プロ野球の試合やアイドルのコンサートが行われる東京ドームに、格闘技の聖地・後楽園ホール、デートスポットの遊園地まである東京ドームシティ。その一画で約56年の歴史を誇った名物書店が、明日11日をもって閉店すると報じられた。
試合やイベント開始前の情報収集や、友人らとの待ち合わせで店を利用した人も多いだろう。野球やプロレス、そしてアイドルなどの書籍や関連グッズが揃い、店の入り口周辺に並べられた在庫を眺めるだけで、その日の東京ドームシティでの“メインイベント”がわかる書店だった。

野球にプロレス、アイドル… ファン満足の品揃えは“スモール後楽園”
「地方の野球雑誌も仕入れていてよく(広島東洋)カープ関連の本を買っていたところ」「ドームコンの思い出の場所のひとつなので、とても残念」などと、野球やプロレス、アイドルと様々なジャンルのファンの間で閉店を惜しむ声が広がっている。
書店は「オークスブックセンター東京ドームシティ店」(旧山下書店)。JR水道橋駅西口を降りて東京ドームへ歩いて向かうと、馬券が買えるウインズ後楽園やスケート、ボウリング場があるいわゆる“黄色いビル”の左側にある。
東京ドームシティにある書店らしく、プロ野球やプロレス、ボクシング、競馬、アイドルといった関連書籍が所狭しと並ぶ店内は、それぞれのファンを唸らせる品揃えだ。一部の人しか興味を抱かなさそうなマニアックな野球の本なども揃えていて、様々なエンターテインメントが揃う店は“スモール後楽園”といった様相だった。

コロナで相次いでイベントなくなり閉店へ
書店の閉店がクローズアップされたのは、日刊スポーツが10日に配信した「コロナ影響…東京ドーム名物書店が56年の歴史に幕」という記事が大きなきっかけだ。読売ジャイアンツの担当記者の記事で、東京ドームシティの書店として大きな役割を果たしてきたことを丁寧に紹介している。
記事によると、閉店は、コロナの影響で周辺施設でのイベントが中止・延期され、経営が成り立たなくなったことが原因という。日刊スポーツの公式アカウントによるツイートも、10日午後3時現在で5千件を超えるリツイートがある。
コロナ影響…東京ドーム名物書店が56年の歴史に幕
— 日刊スポーツ (@nikkansports) January 9, 2021
<We Love Baseball>#東京ドーム #オークスブックセンターhttps://t.co/7u50f5v0rK
Twitterでは、応援や観戦に訪れた際に立ち寄った思い出が次々とつぶやかれている。「あそこ眺めながら気分高めてドームに行くのが好きでした」「店頭にズラっと並んだ雑誌を見てドームに来たことを実感する一種のパワースポット」と閉店を惜しむ投稿が相次ぐ。「個性ある書店がなくなるのは文化の損失だ」とその価値を評価する声もある。

出版社やライバル書店も惜別と感謝
出版社や、ライバルだろうはずの書店のツイートもある。
個人的に、山下書店さん時代から東京ドームに行くときは必ず立ち寄ってました。好きな空間でした。
— 三省堂書店【公式】 (@honmal_sanseido) January 10, 2021
長い間お疲れ様でした。
コロナ影響…東京ドーム名物書店が56年の歴史に幕 https://t.co/LP86W2y4Rp
東京ドーム名物書店、オークスブックセンター東京ドームシティ店様が1/11で閉店。
— 二見書房 一般書籍編集部 (@futami_books) January 10, 2021
お世話になりました。
56年の歴史に幕。
『クレージー黄金作戦』(1967年)が後楽橋、水道橋駅西口で撮影した頃からある書店さん。
通勤途中に寄ってました。閉店日までにまた本を買いに行きたいと思います。 https://t.co/dRkRspuzU2
書店は、11日午後8時をもって営業を終える。新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令もあり、不要不急の外出は自粛が求められる。最後の営業を迎えた書店に対し、自宅から心の中で拍手を送って感謝する人も多いだろう。
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