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子供のそばにいる人は大変だな

再生JALの心意気(Voice)

私は夏の羽田空港で、JALの空港スタッフ相手にひと騒ぎ起こしていた。主人と出かけた愛媛県松山からの帰りの飛行機、JAL1466便のなかで、赤ちゃんが泣き叫び通しだったのにブチ切れてしまったのだ。だって、客室乗務員さんが母親と一緒にあやしても泣きやむ気配はないし、逃げ込む場所もないんだもん。
 
その赤ちゃんは、たぶん1歳くらい。どうしてそんな体力が、と思うくらいに離陸から泣き叫び通しだった。
 
「引きつけでも起こしたらどうするの?」と心配になるレベルだし、お母さんもどうにもできなくてホトホト困っているのがわかる。ほかのお客さんも「言い聞かせてなんとかなる年齢ではないし、仕方ない」と思っているみたい。でも、私は耐えられなかった。
 
「もうやだ、降りる、飛び降りる!」

(中略)

との回答。いやあ、そんなのみたことないし。それであの現実なわけじゃないですか。お母さんだけでなく、みんなで話さないと。だいたい私は、病気治療のための搬送とか、引っ越しとか、のっぴきならない事情でもないのに、乳飲み子を飛行機に乗せるのってどうかと思うわけよ。冊子をみると「生後8日目から乗れる」と書いてあるけど、気圧の変化とか、大人でもつらいのに大丈夫なの?あの泣き叫んでいた赤ちゃんは、つらくて怖かったんだと思うよ。泣きやまない場合もあるんだし、マナー的に、まず親が「2歳くらいまでは乗せないほうがいいかもね」くらいのコトを考えたらいいと思う。そういうと、
 
「公共交通機関である私どもから、乳幼児のご搭乗を規制することはできません」
 
とのご回答。周りに迷惑をかける可能性があることは乗客のほうで考えて、遠慮するべきだよね。あと、医者である私の亭主いわく、親のほうが、たとえば子供の健康に害のない抗アレルギー剤など、その子に合った眠気を誘う薬を用いるなどの工夫はできるかも、とのこと。でも、そういう議論も情報もないから、こんなことになるんじゃない?昔、子供が遠足で観光バスに乗るとき、ビニール袋と酔い止めの薬をもたせるのは常識だったはず。飛行機自体が乗り物として歴史が浅いんだもの。その搭乗マナーや機体の工夫について、議論すべき余地はまだまだあるはず。

 

さて、日頃はちょっとアレな発言から一部で有名な人が飛行機内でぶち切れたとかで色々と語っています。まぁ、子供はうるさいですよね。家の近所でも図書館とか病院とかパン屋とか、どこも子供の鳴き声が響き渡る動物園状態、他人の子供を叱れる大人はどこに行ったんだろうと首を傾げるところですが、当の私自身が何も言えない小心者、他人を非難する資格はないと頭を垂れるほかありません。結局、みんな我慢しているのです。でもたまに我慢できない人がいる、そして我慢できなくなった結果として傍目には暴走としか見えない行動に出てしまう人もいるわけです。その頻度は子供との距離に比例するでしょうか、最も多いのは子供を虐待してしまう親とかですね。


引用前半部の「ブチキレ」はさておくとして、後半部はどうでしょう。健康な大人でも飛行機にの乗れば耳がキーンとする、酔いを感じることもある、閉鎖空間の中で状況を理解できない乳幼児がパニックに陥るには十分と言えそうです(野生動物は空輸中のストレスで普通に死んだりします、何が起こっているのか理解できれば違うのかも知れませんが!)。

そうでなくとも乗り物に弱い人だとフライトは割とキツイですよね。

結果として乗客側が「遠慮」する必要があるかは留保するにしても、幼児を飛行機に乗せるのはどうなのかと考えてみるぐらいはしても間違いではなさそうです。そして投薬というと一気にデンジャラスな雰囲気が漂ってきますけれど、まぁ「工夫」ぐらいは検討されても良いのではないでしょうか。一気に飛躍して強制的な措置をと叫ぶなら暴論ですけれど、だからといって何もしなくても構わないというものでもないように思います。

 

「子供は泣くさ」物議醸した“搭乗マナー”問題、つんくや乙武さんの発言に共感の声多数(RBB TODAY)

