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バイデンの米国①ワクチン頼みの政権運営【2021年を占う!】米国

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バイデン次期米大統領とハリス次期副大統領 出典:joebiden.com

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

【まとめ】

・米新型コロナ感染者総数2000万突破、死者数35万に迫り世界ワースト1。

・バイデン政権のコロナ政策は、厳罰主義から実効性あるものへ転換。

・ワクチン薬害が起きたりすれば新政権の先行き暗い。

民主党のジョー・バイデン次期大統領が1月20日に就任式を迎える。「さまざまな対立軸で深く分断された米国を癒し、団結を取り戻す」と誓う新大統領の下で、米社会や経済はどのように変わるのだろうか。

連載3回にわたり、第1回は「新型コロナウイルス対策の成否」、第2回は「グローバル化の巻き戻し」および「ウォール街と庶民経済」、第3回は「人種問題」について考える。

第1回の今回は、「米民主党バイデン政権のコロナ政策は、有無を言わせぬロックダウンなどの厳罰主義から、より優しくより実効性のあるものへと転換してゆく」との予想に基づき、解説する。

■ 触れ込み通りに効かない封鎖

2020年2月以降、共和党トランプ政権が極端なコロナ放任主義政策を採る中、都市封鎖(ロックダウンの権限を持つ州知事など各地の民主党首長は、「一時的に経済を犠牲にしてロックダウンを厳守すれば、感染者数や死者数を速効的に抑えることができ、結果的に経済の回復を早められる」との触れ込みで、厳しい罰則を伴う都市封鎖を実施してきた。

しかし、ニューヨーク州やニュージャージー州など多くの地域ではロックダウン実施から1か月を経ても感染者数や死者数がさらに増加を続け、ニューヨークのアンドリュー・クオモ知事をして、「人々は外出せず家にこもっているのに、感染し続けている」と頭を抱えさせた。

これらの州でコロナの「火勢」が弱まり始めるには、2か月近くの時間を要した。それがロックダウンによる人と人との接触減少によるものであるとの、明確な因果関係をエビデンスで示した学術研究はない。あるのは、「ロックダウンなしの状況で増加したであろう感染者数と死者数の推計」とロックダウン後の感染・死亡減少の数字を比較して「封鎖は実際に効果があった」と結論付けるという、真に科学的とは言えない研究のみである。

こうした中、各地では感染者の増減に応じて部分的・全面的なロックダウンが9か月以上も繰り返されたものの、感染者や死者は逆に増加するばかり。年明けの1月1日現在で新規感染者数は23万件、感染者総数が2000万を突破、死者数も35万に迫り、文字通り世界ワースト1の記録を更新し続けている。

ロックダウンが劇的に効かず、先の見えない都市封鎖が繰り返されて低所得層や中間層の失業や収入減に起因する社会問題が悪化する中、私権の制限を嫌う共和党支持者のみならず、基本的に都市封鎖支持の民主党支持者の間にも「コロナ疲れ」が広まり、党派を問わない消極的な不服従が蔓延している。具体的には、屋内で家族や友人と多人数の集まりを楽しむ、マスク着用をしない、奨励されない遠距離の移動をする、などの違反が目立つ。

ロックダウンに対する全米規模の支持が得られた3月や4月と現在とでは、格段の違いがある。当初、「数週間もあればコロナを抑え込める」はずだったものが実現せず、外出制限や営業禁止などのゴールポスト移動が目まぐるしく、しかも恣意的で、国民が政府や専門家に対する信頼を失ったからである。

■ より優しいコロナ政策へ

従来の厳罰主義やロックダウンが所期のコロナ退治効果をもたらしていない事実、さらに配布や接種が始まったワクチンの効果が現時点では高いと見られることを受けて、バイデン次期政権は、「より優しく、実効性にこだわる」コロナ政策を追求することになろう。

事実、バイデン氏は大統領選挙期間中の2020年8月に、「当選すれば、科学者の助言に従い、必要に応じてロックダウンを布告する」と述べたことがあるが、選挙民の間で高まる反発を受け、「全米規模の封鎖は必要ないと思う」と述べるなど、持論をトーンダウンさせている。

また、バイデン氏の当選確定後には、副大統領に就任予定のカマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)が12月16日のABCニュースのインタビューで、「新政権は懲罰的なコロナ対策を採用しない」と述べている。米国民を団結させたいのであれば、懲罰的政策が逆効果であるとの認識が見え隠れする。

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