しかし、あくまで経済を止めたくないという菅政権は、飲食店を狙い撃ちにしようとしています。
確かに、飲食店をきっかけにしたクラスターは大きな社会問題です。
家族にまで感染させてしまっていては、一体、何なのかと思わざるを得ません。
「都市部で家庭内感染が増加 東京では最多の経路に」(朝日新聞2020年12月24日)
無防備に飲食店での飲酒を含む会食を行い、コロナウィルスに感染し、それを家庭内で家族に感染させるという最悪の感染拡大です。家族にまで感染させてどうするんですか。
一番の問題は国民の中にコロナ慣れをしてしまったことです。緊張感が全くなくなってしまいました。
最近になって注意喚起として、自宅でもマスクをするように言われていますが、むしろ当然のことだったと思います。私は帰宅してもマスクは外しません。私が家族の中で一番、感染してくるリスクが高いからです。
当初こそ、外から戻った夫をウィルスそのもののように扱うことによる家庭内の紛争に発展していることがありました。無神経な夫と過敏な妻という構図ですが、これも当初はコロナに対する緊張感があったためです(無神経な夫はいつでも同じレベルのことしかできないのかもしれません)。
「看護師不足で大学に要請とは日本の医療は末期症状 診療は受けられないは明日は我が身」
第一波のときの「緊急事態宣言」は緊張感を高めるためには役立ちましたが、実際には志村けんさんがコロナで亡くなったことが一番の大きな要因でしょう。コロナによる感染死が自分たちのすぐそこまで迫ってきているという緊張感を与えたためです。
しかし、今般の緊急事態宣言は、全く様相を異にしています。
とにかく「出したからね」という意味合い以上のものがありません。目的を飲食店の時短営業を実現するため、ということにあるからです。
飲食店での感染拡大は上述したとおり確かにひどいと言えます。特に飲酒が加われれば最悪の状態と言えます。
時短が問題なのではなく、飲食という目的を達したら、さっさと退店するなどによれば決してクラスターなど発生しないでしょう。
飲酒が入る会合は、飲食そのものが目的ではなく、ただダラダラと飲酒して大声で(相手の話も聞かず)騒ぐだけのものですから、こうした「飲み会」への対策がなければ何の意味もありません。
「接待を伴う飲食店」は論外です。

菅政権は、時短に応じない店名公表を企図していますが、無意味です。
既に飲食店への時短営業要請が政権の失敗の責任転嫁のために飲食店を狙い撃ちにしているということが一般的な認識になってしまっているし、飲酒大好きな人たちにとっては、店名公表など全く気になりません。
開店していたパチンコ店の店名公表が行われましたが、開いていることの宣伝にしかならなかったのと同じで、酒飲みにとっては開いている店のリストにしかならないのです。
特措法の改正では時短に応じない店舗に「過料」の制裁を検討しているようですが、緊急事態宣言も含め、すべて菅政権の失政の責任転嫁のためのものです。
だから対象とされた飲食店にとっては全く説得力を持ちません。
極論すれば、「酒の提供の禁止」が一番の近道なのかもしれません。飲酒がなければまずそうした「飲食店」に行くこともなければ、飲食が終わればさっさと退席(あるいはマスクをした上での会話)となります。パチンコ依存症の人たちが、どのような状況になろうとパチンコを止められないのと似た構図があるといえます。