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ワクチン頼みの東京五輪

 世界中で新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。日本も厳しい状況だ。しかも、イギリスや南アフリカで感染力の強い変異種が感染を広げており、世界中が戦々恐々としている。

 日本も水際作戦を強化したが、すでにイギリスの変異種も南アの変異種も日本に「入国」している。

 深刻な感染の今、世界ではオリンピックのことなど話題にもならないが、ワクチン接種で東京五輪は確実なものとなるのか。

 東京五輪は7月に始まる。7月1日までに日本の人口の半分、6千万人が接種を受けているようにするには、一日に150万人に接種しなければならないが、それが可能なのか。

 「絶対に開催する」と言うのは、「神風が吹くので戦争は絶対に勝つ」と豪語した大日本帝国と同じである。兵站をきちんと整えずに敗北したのが大日本帝国陸海軍である。精神論だけで安全な五輪が開催できるわけではない。

 日本では、ファイザーもモデルナも治験中で、まだ承認されていない。しかも接種の段取りを具体化しようとすれば問題が山積していることが分かる。IOCは、そこまで分かっているのだろうか。

 開催国の日本のワクチン接種だけでも問題があるのに、世界人口の半分、つまり40億人近い人々にワクチンを接種するのにどれくらい時間が必要なのであろうか。願望ではなく、医師の数などの現実を考慮した冷徹な計算が必要である。

 五輪は、五大陸から参加してこそ五輪であり、本来は世界中から観客が来て競技会場を埋めてこそオリンピック・パラリンピックなのである。

 菅首相は、「絶対に開催する」という立場を堅持している。

 それは、各種のGoToキャンペーンに対する態度と同じである。コロナ感染が収束する前にキャンペーンを始めたことが感染を拡大させたことは疑いえない。

 菅首相は、感染者が急増し始めても頑なにこのキャンペーンの維持することを主張したが、支持率が急降下し、不支持率が支持率を上回ると、全国一斉停止を決めたのである。

 12月11日から3日間行われたNHKの世論調査では、東京五輪を「中止すべき」が32%、「さらに延期すべき」が31%、「開催すべき」が27%である。10月には、それぞれ、23%、25%、40%であった。「開催すべき」は2ヶ月で13%も減っている。

 ファイザーのワクチンが承認されるという予測は、この世論調査の前から報道され、実際に12月12日には、FDAが緊急使用を許可しており、その明るいニュースは日本でも流れている。それにも関わらず、五輪を開催せよという回答が減っているのである。日本人の新型コロナウイルスに対する不安感は払拭されていない。

 12月14日にGoToキャンペーンの全国一斉停止を決定したときのように、東京五輪中止を唐突に決めると、たいへんな混乱が生じてしまう。感染防止のためとはいえ、GoToはブレーキのタイミングが遅すぎ、また突然の方針転換は大混乱を生んだ。

 その教訓は活かされるか?

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