この記事を受け、ネット上では自身の見解を示す著名人らの声が各方面から上がっている。脳科学者の茂木健一郎氏による「1歳の赤ちゃんのふるまいを、コントロールできると思っている大人がいることが信じられない」とのコメントや、弁護士の落合洋司氏が「気持ちはわかるが赤ちゃんが泣くのは仕方ないのでは。昔から、泣く子と地頭には勝てぬ、いうくらいで」などとTwitterを通じて発言したことは前記事ですでにお伝えした。

 

いたずらもみじ(乙武洋匡オフィシャルサイト)

でも、まだ「ウー」とか「アー」しか口にしない一歳前後の赤ん坊。
 「まわりの迷惑になるから」と言い聞かせたって、わかるはずがない。
 
結局、大人が我慢するか、子どもに我慢させるのか、という話だと
 思うんです。それが、日本の社会では(ほかの国ではどうなんだろう?)
 子どもに我慢をさせてきた。
 大人が快適にすごすために、赤ん坊に過度なストレスを強いてきた。
 
正直なことを言えば、いままで電車やレストランで赤ん坊が騒げば、
 「うるさいなあ」と思ったこともありました。でも、子どもたちにしてみれば
 「そんなこと言われたって……」ですよねえ。
 これからは、我慢、我慢。
 我慢というか、その光景をほほえましいと思える大人になりたいな。
 たとえ寝不足だとしても(笑)。

 

ところが、そうは考えない人たちが圧倒的に多いようです。国旗や国歌、あるいは仕事にやりがいを感じることなど、否定することが許されない、それを否定することで社会的地位を奪われてしまう恐れのあるものが少なからず我々の社会にはあります。そしてこの頂点に君臨するのはやはり「子供」なのでしょう。子供の鳴き声を「ほほえましい」と思えない大人は我々の社会では異邦人であり、死刑を宣告されたりはしませんが囂々たる非難を浴びるものなのだと、今回の事例は証明しているようです。もうちょっと問題になりそうな発言には事欠かない人のはずですが、我々の社会にとって最も許されないもの、強い反発を買うものとは「子供」を歓迎しないことなのだとわかります。

参考、私は神を愛さない

まず茂木健一郎氏は問題をすり替えています。一足飛びに子供をコントロールすることが可能であり、そうすべきだと言われているのではなく、もう少し他にやれること、考えられることはないかと問われているのです。しかるに、茂木氏にとって子供とは神聖不可侵、何があっても周りは黙って受け入れるべきものであって、その振る舞いを議論の俎上に載せることなど初めから考えられないことなのかも知れません。

落合洋司氏も同様、子供が泣くのは仕方がない、それは誰でも分かっていることで、じゃぁ泣かせておけば良いのか、他に何かできないかと提起されているのですが――落合氏にとっても子供とは受け入れられて当然のものと、そこで完全に思考が止まっているようです。


そして乙武洋匡も同様、どうにもペドフィリア達が「子供様に傅かない奴がいる、許せん!」と拳を振り上げている印象を免れません。幼児に泣くなと言っても無理なことは誰もが承知している、ただその先はないかと頭を巡らせる人もいれば、その行為に「我慢しろ」「耳栓でもしてろ」と、いかにも良識家ぶっては上から目線で説教を垂れる人が後を立たないわけです。どうにも子供のことは、考える行為自体が許されないかのようです。子供はただ受け入れるしかない、崇め奉るしかない、そこに疑問を呈するなどどうかしている――ある種の人々が国旗や国歌に忠誠を占めることは自明の真理であって是非が問われるなどあり得ないと考えているようなものです。


しかし、乙武氏の語る「大人が快適にすごすために、赤ん坊に過度なストレスを強いてきた」を具体的に考えると、「移動時間を惜しむ大人の都合で幼児を飛行機に乗せる」ことも該当するように思えてなりません。でも、大人の都合で幼児を飛行機へ乗せる行為に乙武氏が何の疑問も感じていないことは明らかです。なぜでしょうね。本当に子供を思うなら、それくらいは気にかけても良さそうなところです。子供を優先する「道理を弁えた」「寛容な」自分に酔いしれるためならいざ知らず……

よく乙武氏は「障害者を特別扱いしないで欲しい」的なことを言います。それは一理あるかも知れませんが、当然ながら反対意見もあるわけです。乙武氏のように精神的にタフで周囲の支えにも恵まれ地位と名誉もある人ならともかくとして、障害を抱えた人の多くはそこまで強くない、やはり何らかの形で支援を必要とする、幸運にして障害が「ない」人と同列扱いすることは社会的な排除にも繋がることでしょう。

