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長年続いたお正月の「福袋」行列 今年はコロナ禍で様変わりも

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今年の福袋商戦は例年とガラリと変化

本日から2021年となり、新年を迎えました。本当に月日の流れる速さに驚くばかりですが、昨年は特に速いと感じました。

理由は、新型コロナ感染症による長期間の休業があったためです。東京だと2ヶ月弱、大阪でも1ヶ月半、その他地方でも1ヶ月くらいの自粛期間があり、その間、いくつかの職業を除いては休業を余儀なくされました。

Getty Images

自分はフリーランスなので特に休業はしていませんでしたが、取材先や契約先の企業が休業していたため、自動的に1ヶ月半くらいは休業状態となってしまいました。

そのため、例年よりも活動した日数が少ないことから、余計に時間の経過が速く感じられます。同じように感じておられる方も多いのではないかと思います。

さて、正月の風物詩の一つとしては洋服業界でいうと、冬のバーゲン開始と福袋の販売があります。

しかし、11月からの新型コロナ感染症の再拡大を受けて、今年の正月はこれまでとは少し様子が異なるようです。

冬のバーゲンはなんだかんだと言っても、売れ残り品を捌かないといけないので、コロナ禍により派手に打ち出すことはしなくても、実際には値引きセールを行わざるを得ません。

一方、ガラリと様子が変わりそうなのが福袋です。正月に販売する福袋自体は昔からありました。自分も20年くらい前に家族向けに買ったことがあります。ちょうど2000年頃のことです。

10年続いた福袋の「黄金時代」

共同通信社

その頃の福袋はまだ、売れ残り品を詰めて販売するという形式の物が多かったのです。開けてみると、夏物の薄い生地のトップスやパンツ、それから、サイズも不ぞろいでXLサイズなんかも入っていました。

他にも、例えば、今でこそ人気ブランドのディーゼルですが、その頃は今ほどの人気が無かったので、いかにも売れ残りっぽいジーンズを詰め合わせた福袋を販売していたのを見かけたことがあります。

自分自身は元来衣装持ち(ただしすべて値引き品ばかり)であることもあって、こんな商品ばかりが入っているなら、福袋なんか買う必要はないと思いました。また、資産もあまり持っていなかったので、貴重な1万円とか5千円をこんな物に使うのはもったいないと感じていました。

そこから、福袋はどんどんと様変わりしていきます。2005年くらいになると、洋服不況の中にあって数少ない売れ筋の一つということで、各ブランドはこぞって福袋を強化しました。サイズ別・色別に分けられ、あまつさえ、どんな商品が入っているのか中身まで公開するようになったのです。

「中綿ブルゾンとネルシャツ、ジーンズ、トレーナー、靴下、ベルトが入っています」という感じで、画像付きで告知するようになりました。そして、さらにS、M、Lサイズに分けられるようになったのです。

まさに至れり尽くせりです。この頃から約10年間は、まさに福袋人気の黄金時代が続いたといえます。

人気過熱で次第にアパレル企業の大きな負担に

福袋を目当てに、正月の朝早くから開店前から多くのお客が行列を作って待つようになります。友達同士で各々、複数のブランドの福袋を買い合わせて、気に入った物を交換するという若者の姿が目立つようになりました。

しかし、2015年頃から福袋人気にも異変が起き始めます。まず、ブランド間の人気の格差が顕著になり始めたのです。

人気ブランドはあっという間に福袋が売り切れますが、不人気ブランドは1月5日頃になってもまだ福袋が残っているのです。

写真AC

さらにSNSの普及によって、福袋の中身によっては炎上するブランドも珍しくなくなりました。期待したような商品が入っていないと「鬱袋(うつぶくろ)」と言われ、SNSでシェアされるということが頻発しました。

そして、ブランド側にも福袋は大きな負担になりつつあったのです。そもそもは、売れ残りの在庫品を詰め合わせ、正月のおみくじのように「運が良ければ良品が入っている」という性質のものだったのが、サイズ別で販売されるようになりました。

サイズ別にアソートされているということは、売れ残り品ではなく、それ専用に用意された新商品だということです。

一時期、メディアでは「アウトレット店で売られている商品は、アウトレット用に製造された新規商品だ」ということが報道され、大いに話題となりましたが、福袋も同様の構図だったのです。

福袋用として新規商品を製造したり仕入れたりしていたから、サイズ別にアソートすることができたのです。

ご存知のように福袋は、だいたい5~6枚入って約1万円の値段が付けられていることが多いです。ということは、ものすごい薄利の新規商品を用意して、アソートしているということです。5枚で1万円という販売価格だとすると、1枚当たりの販売価格は2000円ということになります。

当然、2000円未満の値段で仕入れたり製造したりするわけですが、どんなに頑張っても100円とか200円で用意することはできません。そうすると、必然的に1枚当たりの粗利益額は、数百円くらいということになってしまいます。

ブランド側からすれば、福袋が売れればたしかに売上高は増えますが、利益はほとんど出ないということです。その上に「鬱袋」と揶揄されて、SNSで炎上する危険性があるのですから、まったく美味しい部分がない商品だということになります。

そのため、福袋の人気が高いブランドは別として、さほどでもないブランドは2010年代後半から福袋には徐々に力を入れなくなってきていました。

例えば、「ローリーズファーム」「グローバルワーク」「ニコアンド」などを運営するアダストリアホールディングスは、2019年から正月の福袋販売を取りやめました。そして2021年正月も引き続き福袋を販売しません。

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