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「私怨フェミニズム」の呪縛にかかった普通の女たち

■私怨/昭和フェミニズム

共同親権運動を推し進めている人たちから時々聞くのだが、単独親権の思想的背景であるフェミニズムを「敵」に回すことは運動としては得策ではないらしい。

僕は自称フェミニストで、マイフェイバリット論文はスピヴァクの「サバルタンは語ることができるか」(みすず書房)なのだが、この1年ばかりは「私怨/昭和フェミニズム」を批判してきた。

それはこのエッセイ(「私怨フェミニズム」の罪)でも表現した。ここでのこんな一文は、従来の「私怨/昭和フェミニズム」がいかに真の当事者(サバルタン)である子どもの声を隠蔽し、その思想自体が新たなマイノリティ問題(子どもの連れ去りや虚偽DV)を産み出すかを訴えようとしている。

「女性」に焦点化するあまり、家族内の真の当事者である「子ども」が潜在化されている(「離婚技術」としての虚偽DVと、子どものアブダクション/拉致の蔓延。その結果、子どもと「別居親」との関係が疎遠になる)

(略)

このように、軽口で「私怨」を語り、その恨みを「男」や「男社会」に縮約する「私怨フェミニズム/昭和フェミニズム」には、令和2年現在、大きな「責任」が生じている。

それは、カネを握り、メディアを制し、行政施策に大きな影響を与えているからだ。

つまり、「女性」は未だに性暴力被害を受けながらも、同時に「権力」にもなっている。男性はもちろん今も権力ではあるが、女性は「第2権力」になっている。

私怨/昭和フェミニズム(これに関してはこの記事も参照〈 母権優先-昭和フェミニズム-単独親権司法〉権力)は、令和の時代、さまざまな悪影響を多方面に及ぼしていると僕は感じる。

だが、ある意味こうした「正論」を展開することは、たとえば共同親権という具体的なムーブメントを継続していく時、まったく得策ではないらしい。

■普通の女たち

それは、どんな理由であれ(たとえば共同親権の法制化運動)、その運動の「敵」として(私怨/昭和)フェミニズムを対立させてしまうと、なんといえばいいのだろう、その私怨/昭和フェミニズムの呪縛にかかった多くの女たちからその運動が排斥されてしまうのだ。

排斥までいかなくても、「無言の警戒」のような壁を、その運動(たとえば共同親権の法制化運動)につくられてしまう。

そうした動きは僕もよくわかる。僕もここ1年以上共同親権運動に深く関わってきたが、この「無言の警戒」のような壁に何度か当たってきた。

僕としては、長らく勉強してきた「臨床哲学」あるいは哲学の方法論に従い、既存の価値を「カッコに入れた」だけなのだが、そこには私怨/昭和フェミニズムの大きく高い壁があった(具体的には単独親権派が持つ権力による反発)。

だがその古くてリジッドな私怨/昭和フェミニズムだけならまだマシだった。

そこには、その古くてリジッドな思想に囚われた普通の女たちの存在があった。

■「私は生きづらい」

社会保障費など含め大きく見積もって8兆円、小さく見ても数兆円は硬い女性関連の予算の思想的背景として、私怨/昭和フェミニズムは存在する。上の引用にもあるように、それは立派な「権力」だ。

だが、その「権力になった」という事実よりも、身の回りに散見される女性差別に、普通の女たちは苦しんでいる。

相変わらず女性差別はある。うっとおしい男たちもオジサンから若者までそこらじゅうに存在する。そうした身の回りの男たちの振る舞いと同時に、社会制度(給与や昇進、産休・育休を含むM字カーヴ問題諸々)や社会規範(ありすぎて書けない)、まさにありすぎて言えないほど女性差別はそこらじゅうにある。

だから、8兆円か数兆円か知らないし、上野千鶴子氏のうっとおしさもよくわかってはいるのだが、

「私は生きづらい」

という事実は変わらない。

その生きづらさのために、フェミニズムを批判する議論に対して無意識的に警戒してしまう。

その批判されているフェミニズムは私怨であり昭和だとは十分認識している。けれども、自分が日々晒されている差別と天秤にかけると、私怨/昭和フェミニズムがどんなに自己中でも支持せざるをえない。

私怨/昭和フェミニズムの欠点は十分知っている。が、それがない世界よりはまだマシだ。

という結論により、普通の女たちは「無言の警戒」を行なう。具体的には、私怨/昭和フェミニズム(たとえば上野千鶴子氏)のナンセンスさを理解しながらも、フェミニズムへの批判には敏感になる。

現代の日本社会は、この敏感さが一つの世論になっている社会だ。

僕としては、一線の共同親権運動家が嘆くように、フェミニズムをアンタッチャブルなものとしたくはない。

その欠点(私怨と昭和)、その影響力(既存の女性差別を利用した社会的呪縛)を十分言語化し、現代の女たちの不自由さについて言及していきたい。

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