるの、変な男ばっかで……」
「こんな緊急事態宣言初日になんで来たの?」
「家帰ってもひとりだし、つまんないから……」
見た目だけなら確実にモテそうだが、わりとマイペースに自分のしたい話を続けるところや、「自称潔癖」というあたりが、彼氏ができない理由かなと勝手に分析。終わり際に彼女とLINEを交換し、3人めの席へ移動した。
3人めは「歌舞伎(の舞台)が大好き」という稲村亜美似のショートカットの29歳OL。彼女も仕事終わりに来たという。常に笑顔を絶やさず、こちらの質問にも、ぽんぽんと言葉を返してくる彼女。
この手の場に慣れてそうな雰囲気だが、「職場には出会いがなく、彼氏はいない。好きなタイプは変わった人」とのこと。飲みの席は好きだが、「体を鍛えているので、自分はあまり飲まない」ということで、紅茶を飲んでいた。彼女も、まあまあ変わったタイプかも(笑)。
そんな彼女ともLINEを交換したが、話を終えるころにはもうお腹いっぱい。初対面の相手と20分ごとに会話を続けなきゃいけないのは、けっこうしんどいし、アルコールを飲み続けていたせいで疲れてしまったので、ここで退店することに……。
結果、緊急事態宣言の初日に2店舗をめぐり、5人と話せたが、全員が口を揃えて言っていたのは「周りにコロナに罹った人はひとりもいない」ということ。身近な人間に、コロナで苦しんだ事例が皆無だと、当事者意識は持ちにくいのが事実なのだろう。彼女たちの来店の動機も、純粋に「彼氏がほしい」「出会いがほしい」というものだった。
長引く自粛生活で他人との接触が激減するなか、いつも以上に人恋しくなるのだろうーー。私が店を出るころ新宿店の店内状況は「女性90%/男性70%」と、なんと女性比率のほうが上回っていた。緊急事態宣言が出ようが出まいが、出会いのニーズはなくならないようだ。
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