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「中道」は左右とは別の一つの極である。

Facebookで民主党の仙谷副代表と自民党の安倍総裁が公開討論をやるらしい。今まであまり取り上げられたことがないテーマだし、私もウヨサヨ論ばかりやっていて、あまり中道とは何か真剣に考えたこともないので、少し考えてみたい。

 私は中道はどっちちかずの曖昧な選択肢だと考えていたが、それは少し違うことに気付いた。それは「中道は左右という極とは別次元の一つの極である」という点だ。下のグラフにすると解りやすいが、政治を一次元的に捉えると、左右の極しか存在しないが、二次元的に捉えると「中道」は一つの極になる。

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 右翼と左翼は似ているということに気付いている人は多いと思う。例えばヒトラーとスターリンのやったことは似ている。つまり極右も極左も反人権、反自由、多様な価値観に不寛容なのだ。ではもっとも人権を重視し、自由を重視し、多様な価値観に寛容なのはとなると、「中道」という一つの極が見えてくる。実際には中道左派から中道右派までのカテゴリーがその極に存在する

 この極が日本で見えにくいのは、自由主義陣営で右側のウェイトが大きく、更に冷戦終焉で左派が弱体化して、バランス的に中道が左に見えるからだろう。それはアメリカも同様で、極左が存在しない国では左側半分を無視できるので、二次元的に捉える必要がない。

 アメリカでは「人権」が国是なので、保守派が人権問題で中国を批判するなど、人権という価値観が絶対視されるのに対し、日本では人権という価値観を敵視したり、自由という価値観を批判する「右側」の奥が広いことも問題をわかりにくくしている。戦後アメリカ占領下で完成した憲法や教育システムまで「左」というポジショニングで考える人がいるので厄介だ。

 例えば、戦後民主主義教育というのは典型的な中道右派の思想である。これが日教組と絡めて語るのはまったくお門違い。日教組的なものはむしろ「滝山コミューン」の世界で、左側の全体主義の世界というのが別に存在するのである。仮に戦後民主主義教育を推進してきたのは自民党政権と文部省であり、それを支持しているとしたら日教組の右派である。

日本ではまだ左半分も無視できない

 「滝山コミューン」のような世界はもはや存在しないが、実際はまだ左半分は無視できない。例えば脱原発運動を見ても、運動の中心になる人たちが「原発即停止で脱原発でない」と言うスタンスで、本来は連帯できるはずの「即停止に拘れないが、脱原発を目指す」とう考えの人たちを「お前らは推進派と一緒だ!」と罵倒してしまうので、多数派を構築できずにいる。極端な例では、福島の疎開運動のように、住民の自由を制限して強制疎開させようという運動もある。原発事故をきっかけに、日本は左側半分の現象がまだまだ見られると痛感した。

極端な主張がもてはやされる時代に「中道」は埋没するしかないのか。

 かつて小選挙区制度下に置いては、政党は中道化すると言われてきた。それについては数学的にも証明されてきたのだが、ここ数年は逆の現象が起きている。極端な主張が支持され、二大政党の主張が乖離する現象だ。これについては、ネットの影響云々言われているが、まだきちんと現象を分析して論じられたものは少ない。

 ただ極端な主張がもてはやされるから中道は支持されなくなるという結論にはならないと思う。中道を一つの「極」という認識をせず、ただ中道を叫んでいたら今の時代埋没するだろうが、「極」であることを積極的にアピールすれば活路はある。例えばアメリカのオバマ大統領はセクシャルマイノリティーの権利を拡大する大胆な政策に打って出た。これは中道が最も多様な価値観に対して寛大であることを積極化したものと言えよう。

 話を公開討論会に戻すが、自民党の安倍総裁は「中道は大衆迎合の醜い姿」と発言しているが、これは決して間違った発言ではない。中道の悪い面が出ればそうなるからだ。実際に民主党がどこまで「中道」というものに積極的価値観を見出しているか疑問である。例えば、民主党政権は脱原発を目指しながら大飯原発の再稼動を決めたが、異口同音に矛盾しているとの批判を浴び(原発推進派からも含めて)、適切な反論もできずにいる。恐らくあまり考えずに利害調整だけをした結果だからだろう。

 果たして公開討論会で「中道」というものを評価したくなるような意見が出るであろうか。今のところ期待はずれに終わるような気がしてならないのだが。

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