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紳士協定を復活させ、大学教育を改革すると、日本は復活する!(前編)

大学も、今や学級崩壊? 今、大学ではスゴイこと(ヤバい意味でだが)が起こっていることをご存じだろうか。

「スゴイこと」とは、大学の教育システムを根幹から揺るがすような事態をさしている。それは「授業が成立しない」「教育をきちんと施すことが出来ていない」ということ。もちろん小学校の学級崩壊みたいなものとは、チト違う。小学校の学級崩壊の場合は、生徒が勝手に授業中に徘徊したり、サボったり、あるいは親の都合でサボらせることで授業が成り立たなくなることをさしているのだが、大学の場合は、学生が出席したくても授業に出席できないという事態が発生しているのだ。

始まる時期は大学三年の十一月頃から。つまり、就職活動が始まったときからで、これ以降、学生たちは就活に振り回されて授業に出席することが事実上困難になっていくのだ。

ゼミの現状は悲惨 例えばゼミ。何人かは就活で出席できない。これでゼミが歯抜けになっていく。つまり4年生は必ず何人かは欠席しているという状態になる。ただし就職活動は学生にとって将来を決める重要な活動。だから、教員としては「やるな」とは言えない。で、4年生のゼミは原則、卒論作成となるので、もう全体でゼミを開くことはやめて、個別指導にしているところも(もっとも、これをいいことに、指導を全くやらない教員もいるが)。

本格的な就職活動の開始は三年次の2月。で、これ以降は就活一色になるわけで、当然四年の一年間はほとんどゼミ活動といったものが不可能(とりわけグループワーク)。ということは大学における教育は大学三年までで実質終了(卒論除く)。当然専門教育は短大レベルになる。

だが、こういった事態は、実は日本の現在、そして招来を揺るがしかねない大きな構造的問題もたらす可能性を孕んでいるとも言えるのではなかろうか。

就活の前倒しが生んだ大学教育の崩壊 現在、大学に入学してくる学生の学力、そして社会力は、かつてに比べるとかなり低下している。それは言うまでもなく”ゆとり教育”のお陰だ。一例として、僕の教えている学部(偏差値50程度)の英語力をあげれば、五文系が言えない、発音記号が読めない、be動詞と一般動詞の区別がつかないといった状態。たとえば「あなたはペンを持っていますか。はい」という英作文をさせると”Are you have pen? Yes, I have”なんて回答がいくらでも出てくるといった具合(be動詞と一般動詞の混在、不定冠詞がない、doとhaveの混同)。また社会力についても同様で、とりわけコミュニケーション力の欠如は著しい。グループワークをやると全くチームワークが取れない、いや、その前に人と話し合いをすることに恐れをなしたりする学生が結構、存在する。

こんな”バカ学生”(厳密には「バカ」ではなく、「未開拓」な学生と表現した方が正しい。まともに教育を受けていないのだから。そういった意味で、彼らは被害者だ。言い換えれば開拓すれば才能が芽生える人間が大半。ただし、ここでは申し訳ないが、わかりやすいよう「バカ学生」と表記する)が三年間、ほとんどなんの教育も施されることなく(これは大学側の責任でも、もちろんある)就活をやるのだから、ようするに”バカの二乗”になる。つまりボーっとして大学に入ってきて、なんにもしないうちに就活が始まるのだ。

就活前倒しのお陰で、大学教育は実質破綻している。「バカのママだったバカは、バカのママだった」ということになり、これが大量に社会に出て行くわけで、そりゃ日本が韓国や中国に抜かれるのも無理はないと思えないでもない。日本社会、日本経済が萎えていることの主要因の一つとして、ゆとり教育と就活の前倒しは指摘することができることは、間違いないだろう。

就活の紳士協定を強化して復活せよ これに対する対策は一つは、かつてあった就職活動についての企業間の紳士協定を強化したかたちで復活すること。もう、これは絶対にやらなければ、ダメ。そうしないと日本は崩壊するだろう。

96年まで、就職については紳士協定が企業間で結ばれていたのだが、協定破りがあまりに多いためにこれが破棄され、それが結果として就活の前倒し状況を生んでしまった。そして前述したように大学教育の形骸化を生んでいる。ただし、紳士協定が破棄された理由は「紳士的でない企業」が頻発したから。いいかえれば、これはあくまでもマナーみたいなレベルでの拘束力しかなかった。だから結果として破綻したわけで。

ということは、やるのなら「紳士協定」ではなく立法化しないと意味がない。具体的には就職開始日を八月一日とし、この規定に反した企業は一年間の新卒募集停止とかの処分をする。開始日八月一日というのが適切なのは、これによって四年前期までの大学教育の充実化が図れるため。つまり、これまで三年次の一月までだった教育がさらに半年延びる。学習期間は13%程度増加する。また、八月以降は卒論指導の期間とすれば、就活と卒論作成が同時になるわけで、個別指導という状況にも対応できる。でもって、「これで日本も安心だ!」と言うことに(くどいようだが、その期間を大学側がちゃんと教育できればと言う留保が当然付くが。で、ダメなんだけど)。

そうなればよいのだが……しかし、現状はそうなってはいない。では、現在の就活システム、そしてゆとり教育の中で大学教育は、いかなる立ち位置をとるべきなのだろうか?

そこで現状を把握し、教育側がとるべき立ち位置について押さえておこう。(後編に続く)

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