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「配達バッグ狩り」が横行、集団での違反も…配達員が語るウーバーの“非情な世界” - 清談社

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 都市部を中心に、「ウーバーイーツ」の配達パートナーが四角いカバンを背負って必死に自転車を漕ぐ姿はすっかり日常風景となった。 

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 新型コロナ禍において「外出自粛」が推奨されたことで宅配サービスの需要は増しており、同時にコロナで仕事を失ったり、自分時間が増えた人が参入したことで配達パートナーも激増。 

 各地で事故やトラブルも多発しており、あくまでウーバーとの間に雇用契約はなく、個人事業主とされる配達パートナーの労働問題や、補償問題なども取り沙汰されるようになった。 

 当事者である配達パートナーたちは、いまどういった状況でバッグを背負い、どんな心境で自転車を漕いでいるのか。話を聞いてみた。 (素鞠清志郎/清談社)

◆◆◆

始めて早々、「ウバッグ狩り」の被害に

「僕は2020年の5月から始めたんですけど、完全に出遅れましたね(笑)。競争率は激しいし、ブーストもあまりつかない。先輩からはもっと稼げるって聞いてたんですけど……」 

 須田康夫さん(仮名・34歳)の本業は劇団に所属する俳優。ただし、まったく売れていないので、普段はラーメン屋でアルバイトをしていたという。週6でシフトに入り、月収は18万円ほど。それで生活費をまかなっていたが、コロナ禍によりラーメン屋が時短営業になってしまった。

須田康夫さん(著者提供)

 収入が減ってしまった須田さんが劇団員の先輩から勧められたのがウーバーイーツの配達パートナーだった。 

「時間も自由だし、効率よくやれば月10万以上は軽く稼げるといわれました。自転車は持っていたし、あとはバッグがあれば始められる。さっそく登録して、4000円のデポジットを払って専用バッグを手に入れ、あとは稼ぐだけ、と気合いも入ってたんですが、このバッグを自転車にくくりつけて家の前に置いといたら、翌日バッグだけ盗まれてしまって……」 

 “ウバッグ”と呼ばれる、四角いウーバーイーツ専用ケースは、新規の配達パートナーが増えたおかげで一時的に品不足に。配達にあたっては、このウバッグを使用しなければならない決まりはないのだが、やはり配達パートナーにとっては一番人気のようで、オークションサイトなどで高額で転売されるケースが続出。バッグだけを持ち去る「ウバッグ狩り」も横行しているという。 

「出鼻をくじかれてしまったんですけど、先輩が『俺のバッグを譲ってやるよ』って。2代目の緑バッグだったんですけど、それを借りてようやく始めることができました。

 僕はいま中央線沿線に住んでるんですけど、やっぱり人が多いところのほうが通知が鳴りやすいと聞いたんで、土地勘のある新宿から大久保あたりを流すことにしました。最初に取ったのはフライドチキンの配達で、それから2時間くらいかけて4件届けて報酬は2000円くらい。これはちゃんと稼ぐのはけっこう大変だなって思いましたね」  

効率を最優先させた「マック地蔵」スタイル

 配達パートナーの報酬は変動性で、飲食店からの受取料とお客さんへの受け渡し料金、配達の際の移動距離に準じた料金を足したものとなる。さらに、注文が集中するピーク時などには報酬が1.1倍から1.5倍ほどになる「ブースト」などのボーナスが加算される。  

「昔はブーストも頻繁についたみたいですけど、最近は1.1倍とか1.2倍くらいしか見たこと無いですね。あとクエストっていう、指定された配達回数を達成するともらえる追加収入もあるんですけど、その額も以前よりはかなり低くなったみたいです。お客さんからのチップもほとんど無いですし、結局は短い距離の配達で回数をこなすしか稼ぐ道はないんですよね」 

 その効率を最優先させたのが「マック地蔵」と呼ばれるスタイル。マクドナルドは店舗数が多いので、配達も近場に限定される。そこで、マクドナルド周辺に待機して注文を待ち、短距離配達を繰り返すことで効率良く稼ぐのだ。 

「新宿とかだと、グループでマック地蔵をやってる人もいますね。聞いた話だと、注文を受けた本人と違う人が届ける“代行”っていう違反行為をやってるのもいるみたいです」 

 須田さんは、大久保のあたりを自転車で走っている時に、別のウーバー配達パートナーとトラブルになったという。 

「信号待ちしてる時に、隣にウバッグ背負った自転車が入り込んできて、僕にちょっと接触したんですよ。自分からぶつかってきたくせに睨んでくる。青になったんで、『気をつけろよ』ってひとこと言って走り出そうとしたら、後ろからドンと衝撃があって。一瞬なんだろうって思いながら振り返ったら、そいつが自転車降りて仁王立ちしてるんですよ。あ、これ蹴られたんだなってようやく理解して、僕も自転車降りてそいつのところに向かったんです」 

 配達パートナー同士の、路上ファイト勃発である。 

「『テメー、蹴っただろ!』って胸ぐらつかもうとしたら、歩道のあたりから『やめろ、やめろ!!』って声が聞こえて。そっちをみたらオバサンが叫んでて、『お前らウーバーだろ! だったら運べよ!」って怒られて。僕もそうだなって思って自転車に戻りました」  

 車道脇でウバッグを背負った配達パートナーが掴み合う……。これが令和の大久保のリアルな光景だ。 

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