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アングル:日本株の軽い「つまずき」、緊急事態宣言後に変化も


伊賀大記

[東京 4日 ロイター] - 2021年取引初日の日本株は、丑年の相場格言通り「つまずき」で始まった。しかし、緊急事態宣言が発出される可能性が高まったにもかかわらず、警戒感は乏しい。景気の下押しは限定的とみられているほか、昨年と違い対処の経験値もあるためだ。ただ、政府の対応が後手後手に回る中、日本株に対する評価が微妙に変わる懸念もある。

<経済への影響は限定的か>

大発会の日経平均株価は一時400円を超える下げとなったが、終値では185円安にとどまった。債券市場で金利はほぼ横ばい。ドル/円は102円台に下落したが、円高というよりもドル安だ。

菅義偉首相は4日、東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県で新型コロナウイルス感染者数が高水準で推移する現状を踏まえ、緊急事態宣言の再発令を検討する考えを表明したが、金融市場は比較的冷静に受け止めている。

理由の1つは、昨年春と比べると経済への影響が小さいとみられていることだ。昨年4─6月期の実質国内総生産(GDP)2次速報は前期比28.1%減(年率換算)となったが、今回エコノミストが想定するのは2%程度の押し下げ効果に過ぎない。

「全世界的なロックダウン(経済封鎖)により、輸出や設備投資が大きく落ち込んだ昨年春の状況とは異なる。オンライン消費も増えた。サービス以外の影響は限定的となりそうだ」と、シティグループ証券のチーフエコノミスト、村嶋帰一氏は指摘する。

内閣府の県民経済計算によると、2017年の国民所得に対する割合は、東京が17.8%、神奈川が7.1%、埼玉が5.4%、千葉が4.8%で、計約35%。影響は小さくないが、緊急事態宣言が首都圏に限定されるのであれば、景気下押し圧力は昨年ほどは強まらないとみられている。

<マーケットに「経験値」>

経済への影響が限定的であれば、大規模な財政出動による国債増発懸念も高まらない。株式市場では、金利上昇が株価調整のきっかけになりかねないと警戒する声も少なくないが、債券市場では今年も大幅な金利上昇を見込む声は少ない。

「来年度減額予定の国庫短期証券の減額幅を小さくすれば済む程度であれば、利付国債を増発する必要性はない。財務省も、市場が望んでいない国債増発は行わないだろう」と、野村証券のチーフ金利ストラテジスト、中島武信氏は指摘する。

昨年春は、未知のウイルスへの恐怖感から現金化の動きが加速し、株式も債券も同時に売られる中、ドル不足が顕在化していた。しかし、足元では日銀による米ドル資金供給オペの応札はゼロ。マーケットに資金不足感は乏しい。「マーケットも新型コロナへの対応にだいぶ慣れた」(国内証券)という。

マーケットが緊急事態宣言に対して「経験値」を積んでいることも、金利上昇の抑制要因だ。昨年春は、自宅のトレーディングインフラが整備されていなかった影響で、在宅勤務が増える半面、超長期債などの流動性が低下し金利も上昇したが、今回はそうした影響は限定的とみられている。

<海外勢の評価は変わるか>

しかし、2度目の緊急事態宣言が発出されれば、日本株に対する評価が微妙に変わる可能性もある。新型コロナウイルスの感染拡大が比較的抑えられているということが、海外勢のポジティブな評価につながっていたためだ。

「日本の新型コロナ対策が後手後手に回った感は否めない。日本株は米国株に連動して上昇してきた面が強かったが、出遅れる場面が増えるかもしれない」と、ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏は指摘する。

菅首相は4日、ワクチンについて「安全性、有効性の審査を進め、承認されたワクチンを2月下旬までに接種できるよう準備する」と語ったが、欧米など海外では昨年末から接種が開始されている。ワクチン接種が遅れれば、その分、経済の回復も遅れる可能性が高まる。

2000年代以降の日本の政権と内閣支持率の関係とみると、内閣支持率が30%を割り込むと退陣もしくは、解散・総選挙に追い込まれてきた。菅政権の各種世論調査における支持率は昨年末時点で40%前後と「危険水域」にはまだ入っていないが、コロナ対策に対する評価は厳しい。

政権の安定も、海外勢の日本株買い安心感の背景だっただけに、菅政権の不安定化は日本株の不安定化にもつながりかねない。

(伊賀大記 編集:田中志保)

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