記事

TBS「戦力外通告」放送後 #最低広島 がトレンドに 10歳少年の発言は問題だったか

戦力外通告を受けながらも再起をかけるプロ野球選手の姿を追った『プロ野球戦力外通告2020』(TBS系)が29日夜に放送された。セ・パ両リーグの選手3人がトライアウト受験後にオファーを待つ姿を描いたが、ある選手の家族の発言をめぐってTwitter上で騒動となっている。

番組中で読売・田原誠次投手(31)の長男(10)が、田原投手の今後に触れる中で「ソフトバンク行けんかったら、最低広島に行きたい」と発言。これが一部の広島東洋カープを見下したと誤解され、「#最低広島」がトレンドワードに入るなど注目を集めた。

ところが、映像を確認してみると、カープを見下した発言ではないことが分かる。「最低広島」とのテロップが一人歩きして誤解を招いているのが実情で、わずか10歳の少年の発言に目くじらをたてる一部ファンの姿に対し、同じカープファンとして疑問を感じざるを得ない。

『プロ野球戦力外通告2020』ホームページから

田原投手は聖心ウルスラ高(宮崎県延岡市)、三菱自動車倉敷オーシャンズを経て、2011年ドラフト7位で読売ジャイアンツに入団。右のサイドスローから放たれるストレートやスローカーブを武器に、1年目から1軍で32試合に登板し、日本シリーズ制覇に貢献した。

その後も、1軍と2軍を往復する時期がありながらも、貴重な中継ぎ投手として活躍。19年4月には200試合登板を果たしたものの、その年の防御率は4.32と低迷。今季は1軍での登板がなく、11月2日に戦力外通告となっていた。

90分の番組では、妻と2人の子を抱える田原投手が冒頭から登場。映像は自宅内で過ごす一家に密着し、田原投手が12月7日のトライアウトに臨んだり、球団からのオファーを待ったりしている姿のほか、セ・パ12球団でつくるNPB(日本野球機構)で活躍することを願う妻や長男の姿が描かれていた。

問題となったのは、トライアウトの受験を終えた田原投手がプロ野球球団や社会人チームからのオファーの電話を待つ姿を描いたワンシーンだ。田原投手にオファーがない状況の中、次のやり取りが繰り広げられた。

長男 タイガースでもヤクルトでも広島でもいいから行ってほしいわ。ソフトバンク行けなかったら最低広島に行きたい
田原投手 最低って言ったら失礼だ
長男 広島行きたいね

長男は確かに「最低広島に」と発言している。しかし、真意は父親に投手として活躍し続けてほしい気持ちを伝えたに過ぎないだろう。決してカープを軽んじたものではなく、長男にとって12球団のうち、読売やソフトバンクに続く高い順位の存在であることは明白だ。それを表現するために「最低広島に」と発言してしまったに過ぎず、わずか10歳の少年を責めるのは間違っている。

田原誠次投手が戦力外となった読売ジャイアンツ=AP

実際、「最低広島に」発言の直後には、田原投手が父親としての顔をのぞかせ「失礼だ」と咎める姿が映し出されていた。無論、長男の言葉選びが間違っていることを教育として指摘したもので、反省する長男の姿が確認できる。一連のやり取りからは、長男がカープを好いていることが感じられ、カープファンとして誇らしく思えた。

長男の発言に対する批判的な受け止めが広がったきっかけは何か。「ソフトバンク行けなかったら最低広島に行きたい」と言うテロップ付きの画像がアップされ、次々と拡散されたことが大きいかもしれない。発信元がカープファンなのか、それともアンチカープなのかは不明だ。

実際に番組を見ずに、前後の文脈や発言の背景に思いを巡らせることなく、この画像に触れたならば、「12球団のうちカープに行くのは最悪のケース」と受け止めてしまいかねないだろう。それだけで発言を批判するのはあまりにも無責任だ。

Twitter上では、少年の発言をカットしなかった制作側への疑問の声も目立つ。事実、10歳の少年に対し、誤解に基づいた批判が公然となされる現状を生んだ一因は、制作側にもあるだろう。


もっとも考えたいことは、なりふり構わずに少年を批判する大人のファンが少なからずいることだ。もしこれが球場での発言であったなら、10歳の少年に誹謗中傷にも似た言葉を寄せるだろうか。10歳の少年に大人が詰め寄る姿はあまりにも滑稽だ。実社会で許されないことでも、ネットでは許される。そんなことはあり得ない。

テレビでの発言がネット上で盛り上がったように、ネットと実社会は陸続きだ。決して別世界ではない。ネットを操るのは実社会で生きている我々だ。今回のように、ネット上での言動が実社会での評価まで落とすことは稀ではない。

今回、一部のファンの過激な姿勢が「“広島が最低なチーム”と言われてると勘違いしてる。ちゃんと文脈読め」などと、本人だけでなく、カープや他のファンまで批判される状況を生んでいる。カープのためにも自分自身のためにも、自分の首を絞めるようなツイートや書き込みはやめるべきだ。

田原投手の家族のアカウントは番組放送後の30日深夜、「#最低広島」と言うハッシュタグとともに、息子の発言の真意を次のように明かしている。

あわせて読みたい

「Twitter」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    コロナ春に収束向かう? 医師予想

    シェアーズカフェ・オンライン

  2. 2

    医師が日本のワクチン報道に嘆き

    中村ゆきつぐ

  3. 3

    料金高騰が示す電力自由化の功罪

    WEDGE Infinity

  4. 4

    独身でいる理由 男女の5割で共通

    ニッセイ基礎研究所

  5. 5

    音喜多氏が居眠り謝罪 歳費返納

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  6. 6

    コロナ禍のバイト店員私語に苦言

    かさこ

  7. 7

    時短応じぬ外食大手に賛同 なぜ?

    御田寺圭

  8. 8

    五輪中止なら湾岸タワマン暴落か

    NEWSポストセブン

  9. 9

    SEXなく…夫に不倫自白した女性

    PRESIDENT Online

  10. 10

    感染拡大するスウェーデンの日常

    田近昌也

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。