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「医療崩壊」とは 今までもあったものが顕在化してきただけ

少し毒吐きます。

緊急事態宣言下の東京近辺。SNSで患者家族が入院できないなどの不満が溢れています。

その一例ですが、既往症、入院歴がいっぱいある誤嚥性肺炎(複数回)の高齢者。救急車で病院へ搬送されましたが(認知の度合い、PSは不明)、そこまでバイタルが悪くないということで入院できなかったそうです。ご家族がPCR検査すらやってもらえなかったのもおかしいと「医療崩壊」を訴えていますが、まあ今の時期ある程度病院でのトリアージが行われているということでしょう。

今までできていたものができなくなったという言葉が「医療崩壊」の定義になるでしょうか。自分たちが望む対応がしてもらえないということが「医療崩壊」になるのでしょうか。おそらく患者と医療者には大きな溝があるでしょう。なぜならこの患者の病態が欧米ではもともと入院適応ではなかったとしても、日本では状況に余裕があるときは入院させていたことが多いからです。地域、時期によって入院適応は変化します。2013年の記事です。この頃から基本何も変わっていません。

救急における「医療崩壊」の段階をあげてみます。

1 救急搬送に時間がかかる(病院見つけるまで数時間)
2 搬送されても入院適応のハードルが上がる(社会的入院は拒否)
(厳密には医療崩壊ではない)
3 入院適応でも入院ベッドがない(そのため他院へ搬送)
4 近隣病院にも空いているベッドがない(最悪そのまま救急室や廊下で看取り)
5 (希望があっても)治療を受けれず家等で大量に死亡


実はECMOの適応は75歳までとガイドラインに書かれています。そうコロナ患者の治療の最終兵器を使えない患者は以前からいます。それこそ人工呼吸器を装着されず中等症からお亡くなりになるいわゆる看取り症例は増えてきてます。死亡者数がここ急速に増えてきているのはその看取りの判断が増えてきている可能性もあります。ただそれは「医療崩壊」に見えても厳密にいう医療崩壊ではありません。高齢者のコロナ感染症の命を助けられないという現在の医療の限界に過ぎません。

例えば抗がん剤治療適応はPS2以下で、PS3以上の寝たきりの患者さんなどは癌があっても治療しないことが今現在当然となってます。そう治療をしないということは現在において医学における適正な対応なのです。(倫理、感情の問題は別です)

そして今まであげてきたのは医療の問題。社会的問題となると、認知症を持つ患者さんの急性期病院の入院、社会的基盤がない患者さんの入院、複数の併存症を持つことで管理がとても大変な患者さんの入院(手間がかかり入院が長期間で利益が減る)などを避ける病院が存在してます。いわゆる手間がかからない重症者を診てお金を効率よく儲けている病院なのですが、今コロナ患者を診てくれている病院は基本そうではない病院が多いです。だからではないですが、今まで患者さんに優しく対応していれていた病院が、マニュアルに基づき優しくなくなったことを一般の方は「医療崩壊」と言いはじめているのです。

小林よしのりさんがこのような漫画を書いているそうです。ある意味私の書いたブログに共通します。今一度どのような医療が必要なのかこのコロナの時期に考えなければいけないのでしょう。でもそれを「医療崩壊」と言って今頑張っている病院の医療者を批判してはいけません。わざわざ貧乏くじを引いてボランティアで頑張っている方達を萎えさせてはいけません。

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