- 2021年01月05日 08:49
【福袋】、アメリカでは返品制度で不正が横行!もトレーダージョーズの福袋の内容とは?

■年始の初売りなどで特別に販売される福袋は、色々な商品等を詰めて中を見せないよう封をして均一価格で販売する目玉商品だ。
福袋が販売されるとSNSでは有名ブランド店で購入した福袋を開封する動画や入っていた商品を紹介した画像で賑わうことになる。
福袋に入っている商品の合計金額は一般的に、福袋の価格より上回っているためお得感がある。
残念ながら一部おに店の売れ残り品を集めた在庫処分のような、福にあたらない袋もあるようだ。その場合、SNSでは「鬱袋」「ゴミ袋」と揶揄されることになり、福袋を販売する店のブランドを毀損することもあるのだ。
モノあまりでネット社会の現在では以前に増して消費者の目が肥えており、店側も福袋の取り扱いには注意が必要となる。
一方、アメリカでは福袋を「ラッキーバッグ(lucky bag)」「ミステリーバッグ(mistery bag)」と知られているが、福袋を販売するお店を見かけることはない。
福袋は日本独特の文化であり、アメリカに進出している一部の日系企業がニューイヤーに福袋を販売しているのみだ。
アメリカで福袋は絶対に根付かない。アメリカには返品制度があるからだ。
アメリカではほとんどのチェーンストアから多くの中小の小売店まで、購入した商品について返品期間内であれば、理由を問わず、使用済みでも、消耗していても返品・返金に応じてくれるのだ。
商慣習になっている「100%満足度保証」は、商品に満足できなければ自由に返品でき、お客にはまったく損をさせない。
アメリカの「無条件返品」は100年以上の歴史があり、返品コストは利益に盛り込んでいる。全米小売業協会(NRF)が最近発表したデータによると2020年の返品率は13%に達している。
仮に福袋を販売しても顧客に気に入ってもらえなければすぐ返品されることになる。さらに福袋を簡単に悪用されてしまう。
返品する際、全く別の(例えば同じブランドでも古いモノ)商品を入れても返されても担当するスタッフが確認するすべがない。
そもそも福袋を販売した時点で何が入っていたかなどを記録したレシート等がないため確認しようがないのだ。店側にとって文字通りのゴミ袋で返品されることになる。
ところでアウトドア&アパレル用品メーカーでもあるLLビーンでは2年前、返品制度を厳格化した。新しい返品制度では「購入から1年間」と期限を設定した。
同社CEOのスティーブ・スミス氏によると、中古屋やヤードセール(ガレージセール:自分の庭やガレージで要らなくなった物を売ること)、フリーマーケット、さらにはゴミ箱をあさって拾ってきたような古いLLビーン商品を返品する人が増えたという。
こういった不正返品が増加傾向にあり、LLビーンでは当時2.5億ドル(約270億円)分が不正返品によるコストとなっていたのだ。
そのため「(不正返品を許すことは)サスティナブルではない上、逆にお客様に不公平」という理由で返品制度に購入から期限を設ける条件を加えることにした。
アメリカでは不正が横行する返品制度があるため、大きな付加価値を与えた福袋を販売しても返品で別の商品が返されるというリスクが生じてしまうのだ。
返品不可での福袋販売は可能だ。アメリカに進出している百均のダイソーではレジでお客に返品を受け付けない「ファイナルセール(final sale)」を確認している。
これを倣って福袋を販売する際も「ファイナルセール」で行えば返品不可の販売は可能だ。ただし中身のわからないモノを買うアメリカ人はまずいないのだが...
トレーダージョーズ・ミステリーバッグの開封動画。このYouTuber(ウィスコンシン在住)が購入した福袋にはフィラデルフィア、ロードアイランド、ワシントンのご当地エコバッグが入っていた。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本人にも大人気の食品スーパーのトレーダージョーズには福袋(ミステリーバッグ)があります。トレーダージョーズのミステリーバッグ販売は日本の福袋のように時期がきまっているわけではありません。
多くの場合、年末あたりで販売を開始しています。トレーダージョーズのミステリーバッグの価格は2.99ドル。中身はオリジナルのエコバッグ3枚が入っています。ご当地以外で販売している、つまり他の州で展開しているトレーダージョーズのエコバッグが入っているのです(表記もされています)。
カリフォルニアにあるトレーダージョーズならニューヨークとかテキサスなどの店舗で販売されているご当地エコバッグですね。内容もわかっているし値段が300円程度なのでトレーダージョーズのファン客は気軽に購入します。トレーダージョーズの返品制度はものすごく寛大ですが、さすがにエコバッグを返品するお客はいません。したがってトレーダージョーズではミステリーバッグの販売が恒例になっているのです。
トレーダージョーズの福袋はミステリーでもなんでもないということ。ご近所の奥さんとの話しのネタになるぐらいですかね。