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感染症危機は国中心に、一丸となって突破

大晦日、東京都では過去最高の1337人もの新規感染者を記録、重たい越年となった。先月14日に政府が年末28日からのGoToトラベルの一律一時停止を発表して以来、繰り返し「静かな年末年始を」と呼びかけて来たが、実際は感染爆発のリスクが専門家から指摘される危機的状況となっている。

年末年始に地元松山市内で様々な方々の率直な話を聞くにつけ、政府による一本筋の通ったスピーディーかつ確固たる感染症抑え込みと、政府による丁寧かつ責任ある説明を有権者は求めている、との確信を深めた。法改正も遅すぎる、との厳しい声が多い。

以前申し上げた通り、本年6月、既に我々は、当時私が本部長を務めていた自民党行革推進本部から「大規模感染症流行時の国家ガバナンス見直しWG提言」(注1)を公表。さらに10月には私が顧問を務め、法・制度改正としては「行革本部提言」とほぼ同じ内容の「自民党コロナ対策本部感染症ガバナンス小委員会提言」(注2)、(武見敬三小委員長)を公表している。

内容的には、(1)感染症危機時には国が責任を持って対応し、(2)「公衆衛生」と「地域医療」を有機的に一体化させ、(3)感染症データは国が一元管理・開示をする、といった政策を、全て法律に明記し、国と地方が心を一つに強力に対処すべき、との提言で、自民党政策審議会で正式に承認もされている。

日本の感染症対応体制は、明治30年の旧伝染病予防法制定以来120年の間、知事の下、昭和12年からはその下の保健所中心の「地方任せ」の法制のままで来てしまった。コレラ等これまでの感染症対応は何とかなったが、新型コロナ感染症は感染力が強い上に、「無症状でも感染力がある」初めての感染症だ。従って、かかる感染症危機にあっては、国家統治権限と高度の情報収集力、そして科学的知見を最も多く持っているはずの国が責任を持って対応するのが筋だが、法律上は全くそうなっていない。さらに、新型コロナに「かかっていると疑うに足りる正当な理由がある者」までしか行政によるPCR検査はできない法律なのだ。従って、社会防衛として、病院や介護施設等での予防的「全員スクリーニング検査」を可能にする法改正が必要なのだ。私達は、それらの実現に向け、厚労省に対し何度となく働きかけ続けてきたが、反応は極めて鈍い。

そもそも、感染拡大を抑え込むことに成功した世界の国々は、水際対策の早期強化、さらには感染拡大初期に政府権限や罰則等のガバナンス強化を早々に行い、効果的な感染防護を実現している。それに対し、我が国政府は、「抜本改正はコロナ収束後」とし、感染症危機時の国家ガバナンスは極めて緩いままなのだ。GoToキャンペーンの停止を巡ってや、緊急事態宣言発出に関し、国と地方との間での責任の所在を巡り、回りくどいやり取りを繰り返すのに関し、理解に苦しむ国民は多いはずだ。

ここに来て政府も、漸く私権制限強化、行政罰の導入を含め、特措法を改正する方向になりつつある。感染症法に関しても、「必要最低限の改正」をしよう、というところまできている。しかし、今、国民が求めているのは、「必要最大限の改正」をし、感染拡大を打ち止めとし、元の暮らしや仕事に戻る事だ。

そこで私は、先の2つの「提言」に沿った必要十分な感染症法改正を次期通常国会の早期に行うため、このままでは厚労省が取り上げそうもないが、国主導の強力な感染症抑え込みと万全の医療体制構築実現のために必要不可欠な法改正に関する条文案のイメージを「感染症法改正の追加すべき主要条文案のイメージ」(注3)として作成し、今後同僚議員の賛同を得ていきたいと思っている。既に昨年末、厚労省には提案を行った。

感染症法改正上の項目としては、

1.感染症危機時の国の責務を明記するとともに、その下での地方の責任を明確化し、地方が国の指示に従わなかった場合には、国が知事権限を代行可能とする。
2.国が感染症情報を一元管理し、オンライン処理を容易化する。
3.PCR検査等の数値目標等を設定する。
4.社会防衛のため、「行政検査」の対象を拡大し、広範な地域における医療機関、介護施設等における全員検査(スクリーニング)を可能にする。
5.PCR検査は、現行インフルエンザ検査同様に保険適用し、なおかつ自己負担分は公的に支援する。
6.民間PCR検査所における検査の結果について厚労大臣への報告義務を課す。
7.重症患者は、公的医療機関において優先的に、入院、治療を受けられるようにする。

などが考えられ、同時に、知事会などは、特に特措法改正を強く要望しており、国主導の感染防護体制の実現のためには、国の緊急時における知事権限の直接執行権や知事による営業者への協力要請や違反に対する罰則、そして損失補償も制定し、感染防護のための規制対象となっても、経済的ダメージを最小化することを明確にし、国民がこぞって同じ方向に向くことが可能とすべきと考える。

豪州では、今年の3月から「National Cabinet(国家内閣)」と称し、コロナ対策関係閣僚に8人の州知事全員を加えた新たな国家の意思決定機関を立ち上げ、コロナ対策は全てここで決定、厳しい規制に対しても、国・地方から不協和音が聞こえることはないと聞く。わが国も、こうした豪州の民主主義の知恵から大いに学ぶべきではないだろうか。

(注1)(「大規模感染症流行時の国家ガバナンス見直しWG提言」)

(注2)(「自民党コロナ対策本部感染症ガバナンス小委員会提言」)

(注3)(「感染症法改正の追加すべき主要条文案のイメージ」)

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