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アジアの喫煙はいかにして減少させられるか?

先々週の終わりか先週の初めだったと思うんですが、アジア開発銀行 (ADB) から Tobacco Taxes: A Win–Win Measure for Fiscal Space and Health と題して、アジアの喫煙に関し既存研究に基づく簡単な試算を展開している興味深いリポートが発表されています。やや長くなりますが、このリポートから Executive Summary を引用すると以下の通りです。

Executive Summary
Two-thirds of the world's tobacco users live in just 15 countries, and 5 of these high-burden countries (People's Republic of China, India, Philippines, Thailand, and Viet Nam) are in Asia. This report aims to assess how changes in cigarette taxes can reduce consumption and save lives in these high-burden countries. In the absence of intervention, smoking will eventually kill about 267 million current and future cigarette smokers who are alive today in the five countries. We find that for all five countries, increases in cigarette prices (in the range of 25%–100%) effectively reduce the number of smokers and the number of smoking-related deaths, and generate substantial new revenues. In the five countries, a 50% price increase, corresponding to a tax increase of about 70%–122%, would reduce the number of current and future smokers by nearly 67 million and reduce tobacco deaths by over 27 million, while generating over $24 billion in additional revenue annually (a 143%–178% increase over each country's current cigarette tax revenue). The revenue increase, or "fiscal space," averages 0.30% of gross domestic product, with a wide range of 0.07%–2.52%. The poorest socioeconomic groups in each country bear only a relatively small part of the extra tax burdens, but reap a substantial proportion of the health benefits of reduced smoking. The ratio of health benefits accrued to the poor to the extra taxes borne by the poor ranges from 1.4 to 9.5. Thus, large increases in the cigarette tax in all of these countries are unusually attractive for public health and public finance, and are pro-poor in their health benefits.

要するに、アジアの中でも特に喫煙者の多い中国、インド、フィリピン、タイ、ベトナムの5か国について、タバコ税を引き上げてタバコの価格が上昇すれば、喫煙者を減らすとともに財政収入が増加する効果も期待できる、という一石二鳥の政策対応を試算しつつリポートしています。その結論となる Table 4 Changes in Cigarette Consumption and Deaths and Revenue with Various Price Increases をリポートの p.8 から引用すると以下の通りです。

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一番上の行の中国の例でこの表の見方を簡単に解説すると、50%のタバコ価格引上げにより、禁煙あるいは喫煙開始の防止で48.4百万人の喫煙人口が減少し、19.6百万人の死を回避することが出来る一方で、200億ドルの税収増加が見込める、ということになります。リポートの分析対象5か国全体では、同じく50%のタバコ価格引上げにより、禁煙あるいは喫煙開始の防止で66.5百万人の喫煙人口が減少し、27.2百万人の死を回避することが出来る一方で、247億ドルの税収増加が見込めます。なお、リポートでは喫煙の減少による医療費への効果は取り上げていませんが、喫煙が減れば健康の増進から医療費も低下する効果も見込めると私は考えています。ただし、長寿になる分、完備された年金制度があれば年金支給額は増えそうな気もします。でも、それはそれでご同慶の至りなのではないかと思わないでもありません。

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上のグラフは、今年1月31日に発表された厚生労働省の「平成22年国民健康・栄養調査結果の概要」の p.22 から「習慣的に喫煙している者の割合の年次推移」を引用しています。この調査結果のうち、所得階層と生活習慣については、このブログでも2月2日付けのエントリーで取り上げています。上のグラフから読み取れますが、日本でもタバコの価格上昇が喫煙率の低下をもたらした、すなわち、2010年10月からかなり大幅にタバコが値上げされた結果、男女平均で▲3.9%ポイントの喫煙率低下につながった可能性が示唆されていると見ることも出来ます。もっとも、フォーマルな計量的検証はしていません。日本でもアジア諸国でも、いずこも同じで、タバコ価格を引き上げれば喫煙の減少につながるのは容易に想像できます。

タバコについてはついつい党派性が出て、このエントリーのような主張をすれば、喫煙擁護派から激しい反発を受けることもあるんですが、今夜取り上げたような科学的な分析に従えば、喫煙擁護派の多くの主張は根拠が怪しいと結論せざるを得ません。

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