記事

【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス」 DHC現役社員が告発 #3 - 「文春オンライン」特集班

1/2

DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 から続く

【写真】この記事の写真を見る(7枚)

 公式サイトに「チョントリー」など特定の民族や国籍を差別するような文書を掲載したDHC代表取締役会長の吉田嘉明氏(79)。ネット上ではこの“ヘイト投稿”を受け「#差別企業DHCの商品は買いません」との不買運動が広がっている。

「文春オンライン」の取材で、実は吉田氏の差別発言は常態化していたことが判明。吉田氏名義でDHC社内向けに不定期で出される内部資料「通達」と、現役社員(取材時)の告発をもとに、その実態を詳報した。(#1)

 しかし問題はこれだけではない。吉田氏は社員に対して、で自社商品の口コミを書き込む“サクラ投稿”を指示していることが判明。消費者庁や文化庁に取材をしたところ、吉田氏が主導している“サクラ投稿”は景品表示法や著作権法に触れる可能性があるという。そのうえ吉田氏は、“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」などと“格付け”していることも明らかになった。(#2)

 ヘイト発言に“サクラ投稿”——。こうした行為がDHC社内でまかり通ってしまう状況には、「人事」が影響を及ぼしているという。#1と#2で告発したDHCの社員A子さんとBさんが語る。

大っぴらに批判すれば人事評価で最低点に

「私たちも会長のヘイト発言や“サクラ投稿”には嫌気がさしています。しかしそれを大っぴらに批判することはできません。もし“会長派”の誰かが聞いていたら、告げ口のFAXを会長に送られたり、人事評価で最低点の『2.0』をつけられてしまうかもしれませんから。

 DHCではボーナス前の時期に、社員同士で人事評価をし合う制度があるんです。しかもその評価軸が少し変わっているというか……」

 取材班が入手した「平成30年より新人事評価」と題されたDHCの内部文書には、次のように記されている。


DHC社内で配布された「平成30年より新人事評価」

《4.0 誰が見ても著しく会社に貢献している。能力が並外れて高く、この人がいなくなると会社は大損害である。誰よりも愛社精神に満ち満ちている。

 3.5 会社にとってかなり大切な人である。平均的な社員より間違いなく優秀であり、会社に確実に利益をもたらしている。愛社精神が感じられる。

 3.0 給料分は働いている。勤労意欲はあるが、結果が優れているというわけでもない。大企業のどこにでもいる並みの社員である。

 2.5 給料をもらうため、生活のために会社に来ている。こういう社員が蔓延すると会社は必ず衰退していき、やがては倒産につながる。

 2.0 問題外の社員。穀潰し。即刻辞めてもらいたい。》

“愛社精神”を周囲にアピールすることもポイント

 A子さんが続ける。

「自分と同じ部署の社員に0.1ポイント刻みで点数をつけて、専用の用紙に点数を記入していきます。部署によっては1人だけの部署もあるので、そういうところは自己評価になりますが、2.4以下か3.6以上の点数をつけた場合は、その理由も記入する決まりです。平均点が3.0くらいになるように調整するので、2.0がつけられることはかなり稀ですが、誰か1人にでもこんな評価をされたら会長に目をつけられてしまいます。それにこの評価を見ればわかるように、結果を出していればそれでいいというわけではないのです。“愛社精神”を周囲にアピールすることも大切なポイントなんです」

 そして2020年12月24日、DHCではまた新たな人事の評価基準が導入されたという。社内に掲示された「賞与と愛社精神について」と題された会長からの文書に社員らはどよめいた。

《12月28日に賞与を支給する。賞与の査定は従来、勤怠と会社への売上貢献度を中心に判定した「頑張り評価」を指数化(2.5から4.5)して行われたが、今後「頑張り評価指数」と「愛社精神評価指数(2.0~5.0)」の平均値で評価することとた(原文ママ)》

「穀潰し」などの通常の人事評価とは異なる、賞与査定時に用いられる新たなシステムだ。

「DHC特別社員」と命名

《会社勤務に当たって最も大切なものは何よりも愛社精神である。今回らくがき板のデジタル化の協力を社員に求めたが、120名の社員が無償で協力したいとの応募があり、今現在想定以上の多数の投稿が実施され、その効果の大きさに驚いている。これこそ愛社精神の発露以外の何物でもない。今後彼らがDHCの救世主になることは間違いない。涙が出るほどありがたい社員たちであり、彼らを「DHC特別社員」と命名することにした。特別社員はその投稿数によって3.0から5.0の指数を与えることとした》

《らくがき板のデジタル化の協力》とは#2で詳報した“サクラ投稿”のことだ。吉田氏は2020年8月にDHCの商品を絶賛する口コミをSNSなどに投稿する業務を担ってくれる社員を募った。そして、この“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」と呼んでいたのだが、彼らを「DHC特別社員」と命名し、ボーナスの支給額をアップさせるというのだ。

「IT推進部は腐った部署」という評価

 しかし「愛社精神評価指数」が導入されたことで、憂き目に遭っている社員もいる。「賞与と愛社精神について」にはこうも書かれている。

《最低評価2.5に該当するのは、大勢の部署で部署全体に協力しようとする者が誰もいない腐った部署である。IT推進部がそれにあたる(原文ママ)》

「なぜIT推進部がこんなにも酷い扱いを受けているかは誰もわかりません。噂では、らくがき板の“サクラ投稿”に誰も手を挙げなかったからだとか、IT推進部の社員が『ヤケクソくじ』が炎上した際に検索サイトで上位に表示されるように細工したから会長に目をつけられたのだろう、とか言われています。

 IT推進部はDHCの通信販売を取り仕切ったりネット広告などを請け負う、今後のDHCには欠かせない部署なのに……」(A子さん)

あわせて読みたい

「DHC」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    音喜多氏が居眠り謝罪 歳費返納

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  2. 2

    医師が日本のワクチン報道に嘆き

    中村ゆきつぐ

  3. 3

    料金高騰が示す電力自由化の功罪

    WEDGE Infinity

  4. 4

    感染拡大するスウェーデンの日常

    田近昌也

  5. 5

    毎日が40億円超減資で中小企業に

    岸慶太

  6. 6

    テレ東が先陣 マスク着用で好評

    BLOGOS しらべる部

  7. 7

    SEXなく…夫に不倫自白した女性

    PRESIDENT Online

  8. 8

    首相演説を批判 朝日に「何様?」

    鈴木宗男

  9. 9

    慰安婦判決に感じる韓国の価値観

    WEDGE Infinity

  10. 10

    コロナ禍のバイト店員私語に苦言

    かさこ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。