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プロを上回る株式投資は可能

昔の会社の仲間に会って一献傾け、時々冗談で語ることがある。「系列の某アセットマネジメント会社よりも株式投資が上手だ」と。冗談だから、とくに比較したデータはない。でも、酒が入らなくても、半分は本気で思っているのも事実である。

タイミングを測り、売買するのが上手というわけではない。素人の株式投資の一番の難点は「企業に惚れる」ことである。これまでの僕自身の経験でも、これと同じ過ちを何回も犯してきた。とはいえ、「企業に惚れる」株式投資は長所にもなり、大きな成果を生む。

「あばた」に惚れてはいけないが、それが「えくぼ」なら長期投資向きになる。

なお、男性の場合、「あばた」に匹敵するのは「にきび」かなと思うが、「えくぼ」に相当するものを思いつかない。そもそも男性には独自の長所がないのかもしれない。そこで申し訳ないながら、以下、女性での比喩を通しておく。

どのようにして「あばた」と「えくぼ」を見分けるのか。それは、ごまかしの聞かない数字を眺めることに尽きる。長期投資の場合、結局は独自性と、それがもたらす利益率が鍵である。同業他社と比べて高い利益率が安定的に得られているのなら、「えくぼ」の可能性が高くなる。

高度成長期にもてはやされた企業として、ソニーと松下電器産業(通称は松下、現在のパナソニック)があった。その2社の株式に投資した場合の投資収益率(値上がり益と配当)を比べてみたところ、ソニーの方が高かった。ソニーは独自技術で勝負していた。松下は陰で「まねした電器」と呼ばれたように、他社の技術を後追いしつつ、大量生産で打ち負かしていた感が強い。

その差異が、2社の株式への投資収益率に出たのかもしれない。さらには現在、ソニーが復活しつつあるのに対し、パナソニックの不振につながっているのだろう。

昨年末、日本の株価は30年ぶりの(正確には1990年8月以来の)高値に到達した。しかし、これは日経平均株価(225社で計算される株価指数)での話しである。東証株価指数(TOPIX、2200社近くで計算される株価指数)で見ると、当時は2000台を超えていた。それなのに日経平均が30年ぶりの高値、27000円台に到達した日、TOPIXは1800台に到達したにすぎない。

日本の株式市場に何が生じているのか。要するに、優れた企業の株式が買われ、劣った企業の株式が放置されている。日銀が「超金融緩和政策」と称し、「性懲りもなくTOPIXを買っているにも関わらずに」である。逆に、日銀がTOPIXを買わなくなったら、劣った企業の株価はどうなるのかと心配してしまう。 そして、プロ投資家の多くもTOPIXを買っている。TOPIXを買わなくても、TOPIXから大きく外れないように(大きな距離を置かないように)投資している。流行りの言葉で表現すれば、TOPIXに密である。しかも東証が、そのTOPIXを改革しようとしている。

このプロ投資家の投資スタンスと、日経平均とTOPIXに生じた株価水準の差異を考慮すると、個人の「素人投資家」がプロ投資家に容易に勝てる時代が到来したと考えていい。素人投資家とすれば、「えくぼ」の企業を見つけることに尽きる。「えくぼ」と思ったものが、単に痩せこけていただけの仕業ということもあろうから、5社程度は「えくぼ」を見つけるのが安心かもしれないが。

いずれにせよ、プロを上回る株式投資は大いに可能である。日本だけでなく、先進国を見渡せば、もっと可能性が高くなろう。

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