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「原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)に反論する〜世界的特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性もない


「原発ゼロと衆院選現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)

20日付け産経社説はいくつかの政党が掲げる原発ゼロ政策を「現実見ぬ選択では国滅ぶ」と批判しています。

原発ゼロと衆院選現実見ぬ選択では国滅ぶ

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121120/elc12112003240038-n1.htm


社説は「一時のムードに流された脱原発は、ただちに国力低下につながる危険な選択」だとし、「電力料金も現在の2倍以上にはね上が」り、「それに伴う産業空洞化」が起こることを危惧しています。

だが、エネルギー小国の日本が原発を完全に手放してしまうのは現実的でない。一時のムードに流された脱原発は、ただちに国力低下につながる危険な選択であることを改めて訴えたい。

政府・民主党は、革新的エネルギー・環境戦略として「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すことを決定した。原発の新増設は認めず、運転から原則40年での廃炉を徹底するという。

しかし、原発に代わる太陽光などの再生可能エネルギーを整備する道筋は描けていない。政府試算では再生エネ投資で50兆円、省エネ投資は100兆円が必要となる。発電コストが高い再生エネの普及によって、電力料金も現在の2倍以上にはね上がる。

電力の安定供給や代替エネルギーの確保、電力料金の値上げ、それに伴う産業空洞化にどう対応するのか。各政党は脱原発をうたうならば、選挙公約などでこのような疑問に、はっきりと答えなければならない。


さらに社説は、「住民の生命にも危険が及ぶ」、「企業の海外進出が加速して雇用が失われ、国内総生産(GDP)も落ち込」む、「「原発ゼロ」が徹底されれば原子力技術者は日本で育たなくなり、廃炉作業に影響が出るのも必至」と指摘します。

原発の再稼働が進まない現在の日本では、足元の電力供給すら綱渡り状態だ。泊原発の運転が再開できない北海道の住民・企業に対し、政府は今冬、厳しい寒さの中で7%以上の節電を求める。住民の生命にも危険が及ぶ。

安定的な電力供給ができずに節電ばかり恒常化すれば、企業の海外進出が加速して雇用が失われ、国内総生産(GDP)も落ち込んでしまう。「原発ゼロ」が徹底されれば原子力技術者は日本で育たなくなり、廃炉作業に影響が出るのも必至だろう。


うむ、私は脱原発政策を支持している者の一人ですが、別に「現実見ぬ」わけでも「一時のムードに流された」わけでもなく、極めて冷静にできうる限り科学的合理性を重視してこの問題を考えています。

今回はこの「原発ゼロと衆院選現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)に対し、冷静に科学的に現実を直視しつつ反論を試みます。



完全に崩れた「原発安全神話」

3.11以前、私は多くのこの国の人たちと同様、政府の唱える「原発安全神話」を根拠なく信じていました。

関西電力のサイトでは今でも原発のいわゆる「5重の壁」の説明が掲載されています。

リンク先を見る

ウランが核分裂すると放射性物質がつくられます。そのため原子力発電所では、放射性物質を閉じ込めるため5重の壁でおおい、万が一の異常の際にも放射性物質を閉じ込められるように、安全確保に備えています。

http://www1.kepco.co.jp/bestmix/contents/16.html


設けられた障壁が、内側から「燃料ペレット」、「燃料被覆管」、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」、「原子炉建屋」の5つであるためこの名が定着したわけですが、原発の「安全神話」の中核でもあったこの「5重の壁」は福島原発事故でことごとく破られてしまいました。

昨年3月11日の大地震で、まず送電線の鉄塔が倒れるなど大きな被害を受け、十数メートルに達した大津波で非常用電源も働かなくなり、全交流電源を失ってしまいます。

原子炉の冷却ができずに炉心が溶融、いわゆるメルトダウンが起き、第一と第二の壁である「燃料ペレット」と「燃料被覆管」は完全に溶けて、第三の壁である「原子炉圧力容器」の底にたまります。

第三と第四の壁であった、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」にも穴やひびが入り冷却水が放射性物質とともに駄々漏れする事態となります。

その過程で発生した大量の水素が爆発して第五の壁である「原子炉建屋」も大きく破壊されました。

原発のいわゆる「5重の壁」が瞬く間といっていいでしょう、あっけなくすべて破られ大量の放射性物質が撒き散らされたわけです。

メルトダウンした燃料がどこにどのぐらいどのような状態で分散したのか、事故から1年半余りたっても原子炉内部の様子は満足にわからず、放射性物質に汚染された冷却水が漏れ出す事故もたびたび起きています。

こたびの原発事故は、「現代科学は万能ではない」、「人の作るシステムに絶対安全はない」、「事故は起こることを前提に対策を講じておく」、当たり前の多くのことを再認識させてくれた「神の啓示」ともいえます。



現代科学で地震予知は不可能

現代科学といえば、東京大学のロバート・ゲラー教授(地震学)は大震災発生を受けて、昨年4月14日、地震予知システムは現代科学では実現できないとする趣旨の論文を発表して話題になりました。

教授は、「(地震の予知は)無益な努力だ。不可能なことを可能であると見せかける必要はない」とし、日本政府の防災計画についても触れ、3月11日に発生した東日本大地震が予測できなかったように、東海地震も予測できないとしています。

またゲラー教授は論文で、東日本大震災で津波の被害を受けた東北地域では過去にも巨大津波が2度発生していたと指摘し、沿岸部の原子力発電所はそうした津波にも耐えうる構造に設計すべきだったと批判しています。

地震予知は「不可能」、国民は想定外の準備を=東大教授

2011年 04月 14日 11:03

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20609820110414


従来の「想定外」の規模の地震と津波が発生した大震災以後、日本列島近傍で発生する可能性が指摘されている大地震、東南海地震、東京直下地震等について、従来の想定を大きく上回る規模の地震と津波が発生する可能性が改めて指摘され、想定被害の見直しが相次いでいます。

残念ながら現代科学では次に日本列島のどこでいつどの規模の大地震が起こるのか、全く予知はできません。

ただ東日本大震災がもたらした新しい科学的知見は、従来の想定よりも大きな規模の揺れが起こる可能性、大きな津波が押し寄せる可能性が科学的に認められ、「想定内」となったことです。

そして日本の原発の多くが旧来の想定規模の対策しか施されていません。

見直し作業が着手されていますが、その対策は内容的にも時間的にもまったく間に合っていないのが現状です。


世界的特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性はない

日本列島は太平洋火山帯に位置するいうまでもなく世界有数の地震国であります。

リンク先を見る

マグニチュード4.0以上、震源の深さ100km以下、理科年表2002国立天文台より


この世界震源マップに世界の原子力発電立地マップを重ねます。

リンク先を見る


科学的事実として、地震震源域に50基の原発を集中的に立地しているのは世界で日本だけです。

昨年の大震災における福島第一原発事故を経て、地震国日本の発電施設として原発は「科学的合理性」を見出せなくなったと考えています。

産経社説の脱原発理由はどれも「経済合理性」を根拠としています。

そのような理論ではカタストロフィーには対応できません。

私はもし日本列島に第二の福島原発事故と同規模以上の原発事故が発生したら今度こそ、日本経済は崩壊してしまうと危惧しています。

そしてそのような事故が起こる可能性は、現代科学では誰も科学的に語ることはできません。

産経の唱える「経済合理性」は実はこの日本列島では「合理的」とは言えないのではないでしょうか。

地震国「日本」において原発稼動を短期的な「経済合理性」だけで語ることこそ「国滅ぶ」、亡国の理論に繋がる可能性があるのです。

そもそも世界の特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性もなかったのだと考えます。



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