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コロナで可視化した社会のリアル

いつもは「年の区切り」なんてあまり意識しないのですが、今年は「2020年に自分が感じたこと」を残しておきたいと思います。

いうまでもなく2020年は、新型コロナの感染拡大により、社会も個々人の生活も、極めて大きな影響を受けた一年だったからです。

1.ギリギリで生活を成り立たせている人がかなり多い

アルバイトがひとつなくなったら、数ヶ月で家賃が払えなくなる。そういう状態で生きている人たちがたくさんいると可視化された一年でした。

飲食店に客が入らなくなるだけでアルバイトが減り、大学を中退せざるを得ない大学生

披露宴やホテルの宴会がなくなり、生活が行き詰まった大量の配膳係の人たち

シングルマザーや非正規雇用の単身中高年だけじゃなく、

家族を支え、持ち家まで所有していた人たちの中にも、残業がなくなっただけでローンが払えず破綻する人が現れています。

下記は 11年前に書いたブログですが、おそらく今は11年前より遙かに多くの人が「ギリギリの生活」をしているということなのでしょう。

chikirin.hatenablog.com

2.生活インフラのオペレーションを支えているのは誰なのか

日本の農業や漁業は、ベトナムやインドネシア、フィリピンなどからやってきた「最低賃金でいくらでも働く格安労働力」(技能実習生)なしにはもはや成りたちません。

彼らが入国できないと、私たちはレタスも白菜もコンビニ弁当も食べられない。

でも(リーマンショックのときの日系ブラジル人工場労働者がそうであったように)突然の経済危機から彼らを守るインセンティブは、日本の政治家には存在しません。

っていうか、彼らの存在自体を、私を含めた消費者だって「いないもの」として暮らしてきました。

そういう人たちがたくさんいて、それで成り立ってる国なんだなと、可視化された一年だったと思います。

3.もはや外国人客なしに、この国の経済は成り立たない

労働者だけではありません。

「お客様」としても、もはや外国人の存在なしに日本経済は成り立ちません。

人口減少が続く地方はとくにその傾向が強い。

北海道や九州の各地の観光地は、インバウンドが戻ってこない限り、雇用を維持し、利益が出せる水準には戻れないでしょう。

アジアからの留学生なしには、経営がなりたたない大学もたくさんあります。

観光バスや大型温泉旅館は、日本人旅行者しかいない世界では、半分も生き残れません。

お土産のお菓子メーカーや高級果物を作る農家だって、日本人だけの消費では事業を維持できない。

インバウンドが盛況だったおかげで、私たちは日本が「人口が減少しつつある衰退国家なのだ」ってことを忘れることができていたのです。

4.こんなに不寛容な国だったんだと驚いた

バスの中でマスクをしていない人に殴りかかったり、

生き残るためになんとか営業を続けようと努力するライブハウスのガラスを壊してみたり、

「あそこから感染者がでた」と真偽も定かでない噂話を無責任に拡散したり、

あげくは、バス停の椅子でつかの間の眠りをとるホームレス女性を「自分の街から追い出したかった」と殴り殺してしまったり。

加害者側の生活も、おそらく追い詰められた、厳しいものだったのでしょう。

それでも、それにしても、あまりにも不寛容な社会には、ちょっと怖くなります。

いったいみんな、どこまで追い詰められているのか。

5.コロナの影でとんでもないコトが進行してる

香港で起こっていること、そしてウィグル族にいま起こっていることは、何十年か先、歴史の大問題になることは明らかでしょう。

けれど、今年はあまりに新型コロナの破壊力が大きく、国際社会はこれらに適切に対応できるキャパシティを持ちえませんでした。

感染を抑えこむには、国家権力による私権やプライバシーの制限が極めて有効だという事実を盾にして、世界でもっとも大きな経済力を手にしつつある国が、そら恐ろしいほどの警察国家になりつつあります。

その影響はいつか、日本に住む私たちにも及んでくるに違いない。

そう思えてなりません。

6.不要不急な仕事とエッセンシャルワーカー

世の中の仕事には「不要不急の仕事」と「エッセンシャルなワーク」があるのだと言われ、まるで時代が何十年も逆行してしまったように感じます。

江戸時代は人口の 9割が農業に従事していました。つまり、江戸時代には 9割の人がエッセンシャルワーカーだったんです。

彼らは現在のわたしたちより「大切な仕事」をしてたってことなんでしょうか?

今年は、音楽やスポーツはいうに及ばず、外食さえ「不要不急」認定をされてしまいました。

たしかに、友達とご飯を食べに行くのは「不要不急」かもしれません。

しかし、そのご飯を食べに行くレストランを経営している人、そこで働いている人にとって「飲食業」はエッセンシャルワークのはずでした。

自分の仕事を「不要不急」とレッテル貼りされた人たちは、言いたいことも言えずに暮らしています。

もちろん私の仕事だってまさしく「不要不急」な仕事なのですが、私たちは「とりあえず生きられればいい」「それだけで満足しなければ」と

感染症の前ではそう思うしかないのでしょうか?

さまざまなことを考えさせられる一年でした。

あとから振りかえることのできるよう、年の終わりに感じたことを記録しておきたいと思った次第です。

来年はぜひ、よりよい一年になりますよう。


そんじゃーね

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