政府は、25日、2050年の脱炭素社会に向けた「グリーン成長戦略」を発表しました。
洋上風力発電など再生可能エネルギーの普及に加え、ガソリン車から電動車への移行、水素の利用推進に本腰を入れる、と報じられています。
一方で、原子力発電も、既存施設の再稼働とともに、将来の新増設に含みを持たせていることは、気になります。
実行計画で、14の重点分野を設け、目標の年限や支援策を盛り込み、原発の利用も明記しています。成長戦略による経済効果を、2030年に年約90兆円、2050年に年約190兆円と試算しています。14分野のうち、住宅など地域に密接な分野は、具体策を詰めるため、国と地方自治体が、25日から協議を始めたそうです。
菅首相は、24日の経団連会合で、「政府が環境投資で一歩踏み出す。3千兆円といわれる世界の環境関連の投資資金を呼び込み、雇用を生み出したい」と、脱炭素化は日本企業にとって好機だと訴え、産業界に発想転換を呼びかけました。
「欧州より30年遅れのスタートで、長期間かけて育ててきた産業に半分程度の期間で追いつこうとしている」と、業界関係者からは、野心的な目標設定を評価する声が、上がっている、ということです。
菅首相の環境を重視する姿勢は評価したいと思っています。
安倍政権では、産業界への配慮が目立ち、環境問題には後ろ向きの印象でした。菅首相は、就任後間もない10月の所信表明演説で、温室効果ガス排出を2050年に実質ゼロにする方針を宣言しました。
政府関係者は、「政権が変わらなければ宣言はなかったかもしれない、日本が世界に乗り遅れない最期のチャンスだった」と話しています。
実行計画は、梶山産業相を中心としたチームで練り上げた、とのこと。
経産省幹部は「官僚としての仕事冥利に尽きる」と語っている、と報じられています。
コロナ対策などで支持率が下がっている菅政権ですが、環境政策で、実行力を発揮し、来年11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、国際的に、いつもの化石賞ではなく、評価されるよう、期待しています。