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日本はワクチン接種をどう進めるのか?

 新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらず、政府は7日にも緊急事態宣言を発令する。

 イギリスでは、変異種の感染が拡大し、ジョンソン首相はイングランド全域に三度目の都市封鎖を行った。

 英米などでファイザーやモデルナのワクチンの接種が始まっている。日本でも2月末には接種が可能となりそうであり、政府は、医療関係者、高齢者、基礎疾患のある者などを優先させる接種方式を決めている。

 問題は、実際に接種が順調に進むかどうかである。今回は接種は無料である。

 自治体から「無料接種券」が郵送され、それを持って指定された医療機関に行き、接種を受けることになるのだろう。そこまで行き着くのにどれくらいの時間が必要か。また、接種する医者の数が十分かなど、様々な問題を想定しておかなければならない。

 アベノマスクや10万円の現金支給の際にいかに時間がかかったかを思い出すと、不安にならざるをえない。2月末にでも接種を開始するのであれば、もう今から準備を始めなければ間に合わないのではないか。

 人口の半分の6千万人に接種するには、どれくらいの時間が必要なのか。週末や休日を除いて毎日100万人に接種しても、1ヶ月で約2千万人である。しかもこのワクチンは2回接種が必要なので、6千万人分というのは1億2千回の接種ということである。

 2回目の接種は3週間〜1ヶ月後である。たとえば、3月1日に1回目、4月1日に2回目ということであり、3月から接種を開始しても、1億2千回接種が終わるのは6ヶ月後の9月1日である。ワクチンの効果は接種1〜2週間後からなので、免疫獲得は9月中旬である。

 東京五輪は7月には始まる。7月1日までに6千万人が接種を受けているようにするには、一日に150万人に接種しなければならないことになる。それが可能なのか。

 小中学校で生徒を体育館に集合させて予防接種を行うような集団接種を実施することができるのであろうか。政府など関係者は「東京五輪は絶対に開催する」と言っているが、果たして、ワクチン接種の具体的実施計画を立案しているのだろうか。

 神風が吹くので戦争は絶対に勝つ」と豪語して、兵站をきちんと整えずに敗北した大日本帝国陸海軍と同じである。精神論だけで安全な五輪が開催できるほど甘くはないのである。

 日本では、ファイザーもモデルナも治験中で、まだ承認されていない。しかもこのように接種一つとっても、具体化しようとすれば問題が山積していることが分かる。IOCは、そこまで分かっているのだろうか。

 開催国の日本のワクチン接種だけでもこれだけ問題があるのに、世界中、とりわけ発展途上国で人口の半分に接種するのにどれだけの時間がかかるのか。世界人口の6割、つまり46億人近い人々にワクチンを接種するのにどれくらい時間が必要なのであろうか。

 願望ではなく、医師の数などの現実を考慮した冷徹な計算が必要である。

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