しかし、乙武氏のように何らかのハンデキャップを抱えていてもがあっても「強い」人は、往々にして自分に可能なことは他人にも可能だと思い込みがちのようです。確かに、その辺の健常者より乙武氏は高い社会的ステータスを勝ち得ていますけれど、誰でも自分のようになれると考えているとしたら、それは誤りです。


乙武氏としては、誰でも我自分と同じように「我慢」できる、「ほほえましいと思える」ものとして、そこに微塵も疑いを持っていないのでしょう。しかし、世の中にはペドフィリアになれない人もいるのです。阪神が好きになれない人がいる、キノコが好きになれない人がいる、労働が好きになれない人がいる、そして子供の鳴き声が好きになれない人がいる、当たり前のことですが、しかるに内心の自由に丸っきり無頓着な人がいて、そういう人が「好きであるのが当たり前」という感覚を振り回していると言えます。子供の鳴き声をどう「感じる」か、そこに自由はありません。あなたがそれを不快に思うとしたら、あなたはこの国の良心に照らして異常者です。


先に言及した国旗とか国歌とか、あるいは自衛隊であったり時には煙草の煙であったり、それを「不快に思っている人がいること自体が許せない」とばかりの態度を取っている人が我々の社会を闊歩しています。そして最も幅広く共有されている偶像が「子供」なのです。やれやれ、子供と接する機会が多い人は大変だな、と思います。

それは快いことなのだ、と自らに言い聞かせることに長けている人も多いことでしょう。でも、たまには限界が来ることもあるはずです。仕事に悦びを見出している風に見えたはずの社畜が、ある日を境に心を病んでしまう、これと似たようなことは「子供」との関係でもあり得るのではないでしょうか。


乙武氏は「我慢、我慢」「ほほえましいと思え」と語りますし、好意的に紹介されている人の多くは似たような趣旨で発言していると思われます。「大人が我慢」すれば良いと、当たり前のように考えられているわけです。まぁ、たまに子供に遭遇してしまうだけなら、それでも良いのでしょう。でも、四六時中子供と付き合わなければならない人はどうなのでしょうね。24時間365日、子供から離れられない人の中には、子供のために自分が我慢することに限界が来て、子供の虐待に走ったりする人もいるはずです。

それでも我々の社会は、大人が我慢せよ、と何の疑問もなしに連呼します。

子供のために大人は我慢、子供のことは知りませんが、子供の周りにいる大人は大変です。子供の鳴き声に快感を覚えられるよう自らを調教しない限り、子供を排他的に尊ぶ我々の社会と折り合いを付けることはできません。それに失敗したら、良識を欠く人間として社会から糾弾され、イレギュラーな存在として「普通」から排除されるわけです。でも本当にイレギュラーなのかな、と私は疑問に思います。不満を表に出すまいと努めているだけで、子供の振る舞いに不快感を覚える人もいる、特にいつでも子供と一緒にいる人の中には我慢の限界に達する人もいる、それは普通のことと考えられるべきではないでしょうかね。

しかし、我々の社会は「我慢」ができなくなってしまった人に欠格者の烙印を押すだけで、それが誰にでも起こりうることだと認めようとはしません。

結局のところ、子供の鳴き声に関しては「我慢しろ/させろ」「耳栓でもしておけ」の大合唱で何の対策もないのが実情です。苦痛を訴えても、その原因が子供であれば我々の社会は取り合おうとしません。そうして孤立無援に陥った人が思いあまって暴挙に出たとしても、もう自業自得と言うほかありません。しかるに、例えば世田谷なんぞでは子供の声に不平を訴える人を区長がtwitterで日々クレーマー呼ばわり、レッテルを貼ることに余念がなかったりと酷いものです。

子供が騒ぐのは「仕方がない」としても、それで終わって良いのか、もう少し何かできないか考える余地はありそうなもの、でも件の区長みたいな類には、何か対策を取ること自体が「負け」みたいな感覚があるようで、どうにも対策を「取らされた」とばかりに被害者意識を爆発させたりしているわけです。

子供は野放しに、周りの大人が我慢すれば良いのだと、そう考えている人が多いのですけれど、子供の近くにいる人(例えば一緒に暮らしている人など)は本当に大変だと思います。もうちょっと、子供の周りにいる人が楽をできるように知恵を絞っても良さそうなものですが、それを考えること自体を冒涜のように扱う気運に充ち満ちているのですから。

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