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いよいよ風営法の改正論議が必要となってきた

ダンス教育の必修化を定めた教育改革が、まさかこんな所に影響を及ぼすとは。。改めて制度とのいうものは一見無関係に見えても、裏側で様々絡み合っているものなのだなぁと思っているところであります。

昨日、警察庁は風俗営業適正化法(略称:風適法もしくは風営法)が定める「ダンス」の新解釈をひっそりと発表しました。風適法は、その法律の中で「客にダンスをさせる営業」(4号営業)を規制しているワケですが、これまで「ダンス」の定義に関しては特に定めがなく、実際の警察行政の現場においては「肩が揺れたらダンスである」「カカトが浮いたらダンスである」などという極端な解釈も横行しており、結果的にヒップホップダンスから社交ダンスまで全てのダンスを「客にさせる営業行為」が規制対象となる「可能性がある」と説明されてきました。

ところが、昨日警察庁より発表された風適法の「ダンス」に関する新解釈では、風適法が4号営業種として規制する「ダンス」はあくまで男女がペアになって踊ることが前提となっているもの(すなわち「ペアダンス」)であり、この種のペアダンスのみが「男女間の享楽的雰囲気が過度にわたり、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれ」がある故に、それを「客に踊らせる営業」が規制対象となるとされました。これにより、ヒップホップダンスをはじめとする多くのダンス種が風適法が4号営業に定められている「ダンス」にはあたらないと明示されたワケですが、1984年の改正風適法の成立以来、規制の対象と考えられてきた営業種に対して、今頃になって「実は規制の対象ではなかったんです」と発表される異常事態に、関係業界全体がひっくり返っているワケであります。


【参考】 警察庁:「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=120120009&OBJCD=&GROUP=


ここから先は私の想像も多分に含まれているのですが、これまで一般的な用法の元での「ダンス」として理解されてきた風適法の規制を、「あくまで男女がペアになって踊ることが前提となっているもの」と今更の様に限定をしなければならなくなた理由は、実は学校教育におけるダンスの必修化が影響しているものと考えています。2007年の自民党時代に行なわれた教育改革によって今年の4月から中学校においてダンスが必修となりました。多くの学校は「子供達が親しみやすい」という理由でヒップホップなどを授業に組み込み始めているワケですが、この「ダンスを教える」という行為もそれを営業行為として行なう場合は上記で解説した風適法4号営業種の定める「客にダンスをさせる営業」にあたると、これまでは理解されてきたのです。

では、ダンス教育の義務化によって生徒から授業料を受け取っている学校は、すべからく警察の所管として「風俗営業法の元で申請をしなさい」となるかといえば、そんな事は出来るわけもなく、一方でこれまで規制対象であると理解されてきた街場のダンス教室と学校におけるダンス授業と何が違うのか?と問われれば、それに答えるのも難しい。結果的に出てきた新しい解釈が「風適法の規制するダンスは男女ペアになっているもののみ」であったのではないかと考えておるワケです。

このような新解釈で何とか現行の制度体系を維持しながら、様々な事象に対して整合性を取ろうとした警察庁の努力は認めます。しかし、これら新解釈が非常に「苦しい」のも事実。

例えば「男女間の享楽的雰囲気が過度に渡る可能性がある」として、依然として規制対象の枠に残ってしまった社交ダンスを筆頭とするペアダンスですが、そちらの業界の方々から言わせれば社交ダンスの何処が他のダンスと比べて享楽的なのか?という真正面からの意見が出てくることは必至。実際、学校教育で正式採用され始めたヒップホップなどは良しとして、その他一人で踊るダンスとしてはセックスアピール満載のやレゲエやベリーダンス、はたまた下手をすれば最近は元々ストリップショーで使われていたポールダンスなんかも社会的評価を受けて競技人口が増えている中で、それらと比較して社交ダンスが「男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性がある」とは世の99%の人は思わないワケです。

また、実は風適法は「客にダンスをさせる営業」である4号営業の他に「客にダンスをさせ、かつ客に飲食させる営業」(3号営業)として一般的なクラブやディスコを規定しているワケで、4号営業では規制の対象とならないとされたヒップホップなどのシングルダンスを踊らせる営業が、「飲食をさせる」という要件が付いた時点で規制対象と変わることに対してどのように説明を行なうのか? 「飲食をさせるorさせない」の違いが、風適法が目的として定める「善良の風俗と少年の健全育成環境の保持」に対してどのように影響を与えるのかを追及された場合に、それに根拠を持って答えることが出来るとは思えないなぁ、などと考えるにつけて、はやりもはや今の風適法の定める制度体系を維持しながら規制をかけるべき場所を効率的に統制して行くことは難しいのではないのではなかろうかと考えておる次第です。

ということで、私の従来からの主張に戻るワケですが、やっぱり風適法の運用というのはその時代や環境の変化に合わせて常に修正が行われてゆくことが必要で、まさにその象徴となる時代の変化がこの問題に現れている。また、そういった時代の変化と風適法運用のズレを第三者的にチェックし、制度変更を勧告してゆく制度そのものが機能していないことに根源的な問題がある。すなわち、以前からの繰り返しになりますが、それらを第三者的に推し進める「風俗行政審議会(仮称)」の設立と、風俗営業法の改正論議をいよいよ本格的に始めるべき所まで来たという結論に至るワケであります。

「風俗行政審議会」の設立提案に関しては、以前の別投稿の中でかなり詳細に論じましたので、そちらを合わせて読んで頂ければ幸いです。

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