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社外取締役だけでなく社外監査役にも光を当ててほしい(願望・・・)

本日(12月28日)の日経朝刊法務面に「都内でガバナンスサミット2020-社外取締役の役割を議論」という見出しにて、「企業統治関係者が一同に会した『ガバナンス・サミット2020』」におけるシンポジウムの様子が報じられていました。主に取締役会の在り方、機能、権限が議論されたそうで、関係者のお立場から有益な意見が多数披露されたそうです。

「攻めのガバナンス」として改革が進み、株主もこれを推奨しているわけですし、東証のプライム市場に上場する会社は取締役構成員の3分の1以上を社外取締役が占めるようにソフトローで要請する、ということなので、社外取締役に光が当たるのは当然であります。その一方で(金融庁のコード検討会では今後議論されるのかもしれませんが)最近あまり監査役制度が話題に上らないのは少し寂しいところです。

とくに上場会社の7割程度は監査役会設置会社であり、そこには2人以上の社外監査役さんがおられるわけですが、なんだか最近の話題から取り残されてしまった感があります。社外取締役が少ない時代には「独立社外役員」として、社外取締役とその機能においては同列に扱われていたと思いますが、各社に複数の社外取締役が就任する時代になった頃から、どうも社外取締役の「補完機能」的に扱われるようになったのではないでしょうか。

一般的には社外取締役よりも報酬額が低いにもかかわらず、会計不正事件等が発覚した際には、セイクレスト事件や(先日、最高裁判決が出た)エフオーアイ事件などのように社外監査役に「監査見逃し責任」が認められ、多額の損害賠償責任を負うことになります。平成20年に最高裁で確定したダスキン事件株主代表訴訟でも、社外監査役さんだけに損害賠償責任が認められています。

不正に関する情報は「監査役会」で共有するのが通常ですから、「知らなかった」とは言えない立場にある以上、やむを得ないのかもしれません。ただ、今後は社外取締役さんも増えたので「不正リスク」については社外取締役さんとも共有していただき、社外役員全員で(セイクレスト事件のように)不正に関与した代表取締役の解任を求めるための取締役会の招集義務を尽くす必要があると思います。

(以前も書きましたが)ときどき海外の製薬会社の日本法人のお手伝いをするのですが、日本法人の社長である外国人経営者は(日本人の)監査役さんたちや内部監査部の方々のことをとてもリスペクトしているのです。「オオカミ少年ウェルカム」ですし「利益を生まない部署だから軽くみている」といったことは決してありません。

このままだと来年の株主総会では、さらに「監査等委員会設置会社」に移行する上場会社が増えて、監査役制度がさらにガバナンス改革の中で影が薄くなりそうで(私的には)やや不安であります。「こんな社外監査役さんがいるから不正が早期に発見できた」「二次不祥事を防止できた」といった事例はいくつか経験したのですが、私の職務上の守秘義務からお伝えできません。このあたりが「守りのガバナンス」の実効性を語るうえでむずかしいところですね。

最後にガバナンス改革との関係でひとことだけ個人的な意見を言わせてもらえば、KAM開示を含めた情報開示項目の急増やESG経営重視の傾向が強まる中で、社外監査役にはかならず(現行コードの「財務会計的知見」という甘いものではなく)「会計監査の経験を有する者」を選任するように改訂すべきです。平時において会計監査人のチェックをしたり、業績連動型の役員報酬の評価過程の合理性を判断したり、有事において会計監査人と意思疎通を図る場合には、本当にガバナンスの要として活躍するのは会計監査の実務を知っている監査役だと確信します。

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