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コロナ禍で必要な「お金の量を増やす」という考え方

■コロナ禍でも株式市場が活況な訳

 コロナ禍において1度は大暴落を演じた株式市場だったが、その後は予想通り急騰し、2020年末時点では、ニューヨークダウは30606ドル、日経平均株価は27444円となり、30年ぶりの高値を記録した。

コロナ禍で経済が滞っているのに、なぜ株価が騰がっているのか?

 最近、そういう意見をよく耳にするが、その理由の1つは、多分、以下の通り。

 「行き場を失った余剰資金が株式市場に向かったから

 コロナ禍で各国政府は、巨額の財政政策を行い、国民にお金を配った。世の中には、そのお金を生活費の足しにする人がいる一方で、全く必要としていない裕福な人もいる。そういった人々を区別せずにお金を配った(後述するが、これは正しい判断)ため、後者の人々は、余裕資金ができたということで、株式市場に資金が流れた。実にシンプルな理屈だ。

 滞っているビジネスに資金を投資するよりも、まともに動いている株式市場に投資する方がリターンが見込めるという理由によって、株式市場は活況化した。

 上場企業の安定的な経営で成り立っているはずの株式市場が、不安定な経営状態であるにも拘らず安定しているという矛盾。需要が見込めないビジネスよりも、旺盛な需要が存在している株式市場に資金を投入した方がリターンが高くなるというパラドックスが生じた。

 結局、お金というものは、需要の有るところに向かう。コロナ禍はそのことを嫌というほどに証明してしまった。

■バラマキ政策で意見が分かれる訳

 今回の各国政府のコロナ禍におけるバラマキ政策を、肯定的にとらえる向きと、否定的にとらえる向きがある。

 総じて言うと、MMTに理解を示す人々は肯定的だが、MMTに理解を示さない人々は否定的となっている。毎度のことながら、国の借金は返さなければならないというゴリゴリの思考から脱却できない人々は、コロナ禍でバラまいたお金は、増税によって回収しなければならないと思っているようだ。

 誰かがMMTの話をすると、必ずと言っていいほど「無税国家論」を用いて反論する人がいる。曰く、「MMTが可能なら無税国家にすればいいじゃないか」というもの。

 しかし、MMTを理解している人なら誰でも、MMTは無税国家の下では成り立たないということを知っている。少しでもMMT関連書籍を読んでいれば、大抵の本にはそのことが書かれている。「無税国家」という言葉を用いて反論してくる人というのは、おそらく全く本も読まずに反論しているのだろうと思われる。

 MMTの理解・無理解に関係なく、バラマキ政策について意見が分かれるのは、「公平性」という観点からだろうと思う。真面目に働いている人と、真面目に働く気が無い人を同じ扱いにするのは不公平だという観点がある。例えば、真面目に働いている人に資金的な補助がなく、真面目に働く気のない人にだけ資金的な援助が有った場合、そこには不公平感が生じる。

 だから、苦労してお金儲けをした人に限って、バラマキ政策には否定的になる傾向がある。バラマキの否定は、個人の努力による結果が蔑(ないがし)ろになってしまうという憤りのような感情があることと無関係ではないと思う。

■MMTを理解できない政治家がバラマキ政策の手綱を握る危険性

 しかしながら、真面目に働いている人にも、真面目に働く気が無い人にも同じようにバラマキを行うということであれば話は別になる。

 国民全員に対して、同額のお金を配るということなら不公平感は生まれない。その政策なら、1人1人の国民の手持ち資金が底上げされるという結果を生むだけであり、誰かが得をして、誰かが損をするというものではない。要するに、国内のお金を均等に増加させるという効果を生むだけなのである。

 もし、お金の量を常に一定に保つ必要があるなら、人口が2倍になった場合、お金の量がそのままでは、1人1人の手持ち資金は半分になってしまうことになる。それとも、人口が2倍になれば、キッチリお金の価値が2倍になり、キッチリ物価が2分の1になると言うのだろうか?

 国民経済において、お金とは、どれだけの量が流通しているかが重要なのであり、どれだけの量のお金が有るかは、それほど重要なことではない。

 政府が注意しなければならないことは、国民が増えたお金をどれだけ消費するかという点のみ。国民全員が配ったお金を湯水のように使うようなことになると激しいインフレになる危険性があるので、その点だけを注意して、配るお金の量を調整しなければならない。

 逆に言うと、それさえ問題にならなければ、単に国内のお金の量が増えるだけのことなので、何の問題も発生しない。

 バラマキ政策で問題となるのは、MMTや経済を理解できない政治家がMMTを悪用することである。無税国家が成り立つというような誤解や、どれだけお金をバラまいても大丈夫というような曲解をするような政治家がバラマキ政策の手綱を握った場合、国民を翻弄して本当に悪性のインフレを招く危険性があるので、その点だけは最善の注意が必要になる。

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