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空間線量と個人の被ばく線量の関係は? - 福島レポート

東京電力福島第一原子力発電所事故後、飛散した放射性物質による住民の被ばく状況の把握が必要になりました。

ある地域の外部被ばく線量は、その地域の住民が個人線量計をつけて生活をすれば、正確に測定することができます。ただ、たとえば避難指示が出て住民がまだ帰還していないような地域については、その方法がとれません。

ただ、そういった場合でも外部被ばく線量を知るために、航空機を使った空間放射線量の測定値を、外部被ばく線量に換算する方法がとられることがあります。

福島第一原発事故後には、航空機ではかった空間放射線量を0.6倍した値をつかって、原発事故による住民の外部被ばく線量を推計していました。

政府は除染の長期目標として、「原発事故で飛散した放射性物質を原因とする被ばく線量を年間1ミリシーベルト未満に抑えること」を目安としました。このときも、「空間線量を0.6倍する」という方法で、「原発事故由来被ばく線量:年間1ミリシーベルト」を「原発事故で生じた空間線量:毎時0.23マイクロシーベルト」に換算しています。この「毎時0.23マイクロシーベルト」が、住民が判断する材料として重要な「境目」としてとらえられる事例が少なくありませんでした。

そこで、原発事故後に得られた多くの測定データをつかって、航空機ではかった空間放射線量から、住民の被ばく線量をより正確に推定するための研究がされています。

福島県立医科大学の村上道夫准教授らの研究により、この「毎時0.23マイクロシーベルト」と、実際の「原発事故由来被ばく線量:年間1ミリシーベルト」には大きなずれがあることが示されました。

今回、研究グループは、空間放射線量と一人ひとりの実際の外部被ばく線量との関係をしらべました。空間放射線量は、原子力規制委員会が公開している航空機による測定データを使いました。外部被ばく線量は、福島県南相馬市の住民が個人線量計を身につけて測定したデータ(18歳以上が延べ1万8392人、18歳未満が延べ3650人)を使いました。

解析の結果、原発事故で生じた空間線量を、18歳以上では0.304倍、18際未満では0.250倍することで、原発事故由来の被ばく線量が概ね推計できることがわかりました。

さらに、この比率自体は一定でなく、(原発事故とは関係ない自然界からのものも含めた)空間線量に応じて変化するということも、研究は示しています。

今回の研究でわかった比率をつかって考えると、18歳以上(未満)では、空間放射線量で毎時0.42(0.50)マイクロシーベルトの時に、原発事故由来被ばく線量年間1ミリシーベルト以下に相当することになります。


参考
Michio Murakami, Shuhei Nomura, Masaharu Tsubokura, Yoshitake Takebayashi, Kana Yamamoto and Tomoyoshi Oikawa (2019)
Radiation doses and decontamination effects in Minamisoma city: airborne and individual monitoring after the Fukushima nuclear accident
Journal of Radiological Protection
https://doi.org/10.1088/1361-6498/ab4e5a

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